工藤慈子個展「模倣図-カヴァーズ-(球美主義Ⅱ)」
今週の作家さんは、HBでは2回目の展示となる工藤慈子さんです。
昨年12月に行われたHBファイルコンペの審査では見事、仲條正義さんの大賞を受賞されました。
3回目の個展が、今年の8月に大賞展として控えています。
今回はそのファイルコンペに出品された作品を中心に、
世界の名画を「○」を使って描いた濃密な26点の作品が並びました。
— 2回目の展示をされてみていかがでしたか?
1回目の展示よりトータル性を持たせようと制作していたのですが
そのことがファイルコンペ大賞という結果を招き、全部がうまく繋がったような感じがしました。
期間中、たくさんの方が観に来てくださり本当にうれしいです。
— 1点1点素晴らしいですが、たくさん並ぶとさらに圧倒されますね。
布にプリントした作品もすごい迫力。画材は何を使っているのですか?
近所のスーパーでみつけたPILOTのボールペンです。80円くらいで売ってます。
他にはサインペンや事務用のボールペン、広い面は墨汁なども使ってます。
画材というより文房具を使って描いてる感じですね。(笑)
— 身近な筆記具から生まれたんですね。丸を使った描き方はいつ頃から始めたのですか?
2009年頃からで、TISのコンペがあったのですがその直前あたりです。
当時トカゲの絵を描いていて、体の表面を丸でずーっと埋めて描いていたら
頭から何か出てくる感じがして…きもちいいなと。すごく没頭できたんです。
それまでは今とは全く違う作風でアクリルガッシュで描いていたのですが、
色の使い過ぎでまとまりが無く、スタイルが見つからない状態でした。
丸を使って描くようになってからは、周りの人もおもしろがってくれて
どんどんやる気も出てきたので、早く描きたい!という衝動に駆られました。
— 工藤さんと絵が近づいていった感じですね。
作品から楽しそうな感じが伝わってきます。1枚の制作時間はどれくらいですか?
2~3週間かかるものもあれば、1日や3日くらいで描き終えるものもあります。
仕事から帰った後と、休みの日はずっと描いてます。家にいる時間は絵を描く時間というくらい。
もう取り憑かれているので。(笑)睡眠不足な日が続きました。
— キャプションも凝っていますね。切り文字は以前から制作されていたのですか?
15~16年くらい前から好きで作っていました。
友人の結婚祝いにご家族の名前を切り文字にしてプレゼントしたり、
ウェルカムボードを切り文字で作ったり。最初は切り絵から初めたのですが、
徐々に文字や数字を1枚につなげていくことの楽しさに気付きました。
青山塾に通っている頃、講師の舟橋全二さんにお見せしたら、
「文字と絵の中間で、文字イラストレーションだね。」と言って頂けました。
絵も切り文字も「全部埋めて1枚にしたい!」という隙を与えない感じが似ているのかなと思います。
— なるほど。近い部分があるんですね。
最後になりますが、今後やってみたいお仕事、描いてみたいテーマなどお聞かせ下さい。
広告のお仕事をやってみたいですね。
描いてみたいものは、龍・鬼・ユニコーン…など伝説の生き物に挑戦しようと思っています。
2月にグループ展があるのでそこで出展するかもしれません。
夏の個展については…まだノープランです!
— また作品を拝見出来るのを楽しみにしております!
思わず、ぐーっと近づいて見入ってしまう工藤さんの作品。
“楽しい”という純粋な気持ちが絵に向かうと、
こんなにもパワーのある作品が生まれるのだなと感じました。
誰にも真似出来ない、工藤さんだけの球美主義-キュビズム-をこれからも極めてほしいです。
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