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早瀬とび個展「Tideland」

今週の作家さんはイラストレーターの早瀬とびさんです。

HBファイルコンペvol.31 では鈴木成一特別賞を受賞、
HBWORK vol.3では川名潤さんの特別賞を受賞されました。
今回の個展では干潟をモチーフにされた早瀬さんの新作15点が並びます。
新たな試みの美しいグラデーション作品をどうぞご覧ください。

いちろう個展「夏休み」

今回ご紹介するのは、2024年8/30~9/4に個展を開催されたいちろうさんへのインタビューです。

HB WORKコンペでも賞を受賞され、注目されているいちろうさん。
お仕事での挿絵や、漫画作品、クレパスで描かれたほのぼのとした作品が展示され、
充実の展覧会。
お風呂やお布団に入った、愛らしいねん土の作品もずらりと並び、
とても幸せな空間となりました。
いちろうさんの豊かな感性についてのお話もお聞きしました。

会場の様子をインタビューとともにお楽しみください!

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

ーいちろうさんはHBでは初めての個展となりました。
展示タイトル「夏休み」は、犬との散歩やお絵かき、工作など、
子供の頃から変わらず続けていることへの気づきから生まれたタイトルだそうですね。
人は年齢を重ねるにつれ、子供の頃の素直で無邪気な感覚が薄れてしまいがちですが、
いちろうさんが子供心を失わずにいられるのはなぜでしょうか。
豊かな感性を持ち続けるために、いちろうさんが心がけていることなどはありますか?
心がけていることは特にないのですが、子どもの頃に好きだったことを好きなまま
大人になっているだけな気がします…!
粘土も久々にやると楽しくてハマってしまいました。
これからもやりたいと思ったら画材や技法なども決めずに
なんでもやっていけたらと思っています。
ー12年間生活された京都を離れ、現在はご出身の大分県に戻られてアトリエで制作されているそうですね。
いちろうさんが感じる、京都と大分の一番の違いは何でしょうか。
環境が変化してから、いちろうさんの作品制作にどんな変化がありましたか?

地元に戻ってから毎朝5時に犬の散歩をするようになったのですが、
空や山の色が天気や時間で変わるのをとても観察するようになりました。
それはどこでもそうだとは思うのですが、犬との散歩のおかげでこういったことに気がつけたので絵もそういったものを描きたくなってきたように感じています。
あと地元ではみんな知らない人同士も会ったら挨拶を交わすのでそういった温かさも絵に影響してくれるような気がしています。
ーいちろうさんは2022年7月号より、くどうれいんさん連載エッセイ「日日是目分量」(文芸誌「群像)の扉絵を担当されています。 
いちろうさんは何気ない日常の中から作品のアイデアを見つけられてますが、
お仕事で他者目線の日常を描かれる際は、何か工夫されることや意識されることはありますか?
いちろうさんが普段描き溜められているネタ帳のアイデアと組み合わせることなどはされるのでしょうか。
くどうさんのエッセイは本当に面白くて捻り出さなくても自然と描きたいものが浮かぶのですが、意識していることといえば、どのお仕事もそうなのですが、
とにかく自分が面白がりながら絵を描くようにしています。
そうすると面白い絵になっていると信じてやっています!
ーいちろうさんの今後の発表予定や挑戦されたいこと、
イラストレーターとしての展望などをお聞かせください。
いまは今年絵本を刊行予定なので編集者さんや原作の方、
デザイナーさんと協力してはじめての絵本をつくっています。
展望としては絵本もイラストもこれからも両方続けていけたら嬉しいです。
あといつか映画のイラストのお仕事ができたらいいなと思っています。
インタビュアー 須貝美和

合田里美個展 「私のまなざし」作品リスト

2024年8/23(金)~8/28(水)開催の合田里美個展「私のまなざし」展示作品一覧です。

作品は全てアナログで制作され、美しい原画に見惚れてしまいます。

会場ではポストカードやZINEのお取り扱いも!

作品はHBギャラリーオンラインショップでも購入可能です。

 

「塾の帰り」額なしマット付き
マット外寸:約 28.8cm × 37.8cm 、¥50,000-(税込)

「塾に行く」額なしマット付き
マット外寸:約 28.8cm × 37.8cm 、 ¥50,000-(税込)

 

 

「宿題・1」額なしマット付き
マット外寸:約 28.8cm × 37.8cm 、¥50,000-(税込)

「宿題・2」額なしマット付き
マット外寸:約 28.8cm × 37.8cm、 ¥50,000-(税込)

 

「金の角持つ子どもたち」額なしマット付き
マット外寸:約 28.8cm × 37.8cm 、¥55,000-(税込)

「占いチョコレート」額なしマット付き
マット外寸:約 28.8cm × 37.8cm、¥50,000-(税込)

