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くぼいともこ個展 「パティスリー」

今回ご紹介するのは、2024年3/1~3/6に個展を開催されたくぼいともこさんのインタビューです。

たくさんのケーキやお菓子をリアルでありながら可愛らしく描かれるくぼいさん。
実際に購入して、食べてから描かれた作品とのことです。
「美味しそう」「お腹が空いてきた」などのお声をたくさんいただき、
華やかな展示会場にしていただきました。
会場の様子を制作インタビューとともにお楽しみください!

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

 

ーくぼいさんは初めての個展となりました。
初個展は大好きなケーキやお菓子をテーマにされると決められていたとお聞きしています。
くぼいさんが感じるケーキやお菓子の魅力や
くぼいさんが食べ物をモチーフにされるようになったきっかけや理由を教えてください。

 

食べることが好きなので自然と食べ物モチーフを描くことが多くなりました。
ケーキなどのお菓子は普段の食事と違って必要な栄養素ではありませんが
私にとってはその美しさと美味しさは心ときめく潤いであり癒しです。
初めての個展を長年憧れていたHBさんで開くことができるということで
自己紹介を兼ねてケーキをテーマにいたしました。
今回HBさんの投稿をご覧になった銀座ウエスト様がお越しくださり
商品を描いた作品を本社にお迎えくださるという夢のようなご縁に繋がりました。

 

 

ーくぼいさんはイラストレーター山田博之さんが主催される塾でイラストレーションを学ばれたそうですね。
山田さんからはどのようなアドバイスを受けましたか?
山田塾に通って変化されたことなどはありますか?

 

「自分が描きたい物、楽しく描ける物、得意な物を描く」
「無理にタッチを作らず、10年後も自然に描けるように」など
イラストレーションへの向き合い方を教わりました。
それまではどうやったらコンペで選ばれるのか、
覚えてもらえるような個性的なタッチを作らなきゃと焦ってましたが
肩の力が抜けて自然に描けるようになりました。
自分では面白味のない普通の絵だなとは感じてますが
今はどんなに忙しくても描くことが楽しいですし、描いていて「生きてる!」と感じます。
個展ではお客様から「作為的な感じがしなくて良い」「実物より美味しそうに見える」
とお声を頂けて嬉しかったです。

 

 

ー展示されている作品は、全てくぼいさんが召し上がられたケーキやお菓子ということですが、
作品になるまでにどのようなプロセスをたどられるのでしょうか?

 

ケーキの場合はまず頑丈な保冷バッグと大きめの保冷剤を準備して買いに行きます。
崩れないよう慎重に持ち帰り、色々な角度から撮影して美味しくいただきます。
その後写真の中から一番そのケーキが魅力的に見える画像を選び参考にしながら、その時の味や食感、香りなど思い出しながら描いてます。

 

 

ーくぼいさんは水彩絵具でモチーフを丁寧に魅力的に描かれています。
水彩絵具を使われるようになったのはなぜでしょうか?
水彩絵具の魅力を教えてください。

 

子どもの頃から馴染みがあり、紙と水と筆があればすぐ描ける手軽さが面倒くさがり屋の自分に合っているようです。
水に溶ける鮮やかな絵の具の滲みが気持ち良く描いていて癒されます。
コントロールできないところも一筋縄ではいかない魅力があります。

 

 

ーくぼいさんが今後挑戦されたいお仕事や活動、
イラストレーターとしての展望などをお聞かせください。

 

広告やパッケージのお仕事がしたいです。
食品関係は勿論、花植物や動物も描きたいので化粧品や雑貨にも興味があります。
いつかCDジャケットなどのお仕事にも携わりたいです。
こだわりが詰まった丁寧に創られた商品や上質なブランドなどをより良く魅せるためのお手伝いが出来たら嬉しいです。
これから得意分野は活かしつつ技術は勉強して、幅広い視野で普遍的なもの、
より多くの方の心に届くようなイラストを描いていけたらいいなと思ってます。

 

インタビュアー 須貝美和

才村昌子銅版画展 「版の遊び」

今回ご紹介するのは、2024年3/8~3/13に個展を開催された才村昌子さんのインタビューです。

幻想的で、またモダンな雰囲気も醸し出ている個展会場となりました。
銅版画ならではの技法により、魅力的な質感で表現された作品たち。
会場の様子を制作インタビューとともにお楽しみください!

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

 

ー才村さんは3回目のHB個展となりました。
展示作品は全て銅版画の作品でありながら、
色や形、作品のサイズも多種多様で、銅版画の魅力が余す所なく発揮されています。
今回の個展「版の遊び」におけるテーマや、
発表にあたって意識されたことなど、今個展に寄せる才村さんの想いをお聞かせください。

 

多色刷りも版の組み合わせで多様な表情が生まれますし、抽象と具象のイメージを重ねて刷るなど、見え隠れするイメージがかくれんぼにも似て「版の遊び」というタイトルをつけました。銅版画の制作はいろいろな驚きと発見に満ちています。
そんな興奮と喜びが作品から伝わる展覧会になれば嬉しいです。

 

 

ー個展会場で流れている音楽は、才村さんの銅版画が使われているジャケットデザインですね。

音楽や異なる領域との関わりについて、どのように感じていますか?

