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菅野博子個展「こんなときもあったよね!」

今週の作家さんは菅野博子さんです。HBでの個展は約2年ぶり、今回で10回目となります。
福島県のいわき市を拠点に、コンスタントに制作を続けられています。

今回は、菅野さんのまわりの大切な人々をテーマに描きました。
若い頃のお父様のお写真や、ご自身の幼い頃、また菅野さんの大切な人たちを描いています。
お写真を見ながら、こんなときもあったんだ、と感慨深い気持ちになったという菅野さん。
丁寧に描かれた人物は、菅野さんの思い入れがこもった温かい表情ばかりです。

 

 

— 今回は人物をたくさん描いていますね。菅野さんご自身の絵もありますね。

去年父親が亡くなって、古い写真を整理していたら若い頃の写真がたくさんでてきたんです。
モノクロだったりもして、こんなときもあったんだと感慨深いきもちになりました。
父親の若い頃や自分の幼い頃の写真を見て描いたり、地元のいわきに住んでいる大好きな人たちに
写真を撮らせてもらって描きました。

身近な人だと想いがあるので、知っている人を描くとやはり違うなと思いました。

 

 

— 菅野さんの絵を見ているとあたたかい気持ちになります。
2年ぶりの個展はいかがですか?

余裕をもって前もって描けましたし、準備もできたのでよかったです。
新作の絵本も完成しました。
数えてみたら、今回が10回目の個展だったんです。時は流れましたね。
1回目の個展の際、「映画の気分」という本を出して、
10回目で「うちのミィ〜」が出せました。絵本をつくるのはやっぱり楽しかったです。
個展をすること自体も楽しみで、 わたしはHBで個展をするのが好きなんだなぁと思いました。

 

 

— 10回目とはすごいですね!ギャラリーも、菅野さんのように継続してがんばります!
新作の絵本「うちのミィ〜」が可愛らしいですね。全てご自身で作られたのですか?

最初は講談社の絵本新人賞に向けて描いたんですけど、そのままボツになって…
でもせっかくだから立派なものに!と思い、自費出版で制作しました。

 

 

— 菅野さんの絵は、絵本にぴったりですよね。

ありがたいことに、秋口に絵本が出る予定なんです。
岩手県の久慈市を舞台にしたお話で、取材にも行かせて頂きました。
月に1度、避難訓練をしていたという、とある幼稚園のお話なのですが
その訓練があったから、2011年3月の震災当日はみんな無事に逃げることができ、
助かったという内容です。

以前、HBでの個展を観に来てくださった岩崎書店さんにお声掛けいただいて
お仕事につながりました。 絵を覚えてくださっていたんだ、と思い嬉しかったですね。
HBで個展をやると、見に来てくださる方が多いのでやりがいがあります。

 

 

— 実際にお仕事になってよかったですね。菅野さんの絵本、楽しみです!
絵本のお仕事も控えていてお忙しくなると思いますが、今後どのようなお仕事がしたいですか?

自分ではそう思っていなかったのですが、
デザイナーさんの方々によく「絵本が向いてるよ」と仰って頂けているので、
絵本のお仕事がいっぱいくると嬉しいです。

—  菅野さんの益々のご活躍を楽しみにしております!絵本が完成しましたらぜひお知らせください〜

 

版画のイラストレーター展 凸凹「凸凹な庭」

今週は版画イラストレーター”凸凹“の6名による展覧会です。

2012年の12月に開催していただいて以来、今回が2回目の展覧会となります。
メンバーはアンドーヒロミさん、正一さん、タダジュンさん、楯川友佳子さん、平岡瞳さん、芳野さん。
今回は「庭」をテーマに、6名の作家さんそれぞれの個性あふれる楽しい作品がたくさん展示されました。

また、展覧会のために制作された「凸凹な庭」作品集も部数限定で販売中!
6種類の版画技法の説明や、作家さんのお人柄が感じられるコメントも収録された、
見応えのある1冊です。こちらもお見逃しなく!

凸凹



アンドーヒロミさん/銅版画

盛りあがったインクが何層にも重なっているような、重厚な質感がおもしろいアンドーさんの作品。
リズミカルなカタチや色が楽しく、じっくりと時間をかけて見ていたい作品ばかりです!

 

アンドーヒロミさんHP http://h-ando.jp/?page=0

 

 

 

 

 

 

 

 

正一さん/モノタイプ

同じイメージのものが版から一枚しか刷れないという、モノタイプという技法で描かれた正一さん。筆のたっぷりとした、のびのびした線が気持ちのよい作品です。
正一さんは7月4日から開催のHBファイルコンペ特別賞展での展示も控えています。こちらもお楽しみに!

