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津田周平個展「俺だって見してくれ」

今週の作家さんは津田周平さんです。
新作描き下ろしはもちろん、今はなかなか見られない初期作品もご覧いただけます!
手作りのラグや大型の絵など、津田さんの新たな試みもお楽しみください。

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

 

ー個展タイトル「俺だって見してくれ」
そして展覧会のコメントには
《感》①蚊帳の外にいながら、やっぱり見たいと焦るさま。
②沢山の人がいる中、助けを求めるさま。③なにかを主張するさま。とあります。
個展のタイトルは津田さんがつくられた感動詞ということなのでしょうか?
タイトルに込められた想いを聞かせください。

 

タイトルの紹介文を辞書風にしたらおもしろいかなと思っただけで、感動詞の《感》に特に意味はありませんが、意味や内容はタイトルに込めた想いに即しています。
僕は家にいる時大抵布団の中にいるのですが、それでも家族が何か見たり読んだり楽しそうにしていると、気になって「俺だって見してくれ」と焦って言う癖があるらしく、怠け者なのに仲間外れにされたくないという性格が家族から呆れられています。
タイトルを考えている時、僕を一番表す言葉としてこの口癖が上がったので使うことにしました。意味を少し前向きにして、40過ぎの自分だってまだいろんな世界が見たいんだ、というような解釈にしました。

 


ー2019年の春から本格的に絵を描き始め
その後は数々のコンペに入賞、
昨年のMAYA装画コンペでは見事グランプリを受賞されました。
直近では12月発売予定の「巣 徳島SFアンソロジー」の装画も手掛けられ、目覚ましい活躍をされています。
多くの人に津田さんの作品が支持されるようになってからご自身の絵の向き合い方に変化はありましたか?

別に目覚ましい活躍はしていません。定期的な絵の仕事が欲しいです。それかめちゃくちゃ高い値段で絵が売れたらいいのにと思います。確かに多くの人に見てもらえるようにはなったので、僕にしか描けない絵を描きたいと思うようになりました。逆に駄作でもいいからなんでも描いてやれという気持ちが萎縮してしまったようにも思います。描きたいものだけ描いていては発展がないのかな…という自分の葛藤から来るプレッシャーでイメージが固まらずにぼーっとして描けない時期も続いて怖かったです。とにかく絵を描くくらいしか出来ることがないので、それで成功したいです。
ただその為に絵を自在に変えるという器用さはありませんが、もし仕事の声をかけてくれる人がいたら、その人が何を意識しているかは考えたいです。


ー津田さんの作品にとって「子ども」は大きなテーマだそうですね。
子どもを描かれるときは、
津田さんのお子さまを意識されていますか?
もしくは誰の心にもある「子ども」という存在なのでしょうか。
これからも子どもを描き続けていかれますか。
自分の子どもを意識しながら描きます。とても良い親とは言えませんが子どもが好きです。一緒に生きててくれてありがとうございますと思います。でも自分の子どもはどんどん大きくなるので、いずれ僕の思う子どもを描くことになると思います。宮沢賢治風に言ったらかあいらしいものを描き続けたいです。かわいいというよりかあいらしいです。同じ意味だけど。
子どもと暮らしていると最高なことばかり起こるので楽しいです。忘れないようにしたいです。誰の心にもある「子ども」までイメージを包括できている自信はありませんが自然にそうなっていてくれたらいいです。

 


ー今後、津田さんが挑戦されてみたいことや、展望などをお聞かせください。

スマホを見るのをやめたいです。あと腹が異常に膨らんでいて肝臓が悪いので死なないようにしたいです。
なにより絵本を描いてみませんかと言われているのでそれをなんとか必ず完成させたいです。手がピタッ!っと止まっていますが、スマホのせいです。生活に関わりすぎていて難しいですが、頭の中のスマホをバキバキに折ってまずは絵本を完成させたいです。集中力はあるのでできるはずだと思います。それしかありません。
自分の子どもには絵を描く謎のおじさんみたいになっているので、わかりやすくいいところを見せたいです。

 

 

津田周平個展「俺だって見してくれ」作品リスト

2023年11/10(金)~11/15(水)開催の津田周平個展「俺だって見してくれ」

展示作品一覧です。会場ではこのほかにミニ原画やZINEのお取り扱いも!

