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水沢そら個展「残響する芳芬」

今週の作家さんは水沢そらさんです。HBでは初めての個展となります。
切り絵の手法で、植物や蝶、少女の細かな描写が美しい水沢さんの作品。
その独自の幻想的な世界観に陶酔される方も多く、連日たくさんの方が楽しまれています。
残すところあと2日、この機会をお見逃しなく!

 

— 今回ご自身2回目の個展開催となるそうですね。飾ってみて気づいたこと、感想などありましたらお聞かせください。

展示してみて気づいたことは、描き込みの密度が以前よりも高くなっているなと思いました。
ちょっと変わった技法で描いているということが、昔に比べて自分でも気にならなくなりましたし、
「技法うんぬんより、作品として目に入ってくるようになった」と感想をいただけて、とても嬉しかったです。

最初に個展のお話をいただいた時は、すぐには展示が出来なかったので1年間待って頂きました。
でもその1年間がよかったなと感じます。 HBでの展示は憧れでした。

 

 

— こちらも嬉しいです。作品の描き込みの密度が高くなったことにはどんな理由があると思われますか?

元々、描き込むことは好きだったんです。今の切り絵の描き方で、色々なものを描けるようになってから
「どこまで描けるかな?」という自分に対してのチャレンジもありました。

今後は描き込みも残しつつ、抜け感をもっと追求していきたいです。
構図やモチーフについてもそうです。少女を多く描いているので、そのイメージが強いと思うのですが
もしまた展示をする機会があれば、次はいい意味で裏切ることができたらなと思います。

 

 

—  水沢さんは、絵を描くときどういうものからイメージが湧きますか?

厳密には自分でも分かっていないのですが、音楽だと思います。
ぱっとイメージが頭に浮かぶときもありますし、そうではないときもあって、
浮かばない場合は、写真やネット、雑誌などから人物のかたちだけをとっていきます。
座っている人を描いたとしたら、そこからその人が動き出すんですね。
その後ろには人がいて、手前には植物があって…と、その後の物語を展開していきます。
ずっと展開していき、写真の大本が0%になるまで描いていきます。

あとは普段からラフも描いていて、ラフ同士を組み合わせていくとストーリーが繋がって、
また新しい世界がうまれるということもあります。

 

 

—  この切り絵のスタイルになるまで、他にはどんな画材を試されましたか?

アクリル絵具でのペインティングや、カラーインクも試しました。
長い間、一番多く描いていたのはアクリルです。
今の技法だと、以前より明らかに描くスピードが2~3倍早いです。

僕は優柔不断で、飲食店に入ってメニューを見てもぜんぜん決められない…そんな性格もあって、
切り絵だと描く部分が限られているので、切りがつけやすく悩まず描けます。
この技法になってからは、今まで自分が途中で終わらせていると思っていたところで、
終わらせてもいいんだということに気づきました。

 

 

— 本格的にイラストレーターを目指そうと思ったのはいつ頃ですか?

30歳越えてからです。
バンタンデザイン研究所で2年間勉強してはいたのですが、
卒業後10年は遊んでばかりで、ずっとバンドをやっていました。
30歳を越えたとき、そろそろまずい…と思い、職をどうしようかと考えたときに
イラストレーターがいいなと思い、もう一度描き始めました。

でも卒業してから10年近く経っていたので、周りに絵を描く仲間がいませんでした。
その頃はSNSも今ほど活発ではありませんでしたし。
自己流で描いてみるもののうまくいかず、批評してくれる人も居らず…
そこで学校に行ってみようかなと思い、MJイラストレーションズに入塾し3年間学びました。

 

 

— 通っていた頃から絵の売り込みはされていましたか?

