才村昌子個展「見るものすべて」
今週の作家さんは才村昌子さんです。HBでは1年ぶり2回目の個展開催となりました。1つの版からさまざまな表情を生み出す、才村さんの遊び心いっぱいの銅版画の数々をお楽しみください!
「時の変奏 」犬の望遠鏡
今回の展示では、動物と植物をモチーフに描かれた新作「時の変奏」シリーズが見どころ。銅版画ならではの線の美しさが際立つ単色刷りからはじまり、手彩色、箔、抽象版との組み合わせなど、次々とアイデアが生まれたそうです。銅版画は何枚も同じように刷れるけれど、刷っていると少しニュアンスを変えたくなる…そんな一人遊びの過程を披露しているような展示になった、と才村さん。
「時の変奏」華やかに
「時の変奏」愛らしく
グラフィカルな色版が目を惹く作品。
「時の変奏」cantabile
正面に飾られたシリーズは、銅版画と金や銀の箔を組み合わせたもの。音楽をテーマに切り出された、箔のダイナミックな形がユニークな作品です。好きな形は日頃からストックしているという才村さん、紙の切りくずなど思いがけない形の発見を楽しみます。求める表現は、具象と抽象の間とのこと。刷り位置や抽象版との重なりなどは、事前にかなり設計するそうですが、箔の着き具合や光の反射でどのように見え隠れするか未知なところが楽しいのだそう。普段はデザイナーとしても活動されている才村さんですが、銅版画は現代のデザインとは逆のベクトルにあり、制作過程に多分に実験を盛り込めること、様々な現象の痕跡を作品に取り込める偶然性との出会いが魅力とのこと。
「時の変奏」violins
今回の作品で才村さんが新たに挑戦されたのは線の表現でした。これまではエッチングの硬質な線が気になっていたそうですが、点描の集積で柔らかな線の表情が出るようになったとのこと。心地よい線が描けてたまらなく嬉しい、と才村さん。楽しみながら理想の表現を追求される才村さん、今後の作品も楽しみです!
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