 

「Uラインの鳩たち」額なしマット付き
マット外寸:約 28.8cm × 37.8cm 、¥50,000-(税込)

「死の蝋匣」 額なしマット付き
マット外寸:約 28.8cm × 37.8cm、 ¥44,000-(税込)

 

「キッズ・アー・オールライト」額なしマット付き
マット外寸:約 42.4cm × 54.5cm、     ¥85,000-(税込)

 

「ドクダミ」額なしマット付き
マット外寸:約 42.4cm × 54.5cm、     ¥77,000-(税込)

 

「アサガオ」額なしマット付き
マット外寸:約 42.4cm × 54.5cm、     ¥77,000-(税込)

 

「マーガレットのような」額なしマット付き
マット外寸:約 42.4cm × 54.5cm、     ¥77,000-(税込)

 

「受験生・1」額なしマット付き
マット外寸:約 28.8cm × 37.8cm、¥50,000-(税込)

「受験生・2」
額なしマット付き
マット外寸:約 28.8cm × 37.8cm
¥50,000-(税込)

 

「姉さま河岸見世相談処」
額なしマット付き
マット外寸:約 28.8cm × 37.8cm
¥65,000-(税込)

「姉さま河岸見世相談処・未練づくし」
額なしマット付き
マット外寸:約 28.8cm × 37.8cm
¥65,000-(税込)

 

「読書」
額装込み
額外寸:約 23cm × 31.7cm
¥40,000-(税込)

 

「美味しい二人」
額装込み
額外寸:約 23cm × 31.7cm
¥40,000-(税込)

 

 

「放課後」
額装込み
額外寸:約 23cm × 31.7cm
¥40,000-(税込)

 

 

「横顔」
額装込み
額外寸:約 23cm × 31.7cm
¥40,000-(税込)
「まなざし」
額装込み
額外寸:約 23cm × 31.7cm
¥40,000-(税込)
 「海辺の二人」
額装込み
 額外寸:約 26.7cm × 26.7cm
¥45,000-(税込)
「少年」
額装込み
額外寸:約 26.7cm × 26.7cm
¥45,000-(税込)
「友だち」
額装込み
額外寸:約 26.7cm × 26.7cm
¥45,000-(税込)
「読み終わらない本」
額なしマット付き
マット外寸:約 28.8cm × 37.8cm
¥55,000-(税込)

 

 

 

HB FILE COMPETITION vol.34 河西達也賞 IQGM個展「ユウカ・リーの殺人事件簿」

HBファイルコンペvol.34 受賞者展、第5週目の作家さんは
河西達也さんの大賞を受賞されたIQGMさんです!

緻密に描き込まれた作品で、ストーリー仕立てに会場を構成していただきました。
いらっしゃったお客様は作品だけでなくストーリーにも興味津々。

今の作風となったいきさつ等もお聞きしました。

会場の様子をインタビューとともにお楽しみください!

一部展示作品はオンラインショップでもお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

 

ー河西達也賞 大賞受賞、おめでとうございます。
受賞を知った時はどんなお気持ちでしたか?
河西さんに選ばれた感想もお聞かせください。

 

びっくりしました。同時にとても嬉しかったです。昨年、河西さんに選ばれていたこみひかるこさんの作品が大好きで、同じ審査員の方に選んでいただけたことはとても光栄でした。

ファイルコンペの審査員の皆さんのお写真がモノクロで、全員怖そうだなと思っていて笑、特に河西さんは怖そうだったので(すみません笑)、個展の際に直接お話しできるまではドキドキでした!とても気さくな方で、作品についてや作品以外のこともいろんなお話ができてとっても楽しい時間を過ごさせていただきました。本当にありがとうございました!

 

 

ー受賞されたIQGMさんのファイルはストーリー仕立てになっており、
ページをめくるたび、手に汗握るスリル満載の内容です。
IQGMさんご自身はファイル作りにおいて、
意識されたことや工夫されたことなどはありますか?

 

自分の作品は消費期限が短いと個人的には感じるので、当たり前かもしれませんが最新作を入れました。去年の11月に開催した個展の絵を中心に、枚数は多い方がいいかなと思ったので、個展以外の作品はそれと親和性のある作品だけを入れました。

 

 

ー受賞展「ユウカ・リーの殺人事件簿」では
IQGMさんが近年制作されている「わるさ」をしている人々(コアラ)のシリーズで描かれた
「小守優狩(こもりゆうかり)」を取り巻く物語が展開されています。
徹底的に描きこまれた11枚の作品が持つ力はもちろんですが、
過去の出来事がフラッシュバックするかのように質感の異なる紙に出力されていたり、
レシートなどの証拠品、事件現場を示す地図までもが展示されていたり
物販では捜査資料のZINEまで用意され
展覧会に対するIQGMさんの大変な熱意とこだわりを感じます。
捜査資料や押収品などのアイデアは作品を描く前からあったのでしょうか?
IQGMさんの絵のストーリーはどのように生まれるのでしょうか?
文章は書かれたりされますか?