 

会場で流れている音楽は、今回展示している『月の変奏』のシリーズを描くきっかけとなったアルバム
『ピアノフォルテ・イン・グリーン』です。
以前ピアニストの田中綾さんからピアノリサイタルのキービジュアルを依頼されて、
楽曲のイメージを銅版画で表現しました。
銅版画の表現を深めていくことで、音楽家や写真家など異なる領域の方々と
より深い交感が生まれるようになったことをとても嬉しく感じています。

 

 

ー才村さんは銅版画の制作にますます魅力を感じているそうですね。
銅版画のどんなところが才村さんを引きつけるのでしょうか?
デジタル化の時代で、敢えてアナログの複製技法を探求されている理由を教えてください!

 

プレス機の圧で紙に刷り取られた銅版の型とインクの盛り上がりには、
均一でフラットな現代の印刷物とはまるで違う魅力と物質感があります。
そして製版や刷りの段階で自分の意図しない偶然性や揺らぎが生まれることが、
アナログの複製技法の味わいと面白さですね。

 

 

ーこれから挑戦されてみたいこと、今後の展望をお聞かせください!

 

A5:銅版画+様々なマテリアル、
銅版画を陶器に見立てて作るなど新たなアイデアがどんどん湧いてきて、
版の遊びはこれからも続いていきそうです。

 

インタビュアー 須貝美和

CHIZURI個展 「くろいいきもの」

2024年2/23~2/28に個展を開催されたCHIZURIさんへのインタビューです。

力強い「くろいいきもの」たちが展示空間いっぱいに広がる圧巻の展覧会となりました。

また平面作品に加え、立体作品やオリジナルグッズ、消しゴムスタンプなど、観る人を楽しませる工夫も満載、

CHIZURIさんの制作意欲にあふれた個展の様子をこちらのインタビューでも是非お楽しみください!

 

ーCHIZURIさんはHBでは初めての個展となりました。
マンスリーコメントが印象的です。

太陽の熱を吸収する大地のような
光を際立たせる闇のような
なにか分かりづらい影のような
ただそこにいる 黒い生き物

個展のタイトルにもある「くろいいきもの」は
CHIZURIさんが実際に見たことのある生き物なのでしょうか?
CHIZURIさんが黒い生き物を描かれるようになったきっかけや理由をお伺いしたいです。

 

生き物を描いているのは、純粋に動物が好きで興味の対象というのもあります。

写実的に描くことよりも、気になった特徴やイメージを抽象化して描いているので、

その想いも含めて今回の展示タイトルとコメントに乗せました。

黒い生き物たちは、かたちに重きをおいて描くことを意識したことで生まれました。

表したものが何か、人によって見え方が違ってくるのですが、わたしとしてはそれも面白くていいなと思っています。


ーCHIZURIさんはHBギャラリーのスタッフを務めながら作家活動をされています。
ギャラリーのお仕事を始めてから、CHIZURIさんの作品制作に何か変化はありましたか?
影響を受けたことなどはありますか?

 

1年前にスタッフとしてジョインさせていただき、目の前のことに向き合って勤めてきましたが、

改めて振り返ると、絵や心に刺激を与えてくれていると感じます。

オーナーのたりさんには絵に対しての具体的なアドバイスもいただき、

オーナーもスタッフの皆さんも全員作家なので、

意見交換などもできて、やる気に火をつけてくれるような環境です。

そのコミュニティーにいることで自分も成長している、という感覚はすごくあります。ありがたいことです。

 

ー昨年は陶芸教室へも通われ、その学びを活かした粘土作品も展示されています。

陶芸教室へ通われたきっかけは何でしょうか?

また、立体作品の制作は、CHIZURIさんが普段アクリルガッシュで制作されている平面作品と比べて、

何か違いを感じることはありますか?

今後も粘土の制作は続けられるのでしょうか?

 

昔からモノづくりが好きで、イベントなどで発表してきた延長で、陶芸にも興味があったので家の近くの教室に通っていました。

どちらもアナログで作っているので、立体制作も絵を描くこととあまり違いを感じていません。そこにあるものが良いかどうか、

あったら嬉しいかどうかが基準になっていると思います。

粘土を触るのは楽しいので続けると思います。いつかその場所のシンボルになるような、大きな立体などもつくってみたいです。

 

ー今回の展覧会では、artipur COTTAGEとコラボレーションされたハンカチ、巾着、トートバッグも販売されています。

こちらはどのような経緯でコラボが実現されたのでしょうか?

また、展覧会終了後はどちらで購入できますか?

