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原けい個展「淡水」

今週の作家さんは原けいさんです。ご自身初めての個展開催となりました。
今回は、原さんが自然に描けるモチーフとして”川”をテーマにされました。
直線を生かしデフォルメされた水辺の景色や人物など、原さんならではの独特な空気感が広がります。
原画ならではの、引っ掻き線のあるマチエールや色遣いをお楽しみください!

 

 

高校時代、美術部で油絵を描かれていた原さん。卒業後は美大へ進学し、現代美術を専攻されていたそうです。大学に入ってからは絵の制作から離れ、映像やコンセプチュアルアートについて学ばれました。

大学卒業後は、印刷会社へ就職。何か制作がしたいと思ったときに、絵だったら気軽にできそうだなと感じ、気分転換に絵の制作を再開します。その頃、大塚いちおさんやいとう瞳さんの作品を見て、抽象的な感じや自由な作風でありながら、普段の生活や社会とつながっているイラストレーションに心が動いたそうです。

 

 

高校の美術部時代、いい先生に恵まれたことで、絵を描く場の力の凄さを経験的に知っていたという原さん。社会人になってもそんな場所を求めていたそうです。そんな時に峰岸達さんの塾、MJイラストレーションズの存在を知ります。MJブログで生徒さんの作品を遡って閲覧してみると、入った当初から2~3年でどんどん成長している過程が見れたそうです。いい指導があるんだと思い、入塾することに。先生は個人それぞれの作家性を大事にしながら、イラストレーションとして成り立つか、きちんと締めてくれたと言います。MJに在籍した4年間、課題の提出で描く力もつき、近年ではペーターズギャラリーコンペ大賞や、チョイス年度賞入選にも輝きました。峰岸先生の熱量が、生徒の作品のクオリティにつながっていると感じるそうです。課題を提出するときも、内容が薄いんだったら枚数を出さないと!という気持ちになるのだそう。

 

 

人物を描くことにずっと苦手意識があったという原さん。ペーターズのコンペで鈴木成一さんから賞を頂いたときには、まさか人の目に止まるとは思ってもいなかったといいます。成一さんから頂いた”情緒を排した絵”という言葉がすごく腑に落ち、自分の描きたい絵がきちんと伝わっていたことが嬉しかったそうです。イラストレーションとして考えるとまだ課題は多いそうですが、どうしても出てしまう感覚や、忘れられない感覚を作品にしていいんだ、絵を描く理由はもっと違うところにあるのだから、と改めて自信につながったそうです。その後『小松とうさちゃん』の装画のお仕事で鈴木成一さんとのお仕事につながりました。

 

 

チョイスの入選がきっかけで、アートディレクターの川名潤さんからお仕事のご依頼も。直接絵を見てもらいに行くと、イラストレーションの現状のお話になったり、自分の作品以外にもたくさんのお話を聞く事ができてすごく楽しかったそうです。イラストレーション、デザイン、グラフィック全体に対して愛が溢れていて、そこに携わる人への愛情にも感動したそうです。

チョイスでは川名さん以外にも、大塚いちおさんやいとう瞳さんからの得点もあったそうで、以前から憧れのお二人に絵をいいと感じてもらえて嬉しかったそうです。原さんご自身、日本画も油絵もグラフィックも、色々な絵が好きでどんな絵を描きたいかまだ迷っていると言います。どういう軸を持つのかがご自身の今後の課題になりそうです。

 

普段の生活や仕事とは違い、絵だと個人の感じてきたことが自然と価値になる、そういうことで仕事になれるのは幸せだなと思うそうです。原さんの今後のご活躍が楽しみです。

 

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