IQGMさんの創作の背景をお聞きしたいです。

 

 

昨年の個展が終わってから次の作品は刑事物を描きたいとずっと思っていたので、受賞した時からふんわりと構想はありました。

小守優狩は一度しか描いた事が無かった人物でしたが、なぜか心に残っていたので、彼の人生は本当に逮捕される運命が正解だったのか、どんな人生を送った人なのかを考え始め、逮捕されなかった世界線を信じてみたのが今回の個展のストーリーの始まりです。

捜査資料や相関図、証拠品などの展示のざっくりとした「やりたいこと」は2月か3月ごろには決まっていて、それをベースに4月くらいから物語を考え始めました。私が大好きなドラマ「相棒」や「古畑任三郎」「BORDER」「SHERLOCK」「The Killing」などの(あげたらキリがない)刑事ドラマの事件の構造を書き出して参考にしたり、小説を描くためのミステリー入門的な本を読んだりもしました。

事件は時系列で考えて、とにかく紙に書き出しました(言葉で)。考えるうちに物語が複雑になると、個展の規模や絵を描ける時間が限られていることから簡素化しようとしてしまい、登場人物たちに不自然な行動をさせてしまったりして、それは良くないな、まあ複雑でも仕方ない、この人物はこう考えてるんだから、私が頑張って描けばいいと思って描きました。結果、とんでもなく複雑な話になり笑、描きたかったシーンが他にもたくさんあったのですが、ギリギリ話の内容がわかる範囲でシーンを切り取る形となりました。このギリギリ話の内容がわかる、のギリギリのラインを攻めるラフが本当に大変で、またどうしてもドラマで見たことがあるような構図になってしまい、これは反省点なのですが一つ一つのイラストレーションとしての面白みには欠ける展示になってしまったかなと思います。コントとしてはまあまあ成り立ってはいるけど、大喜利としてはイマイチだったかなと……これはリベンジしたいです。話を考えるのも小学生の時に考えた漫画ぶりだったので、その辺りも修行したいなと思います。

また、デジタル作品なのでアウトプット方法については考えるところがありました。元々自分の作品を額装することはしっくりきていない(画風と合わない気がする)ので、額装以外の選択肢で…となるとこれまた限られていて、これについてももっと他の作家さんの展示を見に行ったり印刷所の方と相談したりしながら模索していきたいです。今回は和紙に出力したのですが、これはすごく良かった気がします。和紙のアイデアをいただいたのはHB WORKのグループ展で一緒だった安里貴志さんで、安里さんは木材や布に出力されていたりして、どれも作品とマッチしていて素敵です。

 

 

ーIQGMさんの作品はいくつもの線が集積されたハッチングによる描写で、
背景の隅々にまで丁寧に描きこまれた密度の高い作品です。
iPadで制作されているとお聞きしていますが
アナログで制作されていた時期はありますか?
現在の画風になった経緯などお伺いできますでしょうか。

 

デジタルは中高生の時から始めていて、当時はアナログで制作もしていましたし、今も本当はアナログで制作したいと思っているのですが、まだ技量が足りなくて挑戦できてないです。

現在の画風は、パレットクラブスクールに通っていた時に動物を擬人化して描く課題があった時くらいからで、コアラは在学中にインスタのフォロワーさんからコアラを描いてほしいとご依頼をいただいたことがきっかけです。

 

 

ーIQGMさんが今後挑戦されたいお仕事や活動、
イラストレーターとしての展望などをお聞かせください。

 

仕事としては啓蒙系のポスターや広告などに挑戦してみたいです。装画や挿絵も好きなので、引き続きやっていけたら幸せな仕事です。

今回の展示では、一応事件の全貌を把握できるような内容にしていましたが、謎解きができる展示と銘打ってはいませんでした。ですが、来ていただいた方の中には事件を解決するために展示を何周もしてくださった方がたくさんいらっしゃったのがすごく嬉しかったです。次回個展をする際には、絵だけでなく立体や音なども取り入れて、謎解きを本格的にできるインスタレーションのような展示に挑戦してみたいと思っています。

 

 

インタビュアー 須貝美和

HB FILE COMPETITION vol.34 葛西薫賞 藤美沙個展「庭あそび」

HBファイルコンペvol.34 受賞者展、第3週目の作家さんは
葛西薫さんの大賞を受賞された藤美沙さん。初個展です!