 

描いている絵がブランドイメージとも合うということで一緒に作らせていただきました。今回は自主制作のイラストを提供して、色は先方と相談して決まりました。

わたしの絵がファブリックにも合うという発見もあり、このような機会をいただき感謝しています。

▼こちらからご購入可能です。ご興味がございましたらぜひ。

https://www.kankan-online.jp/smartphone/list.html?search_key=chizuri

ーCHIZURIさんが今後挑戦されたいことや、イラストレーター、絵描きとしての展望などをお聞かせください。

 

人や自分の心を震わせるものができたら、作家としてそれ以上に嬉しいことはないです。

誰かと一緒に組んでお仕事をすることで、わたし個人だけでは作れない新しいものが出来るのも見てみたいです。

具体的には、プロダクトや児童教育などに関わるお仕事なども出来たらと思っています。

描く題材は変化していくと思いますが、とにかくわたしは素直に今描きたいものを描いて、

日々鍛錬しながら、その時々の最善を皆さまに見ていただく活動を命尽きるまで続けていきたいです。

インタビュアー 須貝美和

大床嘉代子個展 「愛でる」

今回ご紹介するのは、2024年2/16~2/21に個展を開催された大床嘉代子さんのインタビューです。

繊細な切り絵とボールペンで描かれた黒の質感が印象的な大床嘉代子さん。
技法によって身の回りの物の見方が変わるようにも思います。
会場の様子を制作インタビューとともにお楽しみください!

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

 

ー大床さんは初めての個展となりました。
個展「愛でる」はどのような思いで準備を進めて来られましたか?
個展のテーマと併せてお聞かせください。

 

今回、個展を通じて自分を見つめなおす、ということが大きなテーマとして自分の中にありました。
なので「愛でる」というタイトルは早い段階から決まっていて、自分の好きなものたちを切り絵にこだわらず、自分が好き、良いなと思う描き方で描いていきました。
ですが一方で、今まで描いてきた絵と違った印象になるので、これで展示を進めていってもよいのか、すごく悩みながら作っていました。
11月にHBギャラリーのスタッフさんにそのことを相談したときに、大丈夫ですよって言ってもらえて、そこからは吹っ切れたというか、自信をもって進められました。

 

 

ー展示作品を間近で拝見すると
ボールペンやアクリル絵の具で描かれたイラストレーションに切り絵の表現が併用されています。
切り抜かれた箇所から鮮やかな色彩がのぞいたり、
一方で切り抜かれたパーツ自体が画面に美しく構成されていたりと
繊細な表現に思わず目を見張ります。
大床さんが現在のような切り絵の表現をされるようになったきっかけや、
影響を受けた作家などをお伺いできますか?

 

きっかけは本屋さんで「切り絵の切り方」という本を見かけて、やってみたのが最初です。
そのときに、紙の切れる感触や出来たときの達成感にとらわれてしまいました。
影響を受けた作家さんは、パレットクラブスクールの同期の友人たちだと思います。
美大などには通っていないので、あんなにたくさんの感性に触れられたのは本当な貴重な体験でした。

 


 

ー展示作品の「黒い静物シリーズ」はバスケットやお皿、急須などの
生活雑貨がグラフィカルに表現され、黒の色面はペンが重ねられた跡が見受けられます。
バスケットの作品は種類も様々ですが、モチーフは大床さんが普段愛用されている物なのでしょうか。
これから黒で描いてみたいモチーフはありますか?
また、ペンで色面を作られている理由などはありますか?

 

はい。うちで愛用しているものと、こういうのが欲しいというあこがれのものと、半々くらいです。
バナナのかごなんかは、本当に描いているときにバナナを入れていました。
しばらくは身の回りにある雑貨たちを描いていきたいと思っていますが、ゆくゆくはこの感じで人物も描いていけたらと思っています。
ペンを使っているのは描くための準備がいらないからです。
絵の具などを使うときに水をくんで、絵の具を準備して…というのが私には結構ハードルが高くて、なかなか行動に移せないのです。
ペンならすぐに描き始めることができるので私に合っているのだと思います。あとはインクの少しメタリックに光るところが好きです。

 

 

ー大床さんは化粧品会社の研究員を経てイラストレーターになられたそうですね。
どのような経緯でイラストレーターになられたのでしょうか。
会社員として働く経験は現在の活動に影響されていますか?
 

化粧品会社に勤めながらも、イラストレーターという夢を諦めたくないという気持ちで両方続けていました。
会社で働いたお金でパレットクラブスクールに通ったり、デザインフェスタなどに出ているうちに少しずつイラストのお仕事が入るようになった感じです。
会社員としての経験は、効率化できそうな雑務は効率化してく、といったイラストレーターのイラストを描く以外の部分に生かされている気がします。

 

 

ー大床さんが今後挑戦されたいお仕事や活動、
イラストレーターとしての展望などをお聞かせください。

 

今回展示した、黒い静物たちが新しいお仕事に繋がってくれると嬉しいです。
本の装丁や、広告のお仕事もいつかできるようなイラストレーターになりたいと思います。

 

インタビュアー 須貝美和

MIKITAKAKO個展 「LOVE and HANDWORKS」

今回ご紹介するのは、2024年2/9~2/14に個展を開催されたMIKITAKAKOさんのインタビューです。

和紙に紙版画で制作された、独特の風合いのある作品を展示されたMIKITAKAKOさん。
展示方法にも工夫があり、原画ならではの作品がならぶ素敵な展示空間でした。
会場の様子を制作インタビューとともにお楽しみください!