作品は後日HBギャラリーオンラインショップにも掲載いたします。

 

 

No.1   額外寸:約 32cm × 42cm、額付 ¥85,000-(税込)

 

 

 

No.2 額外寸:約 32cm × 42cm、額付 ¥80,000-(税込)

No.3  額外寸:約 32cm × 42cm、額付 ¥77,000-(税込)

No.4  額外寸:約 32cm × 42cm、額付 ¥77,000-(税込)

 

No.5 額外寸:約 32cm × 42cm、額付 ¥80,000-(税込)

No.6  額外寸:約 32cm × 42cm、額付 ¥20,000-(税込)

No.7  額外寸:約 32cm × 42cm、額付 ¥50,000-(税込)

 

No.8 額外寸:約 32cm × 42cm、額付 ¥65,000-(税込)

No.9  額外寸:約 32cm × 42cm、額付 ¥68,000-(税込)

No.10 額外寸:約 32cm × 42cm、額付 ¥80,000-(税込)

No.11  額外寸:約 32cm × 42cm、額付 ¥77,000-(税込)

No.12 作品(木製パネル)外寸:約 90cm × 90cm、 ¥200,000-(税込)

No.13 作品(板)外寸:約 50cm × 30cm、 ¥60,000-(税込)

No.14 額外寸:約 32cm × 42cm、額付 ¥60,000-(税込)

No.15 額外寸:約 32cm × 42cm、額付 ¥60,000-(税込)

No.16 作品(キャンバス)外寸:約 33cm × 24.5cm、 ¥35,000-(税込)

No.17 額外寸:約 32cm × 42cm、額付 ¥40,000-(税込)

No.18 額外寸:約 32cm × 42cm、額付 ¥48,000-(税込)

 

No.19 ※プリント作品
額外寸:約 32cm × 42cm、額付 ¥15,000-(税込) / 額なし、シートのみ ¥7,000-(税込)

 

 

作家による手作りラグ作品。中央のNo.24は非売です。
作品外寸: 30cm × 40cm程度(詳細はオンラインショップに記載)

No.20,21,22,25,26,28 ¥28,000-(税込)

No.23,27 ¥35,000-(税込)

高山裕子個展 「緑のざわめき」

今週の作家さんは高山裕子さんです。
個展自体は4年ぶり、HBでは7年ぶりの個展となりました。
心地よい風や葉音が感じられる、今の季節にぴったりな緑の景色が広がります。
アクリル絵具やテンペラによる、見応えある原画をお楽しみください!

展示作品を一部オンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

 

ー高山さんはコロナ渦には個展をされず、今回の個展が4年ぶりの開催となりました。
今回の展示作品では、コロナ渦以後、180度変化された高山さんの日常を作品を通して表現されたそうですね。
日常の大きな移り変わりによって、高山さんの絵に対する向き合い方や制作の進め方などにも変化は生じましたか?
 

最近、生活環境が変わり、より限られた時間の中で集中し、1枚の絵をゆったりしたペースで描いていくスタイルに変わりました。

 

 

ー”いつか行きたい風景”を主要テーマに作品制作を続けてこられた高山さん。
そのイメージを絵として表現するために、何か参考にされるものなどはあるのでしょうか?
 

日常の中で切り取られる気になる場面を写真に収めたり、本や雑誌などの切り抜きを集めたりと常に気持ちのいい風景を探しています。

 

 

ー個展では高山さんが装画を手掛けられた「愛という名の切り札」(谷川直子著/朝日新聞出版)の原画も展示されています。
マットな質感の美しい作品はテンペラ絵具で描かれているとお聞きしました。
高山さんがテンペラ画をはじめられたきっかけは何だったのでしょうか?
これまで描かれてきたアクリル絵具と比べて、
扱いの違いやテンペラ画だからこそ表現できる点などがあればお聞かせください。
 

何年か前に、学生時代の恩師にテンペラ画をやってみたらと勧められました。慣れた画材ばかりだと同じような表現になってしまうので。テンペラ画は思うように色が乗らなかったりと不便もありますが、そこがアクリルとは違う深みなどを表現してると思います。

 

 

ー前回の個展では作品をファブリックにされた”着れる絵”を発表されました。
そして今回の個展ではハンカチやワッペンなど、布小物にも展開されており、
特にハンカチはドローイングとハンドプリントを重ねた1点もので、高山さんのこだわりを感じます。
高山さんがご自身の絵をファブリックにまで広げられたきっかけや理由などをお伺いできますか?
 