その頃はしていなかったです。今もそれほどはしていないのですが、
MAYAさんの装画コンペで賞を頂いてから、ぽつぽつとお仕事を頂けるようになり、
お仕事の本を見た方から、またお仕事を頂けて…といった具合です。
もっと広げたいなと思っているので、売り込みもしていきたいです。

オリジナルの作品を描く上では、自分の中のファンタジーなところを描いていきたいです。

最近では、野菜の「もやし」を描くお仕事を頂けてとても楽しかったので、
こういうものも描けるんだ、と振り幅を広く持てたらいいです。

— 今後はどんなお仕事をやってみたいですか?

しいて言えば広告がやりたいです。
ハーゲンダッツが大好きなので広告をぜひやってみたいです。
他には飛行機の機内誌「翼の王国」が好きで、飛行機に乗る度に持ち帰っています。
いつかお仕事ができたらいいです。一流のイラストレーターさんの絵が載っているので夢ですね。

— お話がくるといいですね。楽しみにしております!すてきな展覧会をありがとうございました。

 

日笠隼人個展「世界旅行」

今週の作家さんは日笠隼人さんです。HBでは2回目の個展となります。

お仕事で旅行ガイドの表紙イラストレーションを手がけられた日笠さん。
今回はその原画と、展示のために描き下ろされた新作イラストレーションを展示しています。
正面の壁に飾られた大きな世界地図とともに、各国の雰囲気を味わえる楽しい展覧会です!ぜひお越しください!

 


— たくさんの国が並びましたね!これは全てお仕事で描かれたのですか?

18カ国を描くお仕事で、日本とスペインは展示にあわせて描きました。
大きな世界地図も新たに描きました。国の位置を地図でみつけながら、小さなお子さんにも楽しんでもらえたら嬉しいです。

— 各国の特徴がシンプルにまとめられていてお見事ですね。

資料は先方に頂いたものもありますが、組み合わせは自分でみつけたり、自由にやらせて頂けました。
構図のやり直しなどもほとんどなかったですね。
香港と台湾の違いを描くのが難しかったです。
名所だけを描くのではなく、人物やその土地の名産などと組み合わせて描くところが難しかったですね。

 

 

— 前回の個展から、タッチも変わりましたね。

これまではベージュ、紺、赤を基調にして描いてきたのですが、
はじめてこのテイストで色をつけてみました。自分でも発見だったなと思います。

— まだまだ広がりそうで楽しみですね。
日笠さんは普段、イラストレーションのお仕事の他に先生もされているとお聞きしました。

セツ・モードセミナーと、銀座の絵画教室で講師をしています。
イベントや作品展、スケッチ会などあって忙しいですね。
イラストレーションのお仕事をもっとやりたいなと思っています。

 

 

— イラストレーションのお仕事ではどんなことをやってみたいですか?

今回の旅の絵は、説明的な絵ではありますがとてもおもしろいお仕事でした。
旅ガイドの中身の挿絵なども含めてもっと描いてみたいなと思いました。

他には本の装画や小説の挿絵をやってみたいです。
物語性があるような絵を、本を読んで描くということをやってみたいです。
このタッチでどういう風になるのか見てみたいです。

 

 

— 日笠さんの絵はいい意味で軽さがあっておしゃれですよね。
ファッション系のお仕事も合うのではと思います。抜けがある感じがいいですね。

見る人に余地を残すような絵が描きたいなとはいつも思っています。
ファッションも好きですね。あと僕は調理師の免許も持っているので、料理のレシピを描く仕事などもぜひやってみたいです。

—レシピの文字も手で描いたらきっとかわいいと思います!このタッチで色々とお仕事が広がるといいですね。

しばらくはこのスタイルを極めたいと思います。
以前はボールペンで塗っていた部分を、今回はステンシルで描いてみたりと、大変でしたが楽しかったです。
新たな技法をずっと模索していたところでした。

線ももっと研究していきたいです。違うインクを使ったり、線の強弱があったり。
そういうものが出てくるとおもしろいかなと思います。人を単体で描いたらどうなるかとか。
付けペンなんかで描くとおもしろいのかなと思います。

 

 

— 今後の展望もみえましたね。

次なるテーマはそれかなと思います。
やり終わって、今後目指したいものがみえました。

— また作品を拝見できるのを楽しみにしています!ありがとうございました。

 

平尾直子個展「赤ペン同盟」

今週の作家さんは、平尾直子さんです。HBでは初個展となります。

赤色のボールペンだけで描かれたユーモラスな登場人物たち。
群衆や街並を緻密に描いていながら、楽しく軽やかな印象をうけます。
飄々としているような、でもどこか切ない表情がなんともかわいらしく魅力的!

