国分チエミ個展「parallel world」
今週の作家さんは、HBでは5年ぶり4回目の個展となるイラストレーターの国分チエミさんです。
装画やカタログの表紙、カレンダーのお仕事など幅広くご活躍されています。
今回の個展のために描き下ろされた作品や、お仕事で描かれた作品、全32点が並びました。
色とりどりの幻想的な世界観、幾重にも重なる繊細で美しいマチエールには目を見張るものがあります!
− 5年ぶりの個展ですが、展示されてみていかがでしたか?
普段、家にこもって仕事をしているのでどうしてもひとりよがりになってしまうんです。
でも、個展をすることで自分の手から作品が離れ、他の角度から見られるのがいいですよね。
次のステップに進むために恥をかいたり、他の方の新鮮な意見を聞けるのは個展しかないと思っていて。
見に来てくださる、みなさんの表情も見れてうれしいです。
− 飾ってみると、また違った見え方になりますよね。
今回はどんなテーマで制作されたのですか?
HBさんでは4回目の個展なのですが、最初の2回の展示では女性らしい小物だったりモチーフが多く、
構図もセンターにぽんっと描くような作品が多かったんですね。その後の3回目は動物をテーマに。
そして4回目では風景を描きたいなと思ってました。
画面からはみだすような構図だったり、抽象的で全体的に余韻を残すようなものを描いてみよう!と。
ただ今回の作品で完成ではなく、もう少し広がりたいという光のようなものが見えた気がするので、
今後も心象風景を描き続けてみたいなと思います。
− 個展タイトル「parallel world」は、国分さんの作品にぴったりな言葉ですね。
心象風景を描くとき、まず色から思い浮かびますか?それとも形から描いていくのですか?
昔は「この色が描きたい!」というふうに色が浮かんできていたのですが、最近は色と形の半々ですね。
以前は「赤」が描きたいから「赤」といえば「りんご」…といった具合に消去法で形を選んで描いていました。
今回制作した、蝶々が連続したパターンのようなものを描いてみたことで
形にも奥深さを感じ始めてからはおもしろいなと思うようになりました。
− 蝶々の作品、すごく好きです。これまではパターン作品はあまり描かれていなかったのですか?
お仕事では描いたことがなかったですね。
でも以前から海外のテキスタイルを見るのが好きだったので、影響されているのかなとおもいます。
− どの作品も原画の美しさに驚きました。1枚の絵の制作時間はどれくらいですか?
だいたい3~4日でしょうか。えんぴつでざっくりラフを描いて、
さらに原寸でその絵をトレースします。画材はアクリルガッシュを使って描いています。
− 制作のなかで、いちばん楽しいのはどんなところですか?
ラフや下書きはけっこう苦手で…色付けの段階に入るともう、るんるんですね!
− わぁ!楽しそうですね!作品からも色がお好きなんだろうなというのが伝わってきます。
お仕事ではラフはたくさん描きますか?
1つのお仕事でラフはだいたい2~3案くらいです。オリジナルの絵を描くときは1案で決まります。
やはりお仕事の場合は相手の気持ちを考えてというのがあるので。
− なるほど。相手への思いやりが、また次のお仕事へと繋がっているのでしょうね。
最後になりますが、今後イラストレーターとしての抱負をお聞かせ頂けますか?
作品集や大人の方が喜んでくれるような絵本を作ってみたいなと思います。
物語も自分で考えて…散文のようなものもいいですね!ずっと残るものを作っていきたいなとおもいます。
− 国分さんの書く物語、ぜひ読んでみたいです。ありがとうございました!
国分さんの頭の中を垣間見るような、不思議ででもどこか日常をも感じさせる世界観。
国分さんの日々の丁寧な暮らしや大切にしているものがひしと感じられる展示となりました。
印刷物になっても美しい国分さんの作品ですが、なかなか見ることのできない原画の美しさも体感していただきたいです。ぜひ見にいらして下さい!
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