絵を見ることに馴染みのない人にはなかなか見てもらえなかったりします。もっと身近にアートを取り入れて欲しい思いで布の制作を始めました。

 

 

ー高山さんが今後挑戦されたいことや、
イラストレーターとしての展望などをお聞かせください。
 

装画のお仕事を中心に、絵本も2冊目が取り組めるようになるといいなと思います。大きな作品も描いてみたいです。

 

西山竜平個展 「TERRA」

今週の作家さんは西山竜平さんです。
HBでは5回目の個展となりました。
何層にも色を重ねて表現された空のグラデーション、
丁寧に描写された星の輝き、
アクリル絵具で丹念に描かれた美しい原画を是非会場でご覧くださいませ。

展示作品の複製画を一部オンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

ーHBでは5回目の個展です。
個展の度に西山さんは、モチーフを選び取る着眼点や画材の工夫など、
様々な挑戦を続けてこられました。
今回はご自身最多、50点もの作品を展示されています。
今回の個展のテーマや、展示タイトル「TERRA」の意味、
新しく挑戦された点などについて教えてください。

 

3回目の個展「うつけのうた」の頃から絵本を意識して自主制作を続けてきました。
その時は架空の物語の断片を作り、それぞれの物語に合わせたテイストの絵をつける
という設定で展示を行いました。

次の個展「Dawn」では全部を空想にするのではなく、普段暮らしている場所をモチーフに
そこからイメージを膨らませて現実と想像が混ざり合った風景を作り、そこに短い文章を添える
形で展示を行いました。

そして今回の個展「TERRA」はこれまでの展示で培った経験をもとに
一つの絵本を作り上げて、その原画を展示することを目的にしました。

展示タイトル「TERRA」は大地や地球という意味のラテン語からつけました。
不思議な景色の広がる世界を放浪する物語を表す言葉として、短いながらも響きの良い語感に惹かれてつけました。
一から絵本を作ること自体初めての挑戦なのですが、なかでも文字のない絵本として
作っているので、コマ割りのある絵を作ったところが自分の中で一番の挑戦でした。

ー作家さんからギャラリーへ提出いただく展覧会用のコメントは85文字以内と限られています。
しかしながら、西山さんのコメントはその限られた文字数の中で、展覧会の本質を凝縮され、
加えて七五調の形式で綴られた詩のような響きは、私たち読み手の想像力をかきたてさせてくれます。

あたりいちめん しろいすな
かぜのほかには なにもない
しろい しろい すなのおか
そらにうかぶは われたつき
そこはかつての あおのほし

こちらのコメント文は、
絵本に掲載する絵を描かれる前に生まれたのでしょうか?
美しいコメント文が生まれた背景やエピソードなどがあれば是非お聞かせください。

 

このコメントは今回の展示用に後から考えました。
前々から展覧会用のコメント部分から展示の導入になればいいなと思っていて、
展示の雰囲気や作品のニュアンスが伝わる演出として今回のようなコメント文にしてみました。

ー今回展示されている絵本原画のアイデアはどこから生まれたのでしょうか?
はじめに思い浮かんだ言葉やイメージなどはどんなものだったのでしょうか?


もともと広大な景色を描きたいという欲求がずっとあって
絵本も白くて広い広い砂漠の景色が最初から頭にありました。
「あたりいちめん しろいすな」はそのイメージを言葉にしたものです。


ー西山さんはHBでの3回目の個展「うつけのうた」(2021年)で初めてオリジナルの短編集をつくられ、
各々の物語に合わせて絵を展開されました。
今回の個展は絵本の原画展示となりますが、もちろんこちらもストーリーが存在します。
お仕事でも物語に触れる機会が大変多かったと存じますが、
ご自身で物語を創作されるようになってから、西山さんの作品制作に何か変化はありましたか?

 

仕事の絵でも自主制作の絵でも、画面に映らない部分をより意識するようになりました。
例えば装画や挿絵を描く場合は文章には書かれていない登場人物たちの暮らしや
今の性格になった経緯、そこから発生する行動などを以前よりも想像して
絵を描くようになりました。

今回初めて絵本を制作してみて、実際に描いている場面の前後、ページには描かれていない場面と
そこからまたページとして描かれるところまでの繋がりをイメージすることがとても大切で、
そしてそこが非常に難しいということを身をもって知りました。
言葉にしてみるとすごく当たり前のことなのですが、なかなかできませんでした。