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

 

ー今回の展覧会「LOVE and HANDWORKS」では
愛おしさと煩わしさ、過去と未来といった相対する出来事を和紙と紙版画で表現され、
原画を間近で楽しむことができる展示方法は、
初個展とは思えないほどの完成度の高い展覧会となりました。
MIKIさんご自身は、どのような想いで展覧会の準備を進めて来られたのでしょうか。

 

このような場所で展示させていただくというのはイラストレーションの仕事獲得の為の重要なショーケースだと考えています。また普段お世話になっている方々、ひいては友人や家族へ感謝、成長を見てもらう機会でもあります。その中で自分がイラストレーションの作品の中で大切にしていることを間近に見て知っていただけたらという思いで制作を進めました。また今年の年始は悲しいニュースも多かったのでゆったりとやすらげる絵画空間を目指しました。

 

 

ー今回の展示作品では12枚の絵に12ヶ月の日常を表現されてらっしゃいます。
桜やサンタ帽など、季節に関連するモチーフも見受けられますが、
描かれた各月の女性は髪の長さも肌の色も多様です。
MIKIさんが人物を描かれる際に意識されていることや大事にされていることはありますか。

 

今回の会期が春節とバレンタインの時期に重なっており、贈りものにもなるような12枚(とイントロダクションにプラス1枚)の作品を制作しました。今回の人物画は自分や自分の子を参照したので性別感はあるのですが、お仕事以外で人物を描くときは年齢や国籍をあまり意識させないように描いています。ですから瞼の描き込みもありません。まつ毛は一本、視線の情報として残しています。髪色も季節や出来事になぞらえているので自由です。私の描く人物は対峙した相手に自己を投影しやすいように入れ物のような存在です。

 

 

ー展覧会用のZINEはご自身で和綴じをされており、
ページも1枚1枚丁寧に折り込みがされているこだわりの1冊です。
このような形態にされた理由などはありますか。
何か参考にされた製本などはあるのでしょうか。

 

スケジュールと予算の関係で手製となってしまいました。笑。
今回の作品はA5サイズが刷れるプレス機で出力したA2サイズ大の人物画で、版を細かに分けて刷っています。柔らかで手仕事を感じさせる線画の各所には、紙版の矩形のプレートマークの痕跡や折ジワが直線的に入っていて、作品全体にリズム感や緊張感を生み出しています。そのような作品のプロセスを踏襲したブックデザインに仕上げたかったので折り込みを入れました。また、和綴じはこの本の場合の最適解の一つでもあり、今回の展示の雰囲気にも合っているので採用しました。ただ、お客様に「お部屋に貼るので折らないものが欲しい」と云われて配慮が足りなかったと反省しています。製本についてですが、以前はよく本のデザインや国内外のブックフェアに行っていて、その時見たアートブックのユニークなフォーマットなどが影響していたりします。

 

 

ーMIKIさんは今回展示されている紙版画や顔彩などを併用した混合技法はもちろん、
インクでの表現やコラージュ、デジタルなど様々な表現方法に挑戦され、研鑽を積まれています。
これまで経験された画材や表現に対して、どんな想いをお持ちでしょうか。これは扱いやすいな、これは相性が良いななど、感じることはありますか。
また、これまで影響を受けた作家や美術表現などをお伺いできますか。

 

色々な思いはあるのですが、とにかく「絵を描き続けられたらいいな」という事です。
プレス機を使うと手がブルブルと震えていたりして、もしかして歳を経た時には難しいかもしれません。
その時に生きて、その時に手に入る道具で絵を描いていけたら幸せだろうなと思います。
日本画が好きなので技法や画材は日本画由来だったりする事が多いですが、作家さんの展示を見に行った際に知らない方法で描かれていたりすると研究心をくすぐられます。

 

 

ーMIKIさんが今後挑戦されたいお仕事や活動、
イラストレーターとしての展望などをお聞かせください。

 

現在HB WORK Competitionのおかげで装画のお仕事の機会をいただけており、とても嬉しいです。
装画は難しい部分もあるのですがとてもやりがいを感じています。引き続きチャレンジしていけたらと思います。また今回制作した作品群のようなイラストレーションを起用していただける先があれば嬉しいです。
ご興味のある方、企業さま、是非お願いいたします。

 

インタビュアー 須貝美和

 

中野葉子個展 ” Love Earth “

今回ご紹介するのは、2024年2/2~7に個展を開催された中野葉子さんのインタビューです。

沢山のLoveが詰まったカラフルな世界、イラストレーターで描かれた独特な輪郭、
デザイナーとしても活躍されている、中野さんの様々なアプローチの作品たち、
会場の様子を制作インタビューとともにお楽しみください!