今年で、イラストレーションのお仕事をされてから10周年を迎えられたという平尾さん。
そんな平尾さんの記念すべき展覧会、ぜひ見にいらしてください!

 

 

— 今回10年ぶりの個展となるそうですが、展示してみていかがでしたか?

不安ばかりだったのですが、自分の作品群がひとつの空間におさまったのを見れて
これからの展望を自己分析できたような気がします。
次のイメージが浮かんだところが、一番の収穫でした。

 

 

— 平尾さんといえば「赤色」の印象ですが、この描き方はいつ頃からされているのですか?

4年前くらいからです。
塗りがうまい人と線がうまい人がいる中で、自分は当時、水彩で鬱金(ウコン)色で描いていたのですが、
その描き方に自信が無くなってしまったときがあったんです。その時にふと、家にあった赤ペンで水彩紙に描いてみたのが最初です。 子育てで忙しかったというのもあります。

— 身近な画材で描いてみたのが良かったのですね。
平尾さんは、峰岸達さんのMJイラストレーションズに通われていたそうですが、どれくらい在籍されていたのですか?

3~4年は通っていたと思います。自分は3期生でした。

 

 

— 塾へ行ってよかったなぁと思うことはどんな点ですか?

描くべき方向性を、峰岸先生の意見やみんなの作品を見ていると整理されていった感じがします。
余計なものを取ったり、必要なものを入れ込んだり。
あの人の、あの部分が好きだなと思ったり、先生のあの部分を真似してみよう、と思いました。

— みんなで頑張れるいい環境ですね。
平尾さんはすでに書籍を中心にお仕事をされていますが、普段から売り込みをされているのですか?

売り込みはしていないです。知り合いの方にお声掛けいただいたものや、
MJイラストレーションズBOOK」という本に載せて頂いて、それを見た方からお仕事を頂きました。
峰岸先生には本当に感謝しています。

 

 

— イラストレーションを続けて10年になるそうですが、長く続けられた秘訣はありますか?

やはり峰岸先生とMJの仲間、家族のおかげだと思います。
先生と仲間の存在はすごく大きいですね。

— 連日、MJのお友達がたくさん見えてますね。みなさんすごく仲がいいんだなと思いました。
平尾さんは今後、どのようなお仕事をやっていきたいですか?活動目標などお聞かせください。

お仕事では、NHK出版のロシア語講座の表紙をやってみたいです。
エディトリアル、書籍のお仕事の売り込みをしていきたいですね。
また、自分にしか描けないスタイルを探していきたいです。
「〜風に描いて」という依頼が多いみたいなのですが、それはちょっと辛いなぁと。

 

 

— 今回もロシアのシーンをたくさん描かれていて、やはりロシアがお好きなのですね。お仕事くるといいですね!
最後にアピールしたいことをお願いします!

今回は赤ペンで描きましたが、仕事上で色が変わるのは全く違和感はありません。
ふわっとした赤い発色が好きなので、展示に統一感をもたせました。
外国の風景も描き続けますが、オリンピックに向けて東京の街もこれから描いていこうと思います。

— ありがとうございました!東京の風景、ぜひ見てみたいです。今後益々のご活躍を楽しみにしております。

 

松倉香子個展「どこかへ一緒に行こう。」

今週の作家さんは松倉香子さんです。今回がご自身の初個展となります。

淡い色彩の世界の中に、ぽつりと佇む人物。
松倉さんの作品は、儚げで消え入りそうな世界のようで
でも、見る人の心にずっと残るような圧倒的な存在感があります。

新作のほかこれまで手がけられたお仕事の貴重な原画も展示しています。
松倉さんの集大成、ぜひ見にいらしてください!