これまで描いてきた絵(装画や雑誌の表紙など)は1枚の絵で全体を包んで表現するイメージなのですが、
絵本の場合は一枚で完結せずに、前後の繋がりを意識しながらどの部分を切り取って絵にするかを考えるので、普段とは違った頭の使い方をしていて考え方を切り替えるのにとても苦労しました。


ー西山さんは絵本制作やイラストレーションのお仕事のほか、
webストアでも作品を販売され、
作家としての幅を広げられているように感じます。
西山さんの今後の展望をお聞かせください。

 

イラストレーター、絵本作家、画家としての活動を続けて、
それぞれで培った経験をそれぞれの創作に還元しながら
これからも絵を描き続けていければと思っています。
そして日本だけではなく海外の仕事や展示もできるようになりたいです。

インタビュアー:須貝美和

若林夏個展「good condition」

HBでは3回目の個展となる若林夏さん。

背景の隅々まで色鉛筆で描かれた若林さんの作品はエネルギーと愛情で満ち、

訪れるお客様の笑顔あふれる幸せな空間となりました。

一部作品はオンラインショップでもお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

ー若林さんは3年ぶり3回目のHB個展となりました。

夕暮れ時や夏の終わりの花火など、

ふとした切なさを柔らかな色彩で表現された2016年「センチメンタル・ジャーニー」。

2020年「SWEET TIME SWEET MOMENT」では、

至福なシーンの集積を咲き誇るような色彩と画面の隅々まで描かれた描写で見事に表現されました。

今回の個展「good condition」はどのような思いで準備を進めて来られたのでしょうか。

個展のテーマと併せてお聞かせください。

 

「good condition」はまさに良いコンディション[状態・調子]のことをさします。

自分からいい気分になろう!というよりも。気候や体調など、

たまたま色々なことが整った時に、ふと立ち現れる良い気分。そんなニュアンスです。

なんてことない日に部屋でお茶を飲んでてて、

「あれ?なんか今めっちゃ幸せじゃん」とか思って一人でニヤニヤする時や、

道を歩いてて、前にすごい綺麗な赤いコート着てる人が歩いてて、そこに自転車で緑のツナギの子供が走り込んで来て

「あれ?今目の前の風景(構図?)が絶妙に最高なんだけど!」など、そんな「good condition」な時を絵に留めたいなと思いました。

 

ー若林さんは2009年からブログ「おなつだよ全員集合」を10年以上更新され続けています。

http://blog.waka-natsu.com/

ブログでは若林さんの仕事はもちろん、毎日の生活の中で感じたこと、直面した出来事、
喜びも、笑いも、痛みも含めてイラストと共に綴られいまを生きる等身大の若林さんの姿が描き出されており、
ほのかな感動を覚えます。

継続することが一番難しいと言われる中で
若林さんが長くブログを続けられている理由は何でしょうか。
また、各種SNS(InstagramやX)とブログはどのように使い分けてらっしゃいますか。

 

イラストレーションを習い始めた頃に、ささめやゆきさんのトークショーを見に行きまして。その時にささめやさんが「毎日絵日記を描いてるんです。そうすると毎日がとても愛おしく感じるよ」っておっしゃってて。

その時まだ、自分では何をどう描いていいかわからなかった頃だったので、これはいいぞと始めました。そしてまさにどうでもいいような日でもプププと笑えたり愛おしく感じることを実感できたんです。

あとは思いのままに吐き出したことが公開されることで、客観視して一旦整理できたり、気が済んだりします。多分単純に心と体に良いので続けられてるのかもしれません。

近年はSNSが広まったから、ブログはより公共性の少ないパーソナル空間のように勝手に思えて、SNSに上げるほどでは無いどうでもいいことを伸び伸び描いているのでますます息抜きの場所になってる気がします。

それでも机の引き出しにしまうより、どこか公開はしているという微すかな緊張感がちょうどいいなとも思います。

ー多岐にわたるジャンルで仕事を手掛けられている若林さん。
どのお仕事でも出し惜しみのない、
モチーフの細部にまで意識がこめられた描写に、
描くことへの情熱を感じます。
限られた時間の中で、これだけ密度の高い仕事を完遂できるのはなぜでしょうか?
若林さんの仕事に対する心構えをお伺いしたいです。
また、描くツールの面で何か工夫されていることがあればお聞かせください。

 