繊細で、ほとんどの作品はモノクロで描かれています。
抑えた色彩により際立つ美しいフォルムの作品、とても素敵な個展となりました。
ご友人たちと制作された額も見どころです。

会場の様子をインタビューとともにお楽しみください!

一部展示作品はオンラインショップでもお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

 

ー葛西薫賞 大賞受賞、おめでとうございます。
受賞を知った時はどんなお気持ちでしたか?
葛西薫さんに選ばれた感想もお聞かせください。
昔からそのお仕事が大好きだった葛西薫さんからの賞とのご連絡に、驚き、あまりの嬉しさに夢と現実の境がなくなったような気分で、1週間ほどまともに眠れませんでした。
感想は言葉を尽くしても書ききれないのですが、描き続けているとよいことがあるのものだなと思ったことを、今後制作に行き詰まったら思い返したいです。
ー藤さんは映画スケッチや過去100年の出来事をテーマにしたシリーズなど、
ご自身の引き出しを多くお持ちの印象ですが、ファイルコンペの作品はモチーフを植物に統一されたのでしょうか?
応募作品の選定理由や、ファイル作りで藤さんが意図されたことなどをお伺いできますか。
この制作の期間に、自分にとって「普通」に描くとはどういうことかを追究したくて、絵の設定や資料をシンプルにしてみようと思いました。
ファイルコンペは応募枚数が多いため、考える時間よりも手を動かす時間を多くしたかったこと、審査員の葛西薫さんのお仕事の特徴から、奇をてらわないアプローチがよいのではないかと見立てたこともあり、応募作は一貫して植物を描くことにしました。
作品の選定やファイル作りの段階でそこまで意図したことはなかったのですが、展示するにあたって原画を見返すと、自分としては生々しすぎるような作品もあって、良くも悪くも必死だったように思い返されます。
ー藤さんは青山塾、パレットクラブにてイラストレーションを学ばれ、2022年よりイラストレーターとして活動を始められたそうですね。
イラストの塾に通われるようになったきっかけや、それぞれの塾で学んだこと、現在の藤さんの制作に影響を与えていることなどがあれば教えてください。
きっかけは仕事からの逃避ですが、いずれのスクールでも、目標を持って制作に取り組む仲間に刺激され、私自身の絵に取組む姿勢も変わったように思います。
それぞれで学んだことは数知れずなのですが、青山塾は専任の講師の方々に継続的に絵を見ていただけること、パレットクラブは多様な講師の方に多角的に絵を見ていただけることが特徴で、自分の絵を相対化して、時に惑いながら制作の方向を見出せたことがよかったと思っています。
ー展示されている額も藤さんがご自身で制作されたとお聞きしました。
作品が額縁の中で浮いて見えるような浮かし額装でアクリル板がないため作品を直に味わうことができます。
作品を支える背景の紙の色もポップで藤さんのモノクロームの作品を引き立てているように感じました。
既成の額を使わずに、ご自身で額を作ろうと思われた理由や、
このような額のスタイルにされた経緯などをお伺いできますか?
実のところ、額は私のアイディアでも制作でもなく、それぞれ友人の手によるものなのです。
準備の初期段階から、イラストレーションの個展なので、自分以外のアイディアと自分の絵が出会う空間を作りたいと思っていました。
3月に展示テーマと大まかな制作方針を決めて、信頼する友人に内容を説明して協力を仰ぎました。
彼女はHBギャラリーの壁の優しい雰囲気と、どちらかというとそれとは逆の雰囲気の私の絵をどのように繋げるかというところから思考しているようで、GWのある日突然、試作した額を自宅宛に送ってくれたのです。
驚きつつも、それがすてきだったので、別の友人も巻き込んで制作することにしました。
個展に向けて、絵を描くことや、紙物のデザインは一人作業でしたが、ゆるやかに協力してくれる友人たちと準備ができたことにとても励まされました。
ー藤さんが今後、挑戦されたいお仕事や活動、
イラストレーターとしての展望などをお聞かせください。
イラストレーターとしてのひとつの展望は、音楽、舞台、文芸、食など、他の文化を作る方と協業したいということです。ポスター、装画、ディスプレイなどに携わってみたいです。
もうひとつは、絵本を作ってみたいということです。言葉と構成を考えて絵あてることが好きで、今回の展示で初めて絵本仕立てのZineを作ってみたのですが、予想以上に多くの方にお手に取っていただく機会となりました。
インタビュアー 須貝美和

HB FILE COMPETITION vol.34 鈴木久美賞 宮城高子個展「マルチクロス」

HBファイルコンペvol.34 受賞者展、第2週目7/12~7/17に個展を開催された宮城高子さん。
鈴木久美さんの大賞を受賞されました。

繊細な刺繍で制作された作品を展示していただきました。
会場では宮城さんが装画を担当され、鈴木久美さんデザインの書籍もご覧いただきました。
ファイル作成にまつわることや、どのようにして刺繍による制作に至ったか等お聞きしました。

会場の様子をインタビューとともにお楽しみください!