 

 

 

ー中野さんはデザイナー、アートディレクターとしてキャリアを重ねたのちイラストを描き始められたそうですね。
イラストを描かれるようになったきっかけや、
イラストを描こうと思われた理由などをお伺いできますか?

 

もう随分前になりますが、出産、子育て、さらに地方に住むことになり、
今までの様なペースで同じ様な仕事を継続できなくなりました。
アートディレクションや撮影は大好きだったのですが、
他の形でクリエイティブな仕事を続けたいと思い、イラストを描き始めました。


ー中野さんはHBでは初めての個展です。
今回の個展”Love Earth”はどのような思いで準備を進めて来られたのでしょうか?
個展を開催される目的などもお聞かせください。

 

ここ数年考えることも多く、自分にとっては大いなる通過地点でした。
創作する物に対しての向き合い方も自分の中では変化しました。
寄り添い合いながら見つけた日々の喜びを共有できればと思っています。
支えてくれる環境全てに感謝して、未来の子供達のために貢献しながら、
今後もゆっくり仕事を続けることができればと思い開催しました。
コロナ禍で人とのリアルな繋がりの大切さを感じたので
会える人には、みんな会っておきたいという思いもありました。
その点、HBギャラリーはお家の様にくつろげて、作品を見せながら
みんなで集える場を作れたので、とても良いスペースだと痛感しました。

ー中野さんが「心地よい生活」を活動のテーマにされた背景にはコロラドのボルダー滞在が影響しているのでしょうか?中野さんがご自身の制作において生活環境を意識されるようになった背景や経緯などを教えていただきたいです。

 

ボルダーに滞在したのも随分前ですが、理想的な生活スタイルでしたね。
名だたるIT企業が数多くあって、健康志向で週末はランニング,  キャンプや登山三昧で
住んでる人達がカジュアルだけどかっこいいんです。
既に、コロナ禍で移行した生活スタイルに近い感じでした。
子育てをしたり、地方で自然豊かな所に住む様になって目につくものや気になることが、
生活環境くらいしかなかったということもあります。身の丈のものしか描けませんから。

 

ー今後の発表予定や挑戦されたいこと、
イラストレーターとしての展望などをお聞かせください。

 

未来ある子供たちの為に、絵本の制作やSDGsなどの環境問題に関わるお仕事がしたいです。
また、幸せな気持ちにさせるお菓子のパッケージやオーガニック化粧品のイラストも描きたいです。
装丁もやったことないし、久しぶりに音楽のお仕事もやりたいですね。

インタビュアー 須貝美和

増田いづみ個展「My nostalgia . .」

今回ご紹介するのは、2024年1/26~31に個展を開催された増田いづみさんのインタビューです。

故郷である大阪の街をテーマに描かれた増田さん。
大阪に馴染みがある方も、初めて見るという方も、
懐かしさを感じずにはいられないあたたかい風景が並びました。
会場の様子を制作インタビューとともにお楽しみください!

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

 

ー今回の個展「My nostalgia . .」は、
増田さんが生まれ育った大阪の風景を描かれたそうですね。
個展制作のために実際に現地で取材をされたのでしょうか?
幼少期に過ごされた町を描かれようと思われたのはなぜですか?

 

現地には昨年春と冬、2回訪れました。
2年前に大病を患い、大げさですが人生観が変わりました。自分にとって本当に大切なものとそうでないものが明確になりました。
大切なものの一つが幼少期の記憶です。
いつも苦しい時に自分自身を助けてくれていることに気づき、その時代の空気感や町を描いてみたいと思いました。

 

 

ー増田さんはアナログの線で、風景や人物、食べ物を味わい豊かに描かれます。
増田さんが線を引かれる時に心がけてらっしゃることや意識されていることはありますか?

 

感情が線に現れるので気持ちを落ち着けてリラックスした状態で、ゆっくり大切に描くようにしています。
仕事はデジタルが多いのですが、デジタルでも線の引き方は同じです。

 

 

ー現在の作風になるまでに、増田さんが影響を受けた表現や、基礎となった考え方などがあれば是非お伺いしたいです。

 

小学生の頃からイラストを描くのが好きで、学級新聞のカットや絵に関わる事をよく頼まれ、描いていました。
自分のイラストで誰かが喜んでくれたり、イラストでお手伝いする事に喜びを感じたので将来仕事にできたらいいなと思っていました。
高校生で愛読していた『オリーブ』には可愛いイラストがたくさん載っていて、そこでイラストレーターという職業がある事を知りイラストレーターになりたいと思いました。

イラストレーションの塾には3つ行きました。
最初のF-schoolではアクリルや水彩、油性色鉛筆などいろんな画材を使用させていただき、色々な画材を組み合わせて描いていいんだと絵を描く上での柔軟さを教えてもらいました。

山田塾では、今の作風のベースとなる自分の線が描けるようになりました。
自由で楽しく描けていた幼少期に戻していただいたと思います。
自分が楽しければ良い線が描けて、良い絵になるのだと気づかされました。精神面でのぶれない軸ができました。