描き上げるのに、裏技や合理的な方法などなくて、ひたすら「気合い」と「愛」で乗り切ってます。
描くツールの工夫は時にないですが、最近は納期とボリュームの具合もタイトになことも多かったり、
1つの絵をさまざまに展開して使われることも多いので、デジタルで作成することも増えました。
デジタルだと、どうしても絵が整ってきてしまうので、
手描きのライブ感みたいなものを無くさないように心がけています。

 

ー若林さんが今後、挑戦されたいお仕事などはありますか?
これからの展望をお聞かせください。

 

具体的にあまり無いです。舞い降りてきた何かに固くならず、なるべく楽に身を委ねるように仕事できたら幸せです。

お仕事は自分で描いている時と違って、デザイナーさんや編集さんなどさまざまな方とやりとりがあります。
皆さんの魅力と知恵と技が絡み合い、絵、または企画自体に魔法がかかった時のトキメキがこの仕事の醍醐味なので、
できる限り沢山人と出会って面白いことを沢山できたらいいなと思います。

あとは、受注いただく仕事はありがたく沢山ください!なのですが、
自分から発信(発表)していくことにも興味あります。
面白い展示を企画したり、絵を動かしてみたかったり、
テキスタイルに落とし込んだりして「モノ」にして
グッズ展開することなどあまりやってきてないので挑戦していきたいです。

あとはたまにイベントなどで似顔絵描いたり子供たちと絵を描いたりするのが刺激的で至福な時間なのを知ってしまっていて、、
コロナも落ち着いてきたし、そういうのも増やしたいです。

あと何でしょう、画風の問題なのか装画など文芸のお仕事少ないので実は密かにもっとやりたいです。お待ちしてますw

まあでもとにかくもっといい絵が描けるようになりたいです。

インタビュアー:須貝美和

田口実千代個展「melody」

今週の作家さんは田口実千代さん。
HBでは4回目の個展です。
朗らかでのびのびとした筆跡は田口さんならでは。
ゆったりとした時間が流れる、心地よい展示をお楽しみください!

一部作品はオンラインショップでもお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

 

━田口さんは3年ぶり4回目のHB個展となりました。
多様なモチーフを描かれる田口さんが、
今回の個展タイトルを「melody」という1つの言葉に集約された理由をお聞かせください。

 

普段音楽を聴きながら絵を描くことがあるのですが、
一瞬で心掴まれ筆がのる事があります。
そんな音楽みたいに生活の中で、ふっと良いなと思える絵がいつか描けたらと、
「melody」というタイトルにしました。

 

 

━ 最近では油絵具で描くことも多くなっているそうですね。
油絵具の魅力はどんなところですか?
田口さんはアクリルガッシュやiPadでも描かれていますが、
画材はどのように使い分けているのでしょうか。

 

油彩画の魅力はキャンバスに描く時に伸びやかにかける事です。
アクリルガッシュはずっと使っていて一番馴染みある画材です。
iPadは線画を描いたり落書きしたり、今は気軽な感じで楽しんでいます。

 

 

━田口さんは絵日記やスケッチも数多く描かれていますね。
田口さんが生活の中で目にする全てが描くモチーフとなり、
風景も静物も有機的に瑞々しく表現されていることに感嘆します。
田口さんは1枚の絵の完成をどのように見極めるのでしょうか?
よし!と思った瞬間です。
ただ油絵は一週間以上乾かすのですが、乾いた後に見た時に少し描き足す事もあります。

 

 

━今後の発表予定や挑戦されたいこと、
イラストレーターとしての展望などをお聞かせください。

 

次の発表予定はないですが、作品を見て頂けるのはうれしいです。
装画、雑誌、パッケージ、ポスター、
見た方がちょっとでも心惹かれる、そんなお仕事が出来たら嬉しいですし、
そういうお仕事がくるよう出来るよう精進しないとと思います。

 

 

インタビュアー:須貝美和

Tsuin個展「はなとどく」

今週の作家さんはTsuinさんです。
HBギャラリーでは初めての個展となりました。
美しさの中に、怖さや危うさが垣間見える魅力的な作品群。
Tsuinさんの妖麗な世界観をご堪能ください!