 

 

ー鈴木久美賞 大賞受賞、おめでとうございます。
受賞を知った時はどんなお気持ちでしたか?
鈴木久美さんに選ばれた感想もお聞かせください。

 

選ばれるとも思ってなく、そろそろ結果かなとか二次通ってたらいいなあ
と思っていた時に連絡が入っていたのでただただびっくりで、
嬉しさのあまりいただいたメールを何回も確認しました。
その後は少し、大丈夫なのかな?といった怖さもありました。
鈴木久美さんに選ばれた感想は、
2020年のギャラリーハウスMAYAさんの装画コンペで鈴木さんに選んで頂いてから、
今回選ばれるまでの3年の間、鈴木さんの期待に応えたいという思いは常にあったので、
選ばれた時は本当に嬉しかったです。



ー応募されたファイルを作成するにあたり、
宮城さんが工夫されたことや、意図されたことなどはありますか?

工夫については特になく全力でした。ただ、統一性がないと思っていましたので、
ページをめくるときになるべく違和感ないように心掛けました。
実はしばらく絵を描けなかったのですが、
徐々に復活しやっと絵が描ける状況になれたその喜びと、第39回ザ・チョイス年度賞の講評で、
鈴木久美さんが私の入選作品に関して「応援したい。ぜひほかの作品も見てみたいです。」
というコメントを寄せて下さったのを目にした時から、とにかく鈴木さんに見ていただきたい、
喜んでいただきたいという思いで作成しました。
ー個展タイトル「マルチクロス」には、宮城さんのどのような思いがこめられているのでしょうか。
今回の個展のテーマと併せてお聞かせください。
もともと生地が薄く大きめのスカーフや、綺麗な柄のマルチクロスが好きで、
それらをセンス良く使いこなし、生活している欧州の田舎暮らしの人々の雰囲気などを表現できたらいいなと思って制作しているところがあります。
今回は作品群が統一性がなかったので、ごちゃごちゃでも一枚の布でひとくくりしてしまおうという意味でマルチクロスがテーマになりました。
ー宮城さんは刺繍糸やフェルトを用いてイラストレーションを制作されています。
色鮮やかな糸が線や面へと形を変え、清らかで美しい世界が表現されています。
刺繍は何がきっかけで始められたのでしょうか?
現在の画風になった経緯を教えてください。
最初は絵の具で制作していたのですが、自分の作る色がなんかくすんでるように見えて悩んでいたとき、たまたま鳥の刺繍がされた籠バックを見て、絵を糸で縫ってみようと思い立ちました。
それから厚めのフェルトを見つけ、現在の画風になりました。
糸の色も奥深く、色の組み合わせなど難しいところもありますが、
素材のおかげでお褒めのお言葉をいただくのでとてもありがたいです。
実はそれまでお裁縫なんてしたことはなかったので、
現在のこの画風は自分でも不思議だと思ってます。
今も本当のお裁縫やプロフェッショナルな刺繍は出来ません。
ですので自分では「刺繍」というよりは「絵を描いている」という感覚で制作しています。
ー宮城さんが今後挑戦されたいお仕事や活動、
イラストレーターとしての展望などをお聞かせください。
装丁画、映画音楽関係などの何かの作品にご縁があればいいなと思います。
それからイラストレーターの皆さまが通ってこられた媒体で起用されたら嬉しいです。
本当に素晴らしい作品が次から次へと世に出て拝見する度に、打ちのめされまくってますが、
本物の作品を作り上げたいという欲求は常にあるので、
見てくださる方に響くような作品を作れたらなと思っています。
インタビュアー 須貝美和

HB FILE COMPETITION vol.34 特別賞展 特別賞5人によるグループ展

今週からファイルコンペvol.34の受賞者展が始まりました!

7月5日から8月21日まで、受賞者の作品を展示致します。<br>第1週目(7/5(金)-7/10(水))は、特別賞に輝いた受賞者5名によるグループ展です。5人それぞれの個性が光る展示をどうぞお楽しみください!