HB塾ではさらにその線を活かした絵を描き続けました。唐仁原さんに、『気持ちが途切れると線が良くなくなる、そういうの分かるから。ゆっくり大切に』と言われその言葉をいつも忘れずに描いています。
コロナ禍で塾は途中で終わってしまい唐仁原さんもお亡くなりになってしまったのですが、その言葉を胸に描き続けて今の作風にいたります。

 

 

ー増田さんが今後挑戦されたいお仕事や活動、
イラストレーターとしての展望などをお聞かせください。

 

変わらず書籍、雑誌の表紙やカットはやりたいです。広告やテキスタイルにも挑戦したいです。

自分が楽しくないと良い絵にならないので、これからも年齢や性別にとらわれず楽しい、描きたいと思うものをどんどん見つけて行きたいと思います。

 

 

インタビュアー 須貝美和

小牧真子個展「hana no yume」

今回ご紹介するのは、2024年1/19~24に個展を開催された小牧真子さんのインタビューです。

静かな夜にそっと咲く花の作品たちは、小牧さんらしい優しげな佇まいです。
会場の様子を制作インタビューとともにお楽しみください!

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

 

ー小牧さんご自身は個展の開催が実に6年ぶりだそうですね。
 HBでは初個展です。 久しぶりに個展を開催する決意をされた理由や、
 今回の個展に寄せる想い、目標などをお聞かせください!

ちょうど1年前、HBギャラリーでの田中きえさんの個展に訪れていた時、お会いできたきえさんと堀川直子さんが「今やらないと明日どうなってるかわからないよ」と言って、背中を押してくださったんです。習作づくりに没頭していた私にとって、お二人の言葉は新鮮で、それが個展をするきっかけになりました。
 
イラストレーター 唐仁原教久さんとHBギャラリーは、私にとってイラストレーション界の灯台のような存在で、こちらで個展を開催することは夢のまた夢だったので、きっかけを作ってくださったお二人には、本当に感謝しています。
 
ずっと憧れていたHBギャラリーでの個展を、活動のマイルストーンにしようと決めました。そうすると次は、今後の活動プランをHBギャラリーからリスタートできるということになるんじゃないかと思うようになり、それはこの上なくHappyなこと。
 
これからの目標は、たくさんの方がHappyになっていくビジネスやお仕事をイラストレーションでサポートさせていただくことです。特にお子さんや若い方々から、「イラストレーションが好き」と言ってもらえるような活動に携わってゆけたら幸いです。

ー個展タイトル「hana no yume」にもあるように
今回の展示作品は、小牧さんが夢の中で見た花たちを描かれたそうですね。
夢で見た花を、絵としてアウトプットするために、
夢から覚めた後、何か描きとめたりされるのでしょうか?
小牧さんの夢の中の花が、作品となるまでの制作プロセスをお伺いできますか?
 
子供の頃から、夢の中は極彩色なので、現実よりも鮮やかに見えてとてもイマーシブです。いい夢を見た朝は、目覚めたら布団の中で夢を回想してから起きると、とてもスッキリとした気分になって、その時々に印象に残った夢の回想を、スケッチブックや手帳にスケッチやメモで書き留めています。
 
今回の作品は、昔の手帳やスケッチブックをもとにラフ(構図)を作っていきました。さらに夢で見た花とよく似た実在の花を探して、花びら、茎、葉などの資料を集めて参考にしながら細部も決めていきます。夢のイメージを再現するように作ったラフができたら、実在の花を繊細に描いていきました。
 
夢の回想は、大学の一般教養科目に「夢の心理学」という大変人気の授業があり、それがもとになっています。自分の夢を記録する手法が、大変興味深いものでした。朝起きて、夢を忘れる前にすぐにメモを取るだけ。本来は夢の自己分析をするのでしょうが、スケッチしたり、ちょっとした短歌のような言葉で書いたりしするだけで適当なものです。夢の回想は、自分の無意識を書き出しているのかもしれません。
 

 
ー小牧さんはアナログでの制作はもちろん、 デジタルやシルクスクリーン、
エッシャータイリングなど様々な表現方法に挑戦されています。
 ご自身では扱いやすい画材、一番心地の良い表現方法は何でしょう?
 また、今後新たに取り組んでみたいと思う技法はありますか?
 
扱いやすい画材はデジタルで、一番心地よい画材はアナログ(線画)です。
一番自然な表現方法は、アナログ+デジタルで、デジタルとアナログの境目がないかもしれません。ですが、私の中で一番好きな画法は版画です。エッチング、紙版画、シルクスクリーンを研究しています。ただ版画は体力的に継続していくのがむずかしいとわかったので、私なりに版画の手法や美しさを「デジタル+アナログ」で取り入れて表現しています。
 
シルクスクリーンは、デジタルで製版データを好きなように作れるところが、「デジタル+アナログ」なスタイルでとても気に入っています。
 
コロナ禍に部屋でこもって始めたのが、大学で学んだテセレーションでした。よりシンプルで楽しい作品を作っていきたいです。参考にした書籍の中で特にデザイン的に美しく秀逸な一冊は、藤田伸氏の『装飾パターンの法則 —フェドロフ、エッシャー、ペンローズ—』(三元社)です。親しみやすいお人柄の藤田先生と直接お会いできる機会に恵まれ、軽快な行動力や発想力に感銘を受けました。
 

ー小牧さんが今後挑戦されたいお仕事や、展望などをお聞かせください!