 

 

— とても見応えがありますね。今回が初個展とお聞きして驚きました。

普段勤めているので、あまり在廊できないなと思い、なかなかやる機会がなかったのですが
ここ10年で作品がたまったので展示をしてみようと思いました。

 

— 絵はいつ頃から描かれているのですか。

小さい頃から絵は好きだったのですが、描きはじめたのは17年前くらいです。
青山塾やパレットクラブができたばかりの頃に通っていました。
その頃は教室へ行っただけで満足していて、絵は全然描いていなかったのですが…

その後、ギャラリー勤務をしながらコンペに出すようになりました。
絵を仕事にしようという気持ちよりは、ただ漠然と描きたいという気持ちの方が強かったです。

 

 

— 絵をはじめるきっかけは何でしたか?

最初に勤めた住宅関係の仕事で、よく建築事務所へ営業に行っていたのですが、
そこで建築家の方が1人で色々と作っているのをみて、羨ましいなと思ったんです。
自分で作り出す仕事っていいなと思いました。
それから自分も絵が好きだったことを思い出して、教室に通い出しました。

— 描きはじめた頃から、今のようなタッチだったのでしょうか。

最初の頃はいろんなタッチに振り回されていました。
鉛筆で描いたり、パソコンで描いていた時期もありました。
自分の描きたいものを描いてみたときに、コンペにひっかかったという感じです。

 

 

— 絵を描くときに、頭の中でイメージしたものをはき出すような描き方をされますか?

自分の中で2パターンあって、あらかじめ構図を考えて描くときと、
描きながら「どうなるかな?」と進めていくときがあります。最近は後者の方が多いですね。
ササっと構図を描いてからの方が、あとから気に入るものが多いのですが、なかなか難しいです。
構図が決まってしまえば、あっという間に描けます。

 

— 画材は何を使われているのですか?

アクリル絵具と、 壁画用の画材を使っています。その上に水彩絵具で描いています。
以前、仕事で壁用の絵具を使う事があって、大量に残っていたものを使ってみました。
絵具を盛って描くのがけっこう好きです。

 

 

— 装飾の部分が白く盛り上がっていて質感が面白いですね。
描くモチーフも独特で素敵だなと思いました。恐竜の骨や流木など、絵のポイントになっていますね。

最近は、水草や流木のあるアクアリウムのような世界観にはまっています。
人物に関しては、見た人によって合わせられるような、自分を投影できるようなものがいいなと思っています。
少年なのか少女なのか、どちらにも見えるような曖昧な描き方をしています。

 

 

— 人物の表情もとても好きです。今後、こんなお仕事をしてみたいというものはありますか?

やなせたかしさんが詩と絵を書かれた素敵な本があるのですが、
いつか自分でもそんな本を作ってみたいなと思います。

— それはぜひ見てみたいです!拝見できるのを楽しみにしております。

 

仲條正義賞 角田正之個展「平面ブルース展」

HBファイルコンペvol.24 大賞展7週目は仲條正義賞を受賞された、角田正之さんです。

不思議なマスクをかぶったような、愛らしいキャラクターが多く登場する角田さんの作品。
一体これは何だろう?と、見る人を惹き付けるユニークさが魅力です。
どの作品も純粋に、手の動くまま楽しく描いている様子が伝わってきます。

今回は5回目の応募で、見事に大賞に輝きました。そんな角田さんの集大成をぜひご覧ください!

 

 

 

— 今回の展示はどんなテーマで描かれたのですか?
フラットっぽいのを描いていたり、ペタっとしたものを描いています。
トッカフォンドが好きで、深みのある悲しげなものを描きたいなと思って制作しました。

— 不思議なキャラクターのようなものがたくさん出てきますが、顔が特徴的ですよね。マスクのような。

あまり表情を描きたくなくて、人にフォーカスされる気がしてちょっと嫌だなと思いました。
顔にマスクをかぶせたり、色で塗りつぶすような描き方になりました。
画面の雰囲気で見せたいというのがあります。

 

 

—  描くときには、物語や設定など決めているのですか?