葛西薫特別賞 / eumoo
河西達也特別賞 / サトウアユム
鈴木久美特別賞 / かとうゆうか
鈴木成一特別賞 / 見崎彰広
服部一成特別賞 / おおはしたくま

服部一成特別賞 / おおはしたくま

葛西薫特別賞 / eumoo

鈴木久美特別賞 / かとうゆうか

鈴木成一特別賞 / 見崎彰広


河西達也特別賞 / サトウアユム

次回HB WORKvol.6とHBFILEvol.35の応募要項が完成致しました。
皆さんの力作、お待ちしております!
ぜひご応募下さい!
https://www.hbgallery.com/compe.html

もとき理川個展 「おしゃれ独本」

今回ご紹介するのは、2024年6/28~7/3に個展を開催されたもとき理川さんへのインタビューです。

HBギャラリーでは6回目の個展となったもときさん。
ご自身もとても素敵な装いでギャラリーに在廊していただきました。
ご本人にとってのファッションのこと、またイラストレーターになられた経緯をお聞きしました。
カラフルでユニークな作品で彩られた会場の様子を、インタビューとともにお楽しみください!

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

 

ーもときさんはHBギャラリーで今回6回目の個展を開催していただきました。
前回は5年前の開催ですが、今回の個展に向けてどのような思いで制作されましたでしょうか。

コロナ禍、私自身も含む大多数の人々がギャラリーに足を運ばなくなった最中。3年後のカレンダーを眺めていてふと、私の誕生日2024年6月28日が金曜日であることに気づきました。しかも還暦を迎える区切りの誕生日。そこでなぜか突然「お祝いの個展をやろう!」と思いついてしまいました。コロナで1人もお客様がこないかもしれないけど、私のためだけの個展だからOK、それならできるなぁと。
自分を喜ばすための個展なので、自分の好きなものをテーマにしようと思い、「パリ」か「ファッション」かで迷いました。パリはもっと歳をとってもできそうだけど、ファッションはこれ以上歳をとると難しそうだからと今回選びました。
ーとても素敵な質感の作品たちはカッティングシートやステンシルで制作されたそうですね。
特にカッティングシートはあまり画材としては使われないかと思います。
今の制作スタイルとなった経緯をお聞かせいただけますか。
カッティングシートの厚さが好きなんです。もともと「面」の絵が好きなので、面の魅力をストレートに伝えたく、マットでシャープな色面を作り出すことに取り組んできました。
カッティングシートに出会うまでは、アクリル絵の具を何層にも塗り重ねていましたが、そうするとエッジのシャープさが失われていく。なにかいい材料ないかなと探していたある日、世界堂の紙カウンターの壁面にある色とりどりの「何か」を発見しました。
それがカッティングシートでした。
ー作品もおしゃれですが、もときさんご自身もとてもおしゃれで素敵です。
展示のコメントや販売されているZINEにもファッションにまつわることが書かれています。
ファッションがもときさんの作品にどのような影響がありましたか?
ありがとうございます(笑)。そうですね、こう言っては何ですが、イラスト作品にファッションが影響することはなく、今回は「ファッション」がテーマなのでこうなりました。
でも遡ること40年前、実は私はファッションデザイナーになりたいと思っていました。しかしながら両親に反対され、根性がなかったのでそのまま素直に諦め、30代後半までふつうに社会人として働いてきましたが、勿論その間もおしゃれは大好きでした。いま仕事などで描いているイラスト作品はファッションを意識してはいませんが、私の人生とファッションが密接な関わりを持っているので、そういう意味でイラスト作品にも反映されているかもしれませんね。
ー現在はイラストレーターとして装画や挿絵など、たくさんの魅力的なお仕事をされているもときさん。
会社員時代を経てイラストレーターになられたと伺いました。
イラストレーターになられた経緯などをお伺いできますか?
私が幼い頃、実家の家業が小さな印刷屋でした。おもちゃ代わりに刷り損じの紙を与えられ、物心ついたときから絵を描いて遊んでいました。年賀状もカレンダーも自分で作るのが当たり前。小5の頃、自分が描いたうさぎの絵の年賀状を父が刷ってくれて、なにやら感動を覚えました。たぶんそれが初のイラストレーター体験(笑)。でもまぁ、その後は普通に受験して進学して就職して…と普通の暮らしをしながらも、いつかはクリエイティブな仕事をしたいと絶えず願っていました。30代半ばで会社員を辞めイラストレーターを志して、仕事が来るまでにさらに10年。小5の年末に味わった喜びを再び味わうまでに40年近くかかりました。今でも献本を頂くとあの時の気持ちになります。
ーもときさんが今後挑戦されたいこと、
イラストレーターとしての展望などをお聞かせください。
こんな後ろ向きなことを言っていいのか分かりませんが、今回の個展の制作をしていて身体の機能の衰えに愕然としました。老眼が進み細かい作業はとてもシンドく、夜も遅くまでは起きていられず、若い頃なら1日でできたことが今は3日かかります。もう60歳ですからね。ただ、やりたいことがないかと言うとそんなことはなくて、これまではエディトリアル中心だった仕事の幅を少し広げて、広告やパッケージのお仕事もやってみたいと思っています。
そして恩師・安西水丸氏から頂戴した言葉「ものすごい売れっ子にならなくてもいいから、絶えず仕事をしている人になりなさい」、これは今後も第一の目標に掲げてゆきたいです。

いわしまあゆ個展 「Little by Little」

今回ご紹介するのは、2024年6/21~6/26に個展を開催されたいわしまあゆさんへのインタビューです。

HBギャラリーでは初めての個展となったいわしまさん。
温かみのある作品やグッズでとても素敵な空間にしていただき、
たくさんのお客様がお越しくださいました。
インタビューではデザイナーをされていた時のお話もお伺いしました。

会場の様子をインタビューとともにお楽しみください!