ひとつは、峰岸達氏主催のMJイラストレーションズを中心に、イラストレーションを学んできましたので、これからも守破離と心技体を心がけた精進を続けることです。

もうひとつは、イラストレーションでHappyをお届けできるようなお仕事にチャレンジすることです。特にパッケージやテキスタイル、テーブルウェアなど、ライフスタイルを彩るお仕事にどんどん挑戦してゆけたらうれしいです。

宮下恵理歌個展「触れたら光る」

今回ご紹介するのは、2024年1/12~17に個展を開催された宮下恵理歌さんのインタビューです。

キラキラ光る不思議な景色を描かれる宮下さんの初個展となりました。
ぜひこちらの制作インタビューをお楽しみください!

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
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ー個展のタイトル 「触れたら光る」 こちらのタイトルに込められた想いをお聞かせください。

 

メインビジュアルの作品タイトルです。指先が心の琴線に触れたら、接触部分の温度が少し上がって
光を放つようなイメージの絵なのでそう名付けました。
メインビジュアルとタイトルに合わせて、他の展示作品もどこかしら光らせるように統一しました。

ー宮下さんの作品は既視感のない、類い稀ない視覚的表現だと感じます。
現在のような画風になられたのはいつ頃からなのでしょうか。
また、宮下さんご自身はどのような表現に影響を受けてこられたのでしょうか?

学生時代働いていた飲食店が独創的で、「他人に理解されなさそうな思想をいざ表に出すと案外形になり、
個性と評されたりする」実例を目の当たりにし、自分の制作への意識が変わりました。
その後、専門学校の先生が今の画風の原形となる卒制に肯定的な対応をして下さって方針が固まりました。
 漫画家・市川春子先生の作品は中学時代から読み込んでおり、
モチーフのデザインやスケール感など影響を受けていると思います

ー描かれているモチーフは実在する何かですか?
陰影や空間が感じられることから静物画のようにも風景画のようにも見えます。
実際にモチーフを観察して描かれるのでしょうか?

取り留めもない考え事や聴いている音楽の内容を咀嚼する手段とし
脳内で自動的に立体図形化するような癖があり、 それが風景のように見えるので絵として描写しています。
そのままだとルックスが悪いので、 肉付けの段階で好きな洋服などを参考にデコレーションする工程を踏んでいます。

ー宮下さんは2022年に桑沢デザイン研究所を卒業されました。
 卒業制作作品では、 アクリルガッシュや木片を使用した重厚感のあるアナログ作品を制作されていました。
現在のようなデジタル作品へ転向されたきっかけなどはあるのでしょうか?
アナログで制作していた頃と現在では、 作業プロセスや制作中の意識に何か大きな違いはありますか?

アナログの卒制が大変だった反動でしばらく絵を描けず、通勤電車で気軽に制作するために
中古のiPadを購入しました。初めはデジタルに抵抗がありましたが、
いつの間にかデジタル描画のチープな拙さ、清潔感といった特性を画材として気に入りました。
デジタルを絵の具の代替品としては使っておらず、絵の趣味がデジタルの特性に合わせて変わっていきました。
微妙にコントロールが効かないデジタル描画のもどかしい感覚は好きですが、
モチーフの形や動きを探る案出しの段階では、自分の頭と手を誤差なく連動させたいので今も紙と鉛筆を使っています。

 

ー宮下さんのこれからの展望をお聞かせください!

作家活動はこれから始めるので、まずは絵を描くのが楽しい・自分の制作が好きだという
恵まれた現状を大切に育てること、育てるための場を見つけることから着手したいです。
コミティアのような所にも出たいですし、年末には好きな街で展示も決まっているので楽しみです。

インタビュアー 須貝美和

小池ふみ個展「Small Things」

HBギャラリーで2023年最後の展示を飾ったのは小池ふみさんです。

些細な出来事をひとつひとつ受け止める心や、
小さなものに優しく語りかけるような視点を感じられる作品がずらりと並びました。
小池さんのお人柄が暖かく滲んだタッチをこちらのブログでもお楽しみください!

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

 

ー小池さんはHBギャラリーでは8年ぶりの発表となりました。
会期が決まってからは、どのようなお気持ちで準備を進めて来られたのでしょうか。
また、クライアントワークと並行して個展作品を制作される中で
気持ちの切り替えであったり時間配分など、
個展準備のために意識されたことはありますか?