設定を考えて描くときもあるのですが、まじめな絵になってしまってダメなことが多いです。
そういう描き方も嫌いではないのですが、考えないときのほうが描けます。
絵の具を散らかしたりして、塗りつぶしていく途中で形にして、画面上で変わっていく感じが描いていて楽しいです。

 

 

— 楽しく描いているんだろうなというのが伝わってきます。
今後、こういうお仕事をしてみたいなどありますか?

何かあればぜひやってみたいですが、そんなに欲求が強いわけではないです。コンペも仕事につなげたくて
応募したというよりは、審査員の方々に自分の絵を見てほしくて応募した、という感じです。

 

— HBのコンペに応募されたのは何回目ですか?

5〜6回くらいだと思います。

 

 

— 個展は初めてだそうですが、展示してみていかがでしたか?

色々な方々とお会いできて、とても刺激になりました。
それと、展示することで客観的に自分の作品を見ることができ、またやりたい事が増えました。

—  現在は、デザインのお仕事をやりながら絵を描かれているとのことですが、
今後もお仕事をしながら絵を描いてこうかなという感じでしょうか。

そうですね、絵は今後もずっと描いていくと思います。

— 壁画など、大きいサイズの絵もいつか見てみたいです。また作品を拝見できるのを楽しみにしております!

 

 

審査員の仲條さんと。

永井裕明賞 ササキエイコ個展「See」

HBファイルコンペvol.24 大賞展6週目は永井裕明賞を受賞された、ササキエイコさんです。

さまざまな素材を使ったコラージュと手描きの質感がユニークなササキさんの作品。
デザイン的センスと、自由に手を動かして描く楽しさに溢れたずっと見ていたくなる作品です。
原画ならではの素材感をぜひ間近でご覧頂きたいです。

 

 

— 永井裕明賞おめでとうございます。今回の展示テーマをお聞かせいただけますか?

私が描くものは、身近なものや感覚的に描くものもあります。
絵は”見る”行為ではあるけれど、香りや感触など、視覚だけではない五感を使って楽しんでほしいという気持ちで描きました。”目に見えるものだけじゃないものを見る”ということをテーマにしています。

 

 

— よく見るといろいろな素材を貼って描いていますね。質感がとてもおもしろいです。

学生の時からアクリル絵具と紙を使ったコラージュで描いていて、今もその技法で定着しています。
画材は縛らず、色鉛筆や修正テープ、シールなどいろいろ使って描くのが楽しいです。

— 素材は普段から探したり、集めたりされているのですか?

学生の時はすごく集めていました。大学4年の時にヨーロッパへ旅行に言った際、
色んな素材を集めて持って帰りました。今もその素材を絵に使用しています。
海外の新聞は日本のものと色味が違ったり、罫線の入り方などがおもしろいなぁと思います。

 

 

— 原画を見ると素材への探究心を感じます。絵はずっとお好きでしたか?

絵は幼い頃から描いていました。最初は絵本を見るのが好きで、そのうち自分でも絵を描くようになりました。
高校では日本画を描いていたのですが、岩絵の具以外のもっといろんな画材で描きたいと思うようになり
卒業後は、京都精華大学のデザイン学部のイラストレーション科に入りました。
大学の授業では、テンペラやシルクスクリーン、銅版画、カラーインクなどさまざまな画材に触れました。
銅版画にはまり、ずっとプレス機を使い制作をしていた時期もありました。

紙に色を塗り、その素材だけを切り貼りして絵を描く、という授業がきっかけで
今の作風につながったと思います。大学での経験は大きかったなと感じます。

 

 

— 普段、ササキさんは絵を描く以外ではどんなことがお好きですか?