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

ーいわしまさんはHBでは初めての個展となりました。
今回の個展のテーマや、展示タイトル「Little by Little」にこめられた想いをお聞かせください。
個展させていただくことになってから、ある程度期間があったにも関わらず仕事とこどものことなどでいっぱいになってしまい、制作になかなか時間を使えませんでした。
本当はテーマを絞って展示を、と思っていたのですが、今回は無理しすぎず、挑戦もしつつ、できるペースで、自分なりの展示ができたらと考えをあらためて、
「少しずつ」という意味の「Little by Little」テーマに決めました。

ーいわしまさんはグラフィックデザイナーを経てイラストレーターとしてのキャリアを積まれ、
本や雑誌、広告やWebなど、幅広い媒体でお仕事を手がけられています。
いわしまさんがイラストレーターを志されたきっかけや経緯などをお伺いできますか?

デザイナー時代に商業施設のリーフレットのデザインをしていた時に、たまたまアイデアとして出した、自分で描いた絵を採用していただくことがありました。
近年はデザイナーがイラストレーターも兼ねている方が多くいらっしゃると思うのですが
かなり前の話なので、当時は(少なくとも私の周りでは)デザイナーとイラストレーターは分けるものという感覚が強く、描いてもいいんだ!ととても衝撃的だったし、採用されたことをうれしかったのを覚えています。
そこからあらためて絵を描くのに挑戦したり挫折したりして、といろいろあり11年ほど前からwebサイトなどでお声をかけていただくことが増え、フリーのイラストレーターとして活動し、現在に至ります。
ー展示会場では直接木に描かれた鳥などのオブジェ作品も楽しむことができ、
販売されているグッズの中にも可愛らしい木製のブローチがあります。
展示されている作品の額も、温もりを感じる木の額を使用されていますが、
いわしまさんが木を使用される理由は何でしょうか。
いわしまさんにとって木はどんな存在ですか?
「木」という存在が好きです。
自然のものはどうしてもゆがんだり、よくも悪くも変化もしていくけれど、あたたかくて惹かれます。
ここ14年?くらい、木工が趣味で、素人ではあるけれど、自分で棚や家具やあらゆるものを作っています。家の家具でイスとキャビネット以外はほぼ私が作ったものだったり…なので、一般的な人よりは木材が身近かもしれません。
あとは自分の絵を既製のきれいな額に入れた時に、どうしてもしっくりこなくて現在のスタイルになっています。
今後も絵に合うものを追求していきたいです。
ーいわしまさんはご自身のオンラインショップでも様々なグッズを販売されており、
中でも毎年のカレンダーは大人気商品です。
毎年のカレンダーで使用するイラストや描くモチーフはどのように選ばれていますか?
また、カレンダーの他にもカードやマスキングテープなど、
いわしまさんがグッズ製作で意識されていることなどはありますか。
カレンダーでは毎月1日にめくるのが楽しみになるような、季節の絵を描きたいなと思って制作しています。
ポストカードはそのままで飾れるようなモチーフがいいなと思っています。
そのほかのグッズは手帳などのデコレーションに使っていただくことが多く、自分の絵をさまざまな使い方をしているのを見せていただいていてとても楽しいです!
なので切り取って使えるようにモチーフが切れないようにも意識しています。
ーいわしまさんが今後挑戦されたいこと、
イラストレーターとしての展望などをお聞かせください。
今まで絵を見てくださる方と直接お話ししたりコミュニケーションを取らせていただく機会がほとんどなかったのですが、今回展示でSNSを見てきてくださる方もとても多く、お話しできてとてもうれしかったです。
少しずつですがイベントにも出て行って直接お話しできる機会を増やせたらいいなと思っています。
9月に手紙社さんの「紙博」にも初めて挑戦します。
あとは初期の方によく描いていた風景を数点、今回展示に合わせて久しぶりに描きました。
特に風景の作品が好きだといってくださる方や、風景を見にきたといってくださった方がいてうれしかったです。
風景だけの展示もしてみたい。
あとは人物やいきもの。挑戦しては挫折したりもしているのですが、描きたい気持ちが強くなってきたのでこれからたくさん描いていきたいと思います。
インタビュアー 須貝美和

堀江恭一個展 「海底酒場で逢いましょう」

今回ご紹介するのは、2024年6/14~19に個展を開催された堀江恭一さんへのインタビューです。
懐かしいモチーフがたくさん登場する堀江さんの作品たち。
懐かしいだけではなく、不思議な雰囲気も感じます。
版画やコラージュで制作された独特のテクスチャも魅力的です。
会場の様子をインタビューとともにお楽しみください!