一部作品はオンラインショップでもお取り扱い中です。

http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

━ 個展タイトル「はなとどく」には
「花と毒」「花届く」2つの意味をこめられたそうですね。
展示作品も人物と併せて、花が描かれている作品が目立ちます。
Tsuinさんにとって花とはどのような存在なのでしょうか。

花は色や形から元気をもらえ、特に生きている花はそこにあるだけで元気をもらえる、ありがたい存在です。今回、DMをイメージして作った花束をくれた友人がいて、とても嬉しかったです。

 


 

━ Tsuinさんは装画や挿絵の仕事を数多く手がけられており、
今回の個展でもお仕事で描かれた挿絵が展示されています。
お仕事とオリジナルの作品を並列して展示しても、雰囲気に統一感を感じますね。
Tsuinさんご自身は物語に絵を添える仕事において、好きなジャンルはありますか?
また、得意なモチーフなどがあれば教えてください。

お話を読むのが好きなので、本の仕事はいつも楽しくさせて頂いています。モチーフとしては女性や子供、動物が好きです。ジャンルは問いませんが、ホラーやミステリーはウキウキして描いています。

 


 

━ 最近ではご依頼を受けたウェディングフォトの制作もされているとのこと。
依頼された方とはラフなどのやりとりはあるのでしょうか。
納品までどのようなプロセスを踏みますか?
これからお願いされる方に向けてご案内いただけますか。

ラフのやり取りはせず、完成までお任せいただいた形でした。細かく指定頂くより、自由に描かせて頂いた方が描きやすいので、絵の元となる写真を頂き、他は自由に描かせて頂きました。納期は1ヶ月ほど頂きました。

 


 

━ Tsuinさんの筆致には、人物の内面やバックグラウンドまで想像させてくれるような余地を感じます。
人物を描く際に意識されていることは何でしょうか。
また、現在の画風になるまでに影響を受けた方がいれば教えてください。

人物はほとんどその時の自分の気持ちを込めて描くことが多く、自画像のようなものだと思っています。描く時は音楽をかけて気分を高めています。

ピーター•ドイグ、網中いづるさんや日端奈奈子さんのようなきっちり描かない方が好きで、影響を受けていると思います。ちなみに網中いづるさんの原画(個展で購入しました)が家にあって、毎日眺めてます。

 


 

━ 今後挑戦されたいお仕事などや活動など、
Tsuinさんの展望を是非お聞かせください!


装画や広告、パッケージなど、見た人が何かしら嬉しくなるとか、癒されるとか、心を動かされるような仕事ができたらとても嬉しいです。

 

 

インタビュアー 須貝美和

春日井さゆり個展 「おままごと」

今週の作家さんは春日井さゆりさんです。

HBギャラリーでは初めての個展となりました。

アクリル絵具で丁寧に描かれた美しい作品の世界は

非現実的な側面もありながら心地の良い感覚を覚えます。

 

一部作品はオンラインショップでもお取り扱い中です。

http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

ー春日井さんは装画や挿絵のお仕事で既にご活躍されており、

グループ展でも作品を発表されてらっしゃいますが、

HBでは初めての個展となりました。

今回の個展はどのような思いで準備を進めて来られましたか?

 

とてもありがたいことに、HB WORKコンペで特別賞をいただき、その受賞者展の際にオーナー様から個展のお誘いをいただきました。

本当に嬉しくて光栄だったのですが、急なことでしたのでとにかく思いついたものから作っていって、

はじめは綿密な計画やテーマは決めることなくふわっとした状態で、手を動かすことが先だと思い、なんとなくで進めていきました。

制作を進めていく中で、本当に身近な、日常で感動したことを切り取り作品にしたいと思いました。

「おままごと」というタイトルにして、全体としてはまとまったと思っています。

ー春日井さんは絵を描かれる際、

模型を作って描いたり、鏡を見て描かれるそうですね。

そのような描き方になったのはいつからなのでしょうか。

今の手法になった経緯などをお伺いできますか

 

以前、四谷のギャラリーでグループ展に参加した際、来てくださったお客様に

「ディティールを大事にしたほうがいい、まだ迷ってるところがあるように思うから見本や模型を簡単でいいから作ってみては」

と仰っていただいて、それから下準備的なことを以前よりしっかりするようになりました。

実際、やはり説得力みたいなものが強くなったかなとは思います。

 

ー書店に並ぶ春日井さんの装画は人目を引き、

ダヴィンチ8月号でもジャケ買いしたくなるイラストとして紹介されています。

普段描かれているオリジナル作品と、仕事のための作品、

描き進める中で、双方に意識の違いなどはありますか。

 