 

東京での個展の開催自体が8年ぶりだったので、
時が経つ早さに驚くと同時に、そろそろやらなきゃという気持ちでした。
8年前の個展も最近のことのように思えますが、
それでも振り返ると、自分の環境はとても変化していて、
その間にさせていただいたお仕事や出会えた人たちのことがたくさん頭に浮かびました。
毎日、仕事やこどもたちとの生活に慌ただしく、
今の自分を見つめる時間をなかなか取れていなかったので、
個展に向けて制作をすることで、一度この機会に内省の時間をとってみよう
というのが個展の動機にもなりました。
1年くらいの時間があったにもかかわらず、
やはり期日が迫られるものを優先してしまう癖が厄介で、
なかなか個展作品の制作は進みませんでしたが、
もうこの日は個展のことだけやる日!と手帳に書いたり、
夫にこどもの託すことで集中する時間を普段より多く用意したりなど
家族の協力ももらいながら進めていきました。
今回の個展のテーマは実生活の延長線上にあり、
日常からインスピレーションをもらいながら制作していったので、
ある意味、生活と制作の気持ちの切り替えはあまり必要ないものでしたが、
時間を作ることが一番大変だったかもしれません。

 

 

ー展覧会タイトル「Small Things」のようなささやかな物事を、
忙しい日々の中でも取りこぼさないために、
小池さんが普段から心がけてらっしゃることはありますか?

なんでしょう…そういう本当にすぐ忘れてしまいそうな小さな発見とか
ちょっと心が動いた出来事や風景なんかがないと、
私の場合は、体調を崩したり心がぎすぎすしたりしてしまうんだろうなと思います。
心掛けているわけではないですが、心身元気でいるためにも、
小さなことに素直に感動したり心を動かしていたいと思っています。
こどもと一緒に過ごしたり、自然や生き物と触れ合うと
そういうことに気付かされることが多いなと感じている最近です。

 

ー小池さんは現在お2人のお子様を育てながら
イラストレーターとして数々のお仕事を手がけられています。
子育てとお仕事を両立させるために、
制作面で何か工夫されていることはありますか?
また、お子様を出産されてから描く意識に何か変化はありましたか?

こどもが家族に加わる前までは、自分次第で夜遅くまで続けることも
休日なく仕事することもできマイペースにやれていましたが、
今はこどもたちが保育園に行っている時間と
寝かしつけで一緒に寝落ちしなかった夜だけが制作できる時間。
こどもの体調にも大きく左右されるので、できるだけ前もって進めて余裕を持たせたり、
時間に対してはとてもシビアに考えるようになりました。
自分の体調管理の意識も変わりましたね。
とにかく睡眠はしっかりとらないともうダメですね。
こどもの影響だけではないかもしれませんが、
以前よりのびのびと素直に描かれている絵が気持ちよく感じられるようになり、
自分も以前より素直に描きたいと思うようになりました。
前はスタイルのようなものを意識しすぎて悩みがちだったかも…。

 

ープロのイラストレーターとして仕事を進める上で
小池さんが大切にされていることはありますか?

社会に出て就職をしたときに初めて、
私は仕事をするのが好きなんだと気が付きました。
1人で何かを作っているだけよりも、
作ることを通して何かに出会ったり人や物事と関わることが楽しかったのです。
前職は自社で製造する鞄を自社で販売する会社に所属し、
販売を促進するためのWEBサイトやカタログなどを編集したりデザインしたり、
店舗のディスプレイや新店舗の内装、イベントの企画など、
まだ会社が小さかったので本当に様々なことを経験させてもらいました。
自社製品の魅力を伝えることが仕事だったわけですが、
同じ建物の中に製品を作っている職人もデザイナーもいて、
その技術も努力も人柄も目の当たりにして尊敬していましたし
伝えていく時には自分ごとのように思いが入る仕事でした。
そしてちゃんと物事を理解して気持ちの入った仕事をすると相手に伝わるということも
実感できた会社員時代でした。
その後、徐々にイラストレーターとして仕事をいただくようになり、
今はフリーランスで様々なお仕事に関わることになったのですが、
お声がけいただいた案件の、少ない情報の中でも自分が共感できる部分を見つけて
気持ちを高めて仕事に取り組むように心掛けています。
あとは、スケジュール面。現時点では家族のケアに傾ける時間も大きいので、
無理なスケジュールは極力立てないようにしています。
自分の場合は、気持ちと時間が大事だとようやくわかってきたので、
共感できる部分があるかどうか、制作時間に無理はないかをよく見極めることも
長く続けていくために大切なことなのかなと思っています。

 


ー小池さんが今後挑戦されたいことや、
展望などを是非お聞かせください!

いろんなことに興味が湧いて、やりたいことが浮かびやすいわりに
やる時間がいつもないという、落ち着きのないタイプなのですが、
来年の夏に少し都会を離れた場所に住まいを移すので、
身近な海や野山や生物にこどもたちと触れ合って、
そこから得たものを仕事にも反映させられたらと思っています。
しっくりくる言葉が書けるようになったら楽しいだろうなと思うので、
文章を書く訓練もしてみたいですね。
多様な出会いを楽しみながら、おばあちゃんになっても仕事をしていたいです。
インタビュアー 須貝美和