本が好きで、幼い頃はグリム童話を読んでいました。大学時代も赤ずきんをテーマにしたビジュアルブックを制作したりと、「物語が好き」ということが制作のベースにあると思います。

— 学生時代はデザインの評価が高かったとお聞きしました。他にはどのようなものを制作されていたのですか?

先生方からは絵より、写真を使ったりコラージュしたものを作り始めてから評価されるようになりました。
手描きの素材をパソコンに取り込んで、文字を作ったりカレンダーを作ったりしていました。

— ずっと手描きをベースにしていろいろなものを作られていたんですね。今後はどんな活動をしていきたいですか?

本や絵本が好きなので、自分でお話を作るところからやってみたいです。
絵本もかなり自由だと思うので、絵と言葉で何かできたらいいなと思います。

— ササキさんの絵本、ぜひ見てみたいです。今後益々のご活躍を楽しみにしております!

 

 

審査員の永井さんと。

夏期休廊、オンラインショップお休みのおしらせ

まことに勝手ながら、

8月7日(木)〜 8月13日(水)まで、夏期休廊とさせて頂きます。

それに伴いまして、HBオンラインショップの発送業務もお休みさせていただきます。
休廊期間中にいただきましたご注文やお問い合わせについては、
8月14日(木)以降に順次対応させていただきます。

商品発送は8月15日(金)以降となります。商品到着が遅れますことご了承くださいませ。

 

ご不便をおかけ致しますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

鈴木成一賞 はやしあおな個展

HBファイルコンペvol.24 大賞展5週目は鈴木成一賞を受賞された、はやしあおなさんです。

白と黒の面と線だけで表現されたはやしさんの作品。
日々の暮らしのなかにある静物を、ミニマムな技法で描いていながら見る人には確かに伝わってくる
豊かな表現力が魅力的です。

ファイルコンペには初応募で見事に大賞を受賞されました。
受賞後には、鈴木成一さんデザインで装画を手がけられるなど、今後のご活躍が楽しみな作家さんです。

 

 

 

— この度は受賞おめでとうございます。今回が初個展だそうですが、展示してみていかがでしたか?

自分の絵だけで、ひとつの空間ができるのがおもしろかったです。
HBで個展をするのがずっと夢だったので、初個展がHBでうれしいです。
HBのコンペが一番、賞をとりたいと思っていました。

 

 

 

 

— こちらもうれしいです。ありがとうございます!今回の展示テーマやコンセプトをお聞かせ頂けますか?

静物というテーマをメインにおいて制作しました。
初個展なので一つの具体的な世界というよりは、淡々と絵が並べられたらいいなと考えていました。

— 画材は何を使われていますか?

黒いインクと、月光荘さんの8Bのえんぴつで描いています。4年ほど前からずっと使っていました。

 

 

—  ファイルコンペにご応募いただいた作品もすべてモノクロでしたね。
たくさんの作品の中で、色は使っていなくてもとても存在感がありました。

前々からモノクロでは描いていたので、まずはこれでいこうと決めました。
モノクロの世界が好きです。

— 普段、絵を描くこと以外に、すきなことや興味のあることはありますか?

去年フランスに行った際に、蚤の市でみつけたアンティークのパーツがすごく好きで
ねじや釘など、部品のシンプルな形自体に魅力を感じます。
そういうものにインスピレーションを受けて描いています。

 

 

 

— 今後、どのような活動をしていきたいですか?

一番やりたいのは雑誌の表紙です。広告のお仕事もそのうち頂けたらいいなと思います。

— すきな雑誌はありますか?

「BRUTUS」や「Casa BRUTUS」 が好きです。

 

 

 

— はやしさんの作品が表紙になったらとても素敵だなと思います。
作家さんとして絵を続けていくというよりは、イラストレーターというお仕事として続けていきたいですか?

そうですね。紙のお仕事や印刷物になってこそだと思うので、どんどん印刷されたいです。
印刷物のイラストレーションとしてちゃんとやっていきたいです。

— 鈴木さんとお仕事をされた2冊目の本も楽しみです。今後のご活躍も楽しみにしております!