お仕事とオリジナルでは特に意識はないと思うのですが、装画の絵のラフを描くときは、

今までの私の絵と物語の雰囲気を結びつけるような感じで考えて、

その上でもう一歩踏み込むようなラフが描けるように心がけていますが、

やはり自分だけの作品ではないので、本当に緊張していて、

汗びっしょりになっていたりします。。

ー春日井さんは漫画も描かれており、

「幽霊とゆーれい」で、講談社が主催するアフタヌーン四季賞の佳作を受賞されています。

漫画でも日常のシーンを土台に描かれながらも、

非現実的な世界を私たち読者に体験させてくれます。

春日井さんのポストにある「すぐそばにある異世界」がイラストでも漫画でも共通する視点のように思えました。

春日井さんご自身は、独自の世界を表現されるために、

普段から準備されていることや取り組まれていることなどはありますか。

 

取り組んでることと言っていいのかは分からないのですが、漫画は小さい頃から大好きで、日常が嫌なとき、私の逃げ場となったときもありました。

大人になってからはお酒を飲んだり、出かけたりして逃げ場を作れるようになったのですが、

好きな作品の世界を思い描いたり、日常とは違う時間を過ごしたときの感じをストックしておく頭の逃げ場コーナーみたいなものをいつも設置しています。

頭の逃げ場には夜中に少し起きたり、日差しがいつもと違うなぁなど、ピンとくる景色や音や手触りのような形容しがたい感じもあり、

それを形にしたいと思っていて、それが絵や漫画の作品になっているので共通点があるのかもしれません。

 

ーますます活躍が期待される春日井さん。

挑戦されたいお仕事などや活動などはありますか。

今後の展望を是非お聞かせください。

 

また装画のお仕事ができたらなと思います。

雑誌や、商品パッケージなどにも挑戦したいです。

個展で大きい絵を描いたり、漫画も新作を描きたいですし、

作りたいものはたくさんありますのでこれからも制作を続けていきます。

この度はありがとうございました。

インタビュアー 須貝美和

松木直紀個展 「スクランブル」

今週の作家さんは松木直紀さん。HBでは3回目の個展となりました。

今回のテーマは渋谷の街。雑踏の中を交錯する音や光、空気感の描写は必見です。
松木さんらしい、しっとりとした臨場感をぜひお楽しみくださいませ!

一部作品はオンラインショップでもお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

 

Q1.
松木さんは3回目のHB個展です。
「atmosphere」と題された2019年の初個展では明かりが灯る夜の街を、
続いて2021年「雨と雪」では新雪と雨の光景を描かれました。
今回は「スクランブル」と題し渋谷の街をテーマにされています。
渋谷をモチーフに選んだ理由をお聞かせください。

過去二回の展示では、近隣の住宅街など、誰も知らない街を描くことが多かったので、次は皆が知っている光景を描きたいと考えていました。
渋谷は、老若男女 国籍問わず色々な人がいて、明るいところも暗いところも、都会的な場所も自然が多い場所もあり、文化もスポーツも盛んで、本当に色々な要素がごちゃ混ぜになった面白い街だなという印象があり、そんな渋谷の光景を描き集めてみたいと思いました。

 

 

Q2.
松木さんはご自身で撮影された写真を元に絵を描かれるそうですね。
今回も実際に渋谷へ撮影に行かれましたか?
取材を終えてから絵を仕上げるまで、
松木さんはどのようなプロセスを踏まれるのでしょうか。

展示の構成をざっくり考えてロケ地の候補を洗い出した後、渋谷に取材に行きました。いくつか作品ができると全体の構成を見直すので、その度に何回か行っています。もともと20年くらい前にはよく渋谷に遊びに来ていたので、その頃を思い返しながら、街の変化を楽しみつつ歩き回っていました。
取材で撮影した写真は、フォトショップ等で他の写真や資料と組み合わせたり、線画を描き足したりして下絵を作ります。その後は下絵をベースにアクリル絵の具で描画します。

 

 

Q3.
お仕事で描かれる風景画はどのように制作を進められますか。
小説推理で挿画を担当された遠藤秀紀先生の連載小説「人探し」
こちらで描かれた駅の改札は、どこか特定の場所なのでしょうか。

制作の進め方は、基本的にはオリジナルと同じです。こういう絵にしたいというラフを作った後に、それに合う資料を探したり、ロケ地が思い浮かべば取材に行きます。それらを元に下絵を作って、アクリル絵の具で描きます。
物語の場合、あまり場所や人物が確定してしまうような描写はしたくないという思いがあって、ぼかすことが多いです。「人探し」の場合は実在する駅が舞台になっているので一応参考にはしましたが、それと特定できる要素は残していません。

 

 

Q4.
普段からどんなモチーフを描くときにも「空気感」や「雰囲気」を大切にされているそうですね。
絵を描き進めて行く中で、空気感、雰囲気を保つために工夫されていることはありますか?

