中村菜都子個展「祈りの島」
今週の作家さんは中村菜都子さんです。HBでは初めての個展です。
今回は中村さんのおばあさまの故郷、長崎の五島列島をテーマに制作されました。
実際に長崎を訪れたことで、歴史や文化に触れ、ご自身のルーツを知った中村さん。教会やカクレキリシタンの歴史などを、版画をベースに、刺繍や螺鈿の貝殻などを用いて描かれました。工芸品のような美しい作品、ぜひ原画をご覧いただきたいです!
「祖母にみる聖母マリア」
「漁村のある風景」
幼い頃から、アジア雑貨の香りや、中国、台湾、香港などアジア映画の雰囲気など、異国情緒漂うものが大好きだったという中村さん。20歳を過ぎてからは興味はヨーロッパへと移り、6年間ほどロンドンで暮らしていたご経験も。自分がなぜアジアやヨーロッパの文化に興味を持つのか、その根源を知りたい、そんな思いが今回の制作に繋がりました。
自分のルーツを探るため、これまで訪れたことのなかった、中村さんのおばあさまの故郷、長崎県の五島列島を訪ねます。
調べていくうちに、アジアやヨーロッパとの交易が盛んだった長崎のこと、おばあさまの生い立ち、活版印刷が普及した時代のことなど、現在の自分に通ずるような様々な歴史に触れることになりました。作品のエピソードと合わせてじっくりご覧いただきたいです!
「天正遣欧使節」
「ルドビコ茨木」
美大時代、金属工芸を専攻されていた中村さん。鉄や木材、陶芸や漆を扱っていた経験が今の手法にも繋がっています。イギリスの学校ではイラストレーションコースを専攻。絵の課題でゴム版画を制作したことが、中村さんの平面作品作りへのきっかけとなります。ヨーロッパは、聖書や本の挿絵などすべて木版画や銅版画などで描かれていて、生活にとても身近なものなんだそうです。
カッターやハサミ、針、彫刻刀などを扱うことが自分に合っているそうで、切ったり貼ったりすることは作品作りにかかせないことだそうです。絵に金箔や貝殻を取り入れる手法は、漆を扱っていた大学の先生から教えてもらった技術が生かされています。漆器のようにきらきらとした美しさは、原画ならではの魅力があります。
「天国の庭」
これからは、イラストレーションのお仕事も広げていきたいという中村さん。CDジャケットや本の装画、絵本、舞台にも興味があるそうです。印刷物になった中村さんの作品もぜひ見てみたいですね!
会場では、中村さんのオリジナルグッズも好評販売中です。ミラーやリング、ネックレス、ブローチなど種類もさまざまです。受注販売も承っております。展覧会の記念にぜひどうぞ!
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