 

審査員の鈴木さんと。

藤枝リュウジ賞 松下まり子個展「微笑むを犯す」

HBファイルコンペvol.24 大賞展4週目は藤枝リュウジ賞を受賞された松下まり子さんです。

リボン、ブラウス、ドレスなどを着飾った少女たち。
目や口は強くぬりつぶされ、笑っているのか怒っているのか、見る人にゆだねるような不思議な魅力を放った表情をしています。どの作品も圧倒的な存在感で、松下さんの創り出す独特な世界に強く引き込まれます。
力強い油彩の筆致も、ぜひ間近でご覧いただきたいです。

 


 

 

— この度は受賞おめでとうございます。
今回の展覧会タイトル「微笑むを犯す」にはどのような意味が込められているのですか?

描いていてあとから気づいたことなのですが、よく見ると笑っているような顔が多いなと思いました。
でも普通のにっこりした「微笑む」というよりは微笑むという悪事を働いているような、
我を忘れて何かにとりつかれているような微笑み、それで「微笑むを犯す」だなと。

— イメージのもとにはどんなものがありますか?

イメージの窓口になるものは、昔の白黒写真だったり絵だったりします。
それを入り口にはするものの、制作の途中ではゴチャゴチャとした暗くて汚いところから別のものを取ってきて、
最終的に大きなものになって出てくる、といった感じです。

 

 

— このようなモチーフは、いつ頃から描きはじめられたのですか?

心の中にイメージはずっとありましたが、チョイス展の後から描くようになりました。
途中描けない時期があって、普通のデッサンを一からやり直していたときもありました。
その後、油絵で描いてチョイスに応募したらポンッと受賞してしまいました。

— チョイス展の受賞作も拝見しましたが、色味が変わってきた印象をうけます。

ぼんやりとした色味から、だんだんと強くなってきました。
真っ赤だったり、真っ黒だったり。サイズも大きくなってきました。もっと大きいのが描きたいです。

— 迫力が増してきていますね。

遠慮が無くなってきたなと思います。別にいいんだわ、といった感じ。
どろどろとした表現になっていったり、ここまで形が変わるとまた具象に戻ると思います。
お化けみたいな方にいったり、肖像画へいったり、交互に変化していくのかなと思います。

— 紫色と黄緑色を組み合わせているところなど、松下さんご自身の色が出ているなと感じます。

紫色が引き立つように他の色を考えます。紫色のために黄緑を使っていたり。
自分のなかで、紫色は肉や肉体、生き物の色というイメージがあります。
茶っぽい紫色や、青っぽい紫色など、紫色の範囲で生きものや人間ができているような気がするんです。

 

 

— 松下さんの絵は、一見怖いけれど可愛い感じもする。不思議な魅力がありますよね。

自分自身では可愛いと思って描いています。
キティやマイメロディなどが一般的な「可愛い」だとするならば、
同じような感覚で、自分の絵を可愛いと思っています。
ちょっと壊れていたり、ズレている。乱暴な感じや、怖いくらいのものが好きで
ギャーッと言ってきそうな感じが可愛いし、愛着を感じます。

絵のなかでは血が流れたり、怪我をしている。
けれど自分では可愛いと思って描いているので全然怪我をさせたくないし、とても大事にしています。
可愛い衣裳を着て、大事にされている感じにしたいんです。やっつけたい、とは思っていない。
そこでバランスがとれていると思っています。

男の人にはよく「怖い絵」と言われます。

 

 

— 今後、イラストレーターとしてお仕事をしていきたいというお気持ちはありますか?

イラストレーションとして使っていただくのは全く抵抗はありません。
元々ある絵を使ってもらうのはかまいません。

ただ依頼されると絵が萎縮してしまって自由に描きづらくなります。
絵を描くとき、えのぐと私がトランスして遊んでいる感じになるといい絵が描けます。
絵の方がなりたい顔や形とかが、一緒に遊んでいると偶然出てくるんです。

 

 

 

 

— 楽しそうですね。その感じは絵からも伝わってきます。
最後に、今後どのような活動をしていきたいですか?