意識的に気をつけているのは、あまり描き込みすぎないようにすること、あとは構図とモチーフ・ライティングでしょうか。
フルデジタルの制作だと描きすぎてしまうので、描画の段階ではアナログにしています。
街の絵の場合、街の空気は人が作ると思っているので、画面内に人がいない光景でも人の存在を感じさせるようなモチーフや灯りを入れるようにしています。

 

 

Q5.
松木さんは今年のTIS公募で見事入選され、ターナー賞,ファーバーカステル賞と企業賞をW受賞されました。
確かな実力をお持ちの松木さん。ますますのご活躍が期待されます。
今後の展望をお聞かせください。

書籍の装画や挿絵のお仕事はとても楽しく、今後も続けて行けたらと思っています。
街の絵を描くのが好きなので、そのあたりで雑誌や広告などのお仕事につながると嬉しいです。

 

 

インタビュアー 須貝美和

宮岡瑞樹個展 「ファジー」

今週の作家さんは宮岡瑞樹さんです。HBでは初めての個展となります。

デザイン事務所勤務を経て、2022年からイラストレーター・グラフィックデザイナーとして

書籍や広告を中心に活動されています。

日常の中に織り成される穏やかな時間、漂う空気、微細な感覚…

普段見過ごしがちな瞬間に立ち返るような美しい作品を是非会場でご覧ください。

一部作品はオンラインショップでもお取り扱い予定です。

http://hbgallery.shop-pro.jp/

Q1.

個展タイトル「ファジー」には宮岡さんのどんな思いがこめられているのでしょうか。

今回の展示のテーマについてお聞かせください。

 

心地よい空間にいる時に体がその空気に馴染んで溶け込むような感覚になる時があり、そのイメージを表現したいと思いました。

ファジーは「ぼやけた」「境界が曖昧」といった意味なので、テーマを一言で表している言葉でした。

 

Q2.

イラストレーターとグラフィックデザイナーの両立を目指し、昨年からフリーランスで活動をされているそうですね。

今回のDMもご自身でデザインされています。

イラストレーターとグラフィックデザイナー、2つの領域を横断することを選択された背景には

宮岡さんのどのような経験、考えがあるのでしょうか。

 

大学を卒業しエディトリアルデザイナーとして働き始めた頃は、イラストレーターになることは全く考えていませんでした。

デザイナーの立場からイラストレーションについて詳しくなりたいという思いから、

作品や作家さんの勉強をしていく中で描きたい気持ちが湧いていきました。

SNSに投稿した作品に少しずつ反応をもらえるようになりイラストレーターとしても活動する事ができるようになりました。

 

 

Q3.

装画やポスターなどのイラストレーションを描くこと、

書籍やフライヤーのデザインを制作すること。

各々の作業において心構えや意識の点に違いはありますか?

宮岡さんのこだわりなどもあればお伺いしたいです。

 

デザインの場合は決まったスタイルなどは持たず依頼内容に相応しい表現を心がけていますが、

イラストレーションの場合はスタイルに要望がある事がほとんどなのでその違いは意識しています。

要望をしっかりお伺いして、期待以上のものを制作して喜んでいただきたいという心構えは同じです。

 

Q4.

宮岡さんの震えのある線は

見る人の心の琴線に触れる繊細さもありながら

様々な解釈を許容するようなおおらかさも感じます。

線を描かれる際に、ご自身で意識されていることはありますか。

現在の表現になった経緯などもあれば併せてお聞かせください。

 

自分のイメージを表現できる線を探している時に、

たまたま手が震えて縒れてしまったか弱い線が魅力的に見えたのがきっかけです。

直線や曲線の形が崩れないように気をつけてノイズを足すような感覚で描いています。

 

Q5.

イラストレーターとグラフィックデザイナー

各々の立場で今後手掛けたい仕事や

自主的に取り組みたい活動などはありますか。

宮岡さんの今後の展望をお聞かせください。

 

自分の絵を使って自分でデザインする機会は少ないのですが、とても楽しいですし両方の立場を活かせると感じています。

文芸作品で装丁と装画を一緒に担当させていただくことが今一番の目標です。