 

ー堀江さんは初めての個展となりました。
「海底酒場で逢いましょう」と題し、昭和レトロな風景とSFの世界をミックスされた、
ユーモアと温かさのある世界を表現されています。
ご自身が創造された世界をイラストレーションで表現するために、
堀江さんが工夫されていること、意識されていることなどはありますか?
今回の個展においては、主に紙版画を使い、昭和レトロとSFをミックスした世界観を表現しましたが、
その世界観が出るよう一番工夫したことは、昭和の匂いのするアイテムを画面内に置き、どこか懐かしい印刷物を感じさせる色合いを出すということでした。
幸い版画用インクはレトロ感を出せる色があったので、それを多用しました。
また、ユーモアのあるストーリーをできるだけ盛り込んでいきました。
ー堀江さんは定年退職を機に本格的にイラストレーションに取り組まれ、
東京装画賞では銀賞を受賞されるなど目覚ましいご活躍をされています。
堀江さんがイラストレーションを志されたきっかけや理由は何だったのでしょうか?
40年以上も前の話になりますが、もともと美術系の大学への進学希望はあったものの、
家族の理解が得られそうにもなかったので普通の文系大学に入学しました。
しかしながら絵への想いをあきらめられず、夜はセツ・モードセミナーに通っていました。
大学卒業時点で絵の世界へ踏み切ることも考えましたが、絵で生計を立てていくほどの腕前も自信もなかったことから、普通のサラリーマンの道を選びました。
サラリーマンの定年退職が近づくにつれ、絵への想いが再燃し、後悔してあの世に行きたくないと考え、
定年退職を機にイラストレーションに本格的に取り組むこととしました。
ー展示されている版画作品は、ドライポイントやコラージュなど、様々な技法を併用され、マチエールへのこだわりを感じます…!
現在の表現方法に至った経緯や、堀江さんご自身が作品制作で影響を受けた作家や表現媒体などあれば教えてください。
もともとドライポイント教室に通って作品を作成しており、ここでは細かく彫った具象的な作品を作成していました。
このような中、もうちょっと心象的なものを表現できないかと考えるようになっていたところ、
当時、タダジュンさんの紙版画に出会い、作品が訴えかけてくる力に圧倒されました。
そこで、私も紙版画をやってみようと思い、独学で紙版画を始めました。
独学でやっていますからどんどん好き勝手に作っていき、現在のスタイルになりました。
ー個展では鮮やかな色彩で表現されたデジタル作品も展示されています。
堀江さんがデジタル制作を始められたのはなぜでしょうか?
堀江さんが感じるデジタルの魅力や、
版画の制作と比較して何か違いや共通点などはありますか?
デジタル画を始めたきっかけですが、もともと興味はあったものの、Photoshopで絵を描くことをマスターできずに途中であきらめていました。
こうした中、峰岸達先生が主宰されているMJイラストレーションズに入塾しました。
そこでは、課題が2週間毎に出されますが、版画ではとても間に合いません。
そこで、昔、あきらめたデジタル画に再チャレンジしました。
今度はAdobe Frescoで始め、これは比較的、初心者でも使いやすく、私でも絵を描くことができました。
デジタル画の魅力ですが、版画と比べ自由に色を使え、また、色んな筆が使え、油絵風、水彩風など色んな描き方ができるということです。
また、絵を描いていくうちに自分が求めている色がどんな構成で成り立っているか、「かすれ」とはどういうことかなどを学べ、非常に勉強になります。
版画との相違点ですが、私の場合、版画は3~4色刷ですので、使える色数が少なく、作成する際、パズルのようにどこにどの色を置くか考えなければなりません。
一方デジタル画はその辺を気にする必要はありません。
版画と似ている点ですが、双方とも、描く際にレイヤー若しくは版を使い、色面を分解して作成するところだと思います。
版画をしていたせいか、レイヤーにはすんなり馴染めたと思います。
ー堀江さんが今後挑戦されたいこと、
イラストレーターとしての展望などをお聞かせください。
私は現在63歳ですので、他の新人イラストレーターに比べ、残された時間が非常に短いという現実を踏まえなければいけないところですが、あと、油絵、アクリル画をしてみたいと考えています。
今後は、装画の仕事ができればいいなと考えています。
インタビュアー 須貝美和