私は自分の絵を、四角いキャンバスを油絵の具で塗るといった行為や、モチーフにしても
わりと正統派のペインティングだと思っています。その正統派のペインティングで世界の最高レベルまでいきたいです。
スタイリッシュでインテリアみたいになるのではなく、古くさいこと、絵の一番いいところまで質を底上げしていきたい。そのためには大きい絵、物体の量が必要だと感じます。何年かやっているとまた変わるかもしれませんが
奇をてらうようなことはあまりせずに、絵を描くことをまじめにやっていくと思います。

あと、黒い壁に展示をしてみたいです。真っ暗なところに何かが出てくるような、そんな展示をやりたいです。

 

副田高行賞 舞木和哉個展 「Remember you take out the garbage in the morning. 朝にゴミを出すことを忘れないで」

HBファイルコンペvol.24 大賞展3週目は副田高行賞を受賞された舞木和哉さんです。

普段はフリーランスでデザインのお仕事をされている舞木さん。
絵は毎日欠かさず描かれているそうです。
そんな日々のたくさんのスケッチからうまれた、20作品が見事に大賞に輝きました。
流れるように描かれた線画と、そこに添えられた英文とのバランスがここちよいものばかりです。

 

 

 

— この度は受賞おめでとうございます。昨年、初めてコンペにご応募くださったそうですが、きっかけは何でしたか?

知り合いが「応募してみたら?」と勧めてくれたことがきっかけになりました。

 

— 受賞の知らせを聞いたときはどんなお気持ちでしたか?

めちゃくちゃ嬉しかったですね。賞をとれるとは思っていなかったので。
ファイルを預けることで、絵を見た方からお仕事をもらえるのかな?という気持ちでした。

 

 

— 副田さん以外の審査員の方からの評価も高かったです。
今回展示された作品は、普段から描きためていたものなのですか?

日頃、描いているスケッチから選んでいます。
仕事をしている合間に描いたものや、電話で話している最中の、無意識な落書きからうまれたものなど
量だけは山ほどあります。量をこなした中から、光る何かがあるのではと思っています。

 

 

 

— 舞木さんの絵は達者な感じがするなと思っていました。普段デザインをされているということもあり、
そういった部分も影響して絵に厚みが出るのかなと。

デザインの影響はありますね。ポスターのようにキャッチコピーをいれたくなります。
絵を描くのは感覚的に、タイトルや作品に書く文は知覚的に、
右手が書いたり左手で書いたり、図のような感じでいったり来たりしているかんじです。

それを形に、と思ったらこうなりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

— 線は何で描かれているのですか?

線は外壁用のインクで描いていて、背景はリキテックスでシルクスクリーンで刷っています。
場所によってはインクが薄かったり、厚みがあったりして味があるのが気に入っています。

 

 

— 舞木さんの絵は、生活空間にあったら素敵だろうなと思います。

ありがとうございます。以前、IDEEさんで展示をやらせていただいたことがあったのですが、
その時も、自分が家にあったら飾りたい絵はどんなものだろう?と思って描きました。
家に置きたくないものは描きたくないなと。

 

— 今後、どんなお仕事をしてみたいですか?

ニューヨークのACEホテルに絵を描いてみたいです。
そこは、選ばれたアーティストが客室の壁面にペイントができるというホテルなんです。
3年程ニューヨークに住んでいたこともあるので、何かつながったらいいなと思います。

 

— いいご縁があるといいですね。最後に、アピールしたいことなどありましたらお願いします!

気に入った絵があったら部屋に飾って欲しいです。
キャンバスも廃材を利用して作っていますし、絵も無意識からうまれる排泄物みたいなもの。
今回の展示に限らず、自分のテーマはいつも「朝にゴミを出すことを忘れないで」なのです。

 

審査員の副田さんと。