 

 

正一さんHP http://showichi.jimdo.com/ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タダジュンさん/紙版画

蝶、カマキリ、蜘蛛など昆虫をモチーフに描いたタダさん。
見れば見るほどその不思議な魅力に引き込まれてしまいます。
モノトーンの深みのある色合いと、作品に付けられたタイトルから
さまざまな物語が膨らみます。

 

タダジュンさんHP http://juntada.com/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楯川友佳子さん/木版凹版

自然な木目の質感と、淡い色彩がここちよい楯川さんの作品。
会場にはウサギや、たんぽぽなどを描いたかわいらしい小ぶりな作品も。綿毛などのふわふわとした表現も秀逸で、楯川さんによる木版表現の奥深さに驚かされます。

楯川友佳子さんHP http://www16.ocn.ne.jp/~yukako/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平岡瞳さん/木版画

ひっそりと佇む、島猫がかわいらしい平岡さんの作品。どの作品も、ゆったりとしたおだやかな時間が流れています。作品の佇まいもかわいらしく、原画は手のひらにおさまるほど小さなものも。ぜひ実物を見て頂きたいです!

 

平岡瞳さんHP http://blog.goo.ne.jp/hitohito1103 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

芳野さん/リトグラフ

小鳥やお花、ちいさな動物がかわいらしく登場する芳野さんの作品。
色鉛筆のような質感が素朴で、やさしい雰囲気に包まれます。
近くでよく見ると、少しずれた色の重なり方がとてもきれい。
手描きのようで、でも手描きでは出せない魅力のある、
芳野さんの作品のおもしろさは必見です!

 

芳野さんHP http://nocodico.com/

 

 

阿部千香子個展「windows」

今週の作家さんは阿部千香子さんです。
HBでは約2年ぶり、2回目の個展となります。

つぶつぶとした線がとてもかわいらしい阿部さんのイラストレーション。
少ない色数でも表現のできる技巧と、親しみやすい線画で、数多くの媒体でご活躍されています。
日頃から気になった言葉を集め、絵のヒントにしているという阿部さん。
ユーモアたっぷりな作品タイトルにもぜひご注目を!

 

 

— 今回の展示のテーマについてお聞かせ頂けますか?

いろんな窓をテーマにしています。
自分のなかの色々な小窓をもう一度開けたり、覗いたりして
そこからひっぱり出してみました。
前回の個展からの2年間で、自分の記憶や印象に残ったことを絵にしたものと、
お仕事で楽しく描かせていただいた絵を飾っています。

 

— すごくかわいらしい線ですよね。どのような技法で描かれているんですか?

ラフは鉛筆で描き、その後スキャニングしペンタブレットを使って描きます。
ラフの時点では、最終的に出来上がる絵よりずっと小さめに描いています。
パソコンはWindowsを使って描いていて…実はタイトルにもそういった意味が含まれています。

 

 

 

— 珍しいですね !でもそこが阿部さんの作品のおもしろさに繋がっているのかもしれません。
阿部さんの視点や言葉のひっかかりがおもしろいなと思うのですが、日頃からメモなどはよくとられますか?

そうですね。メモをとったり、思いついたときにスマホに言葉を残したりします。
最初に文章で考える事が多いですね。
テレビでおもしろいと思ったことや、盛大に笑ったなぁと感じたことがあったらメモしてみたり。
モノを見て、これとこれを組み合わせたらおもしろいんじゃないかな?と考えたりもします。
今回のDMの絵を描いた時は、ちょうど冬季五輪を開催しているときで、
ずっとテレビでカーリングの試合が流れていたんです。
選手たちの「yap!yap!yap!」という声が聞こえてきていて、
それをどうしても描きたいなと思って絵にしました。
カーリングのハウスの、青・赤・白のカラーもいいなぁと。

 

 

— パソコンで描くのはどれくらい時間がかかりますか?

描く時間よりも、アイデアを出す方が時間がかかりますね。
元々持っていたアイデアを、お仕事になったときに改めて取り出して描くということもします。

— 常にアイデアをストックしておくような感覚ですね。
阿部さんのお仕事はよく本屋さんでも拝見しています。
2年前に個展をされたときよりも、お仕事の数が増えているような気がします!

ありがたいです。HBはパワースポット的な場所で、
「HBでその後が変わるよ!」と言われていました。

 

 

— そんなことはないと思うのですが…。阿部さんの努力の証ですね。
最後になりますが、今後イラストレーターとしてどのように活動していきたいですか?

クライアントの要望に応えつつ、自分らしさを表現できる仕事をしたいです。
そして今の自分も大事にしつつ、新しいことにも挑戦してみたいです。
— ありがとうございました!  また作品を拝見できるのを楽しみにしております。

 

 

訂正とお詫び

今年のHBファイルコンペの特別賞のDM,

副田高行さんの特別賞、坂元斉さんのお名前の表記に誤りがありました。

訂正してお詫び申し上げます。

ゴトウヒロシ個展「青の犇めき」

今週の作家さんはゴトウヒロシさんです。
HBでは約6年ぶりの個展となります。

イラストレーターでもあり、アートディレクターでもあるゴトウさん。
現在は、毎日新聞夕刊で連載中の「あなたが消えた夜に」(作・中村文則)で、
挿絵をご担当されています。

それらのお仕事とは別に、3年程前からご近所のアトリエへ通い、油彩を始められたとのこと。
今回はそのアトリエで描かれた、水辺をテーマにした油彩作品、19点を展示しています。
ゴトウさんの描くさまざまな美しい青色の風景。
きらきらと光る水面の表情が瑞々しいタッチで描かれています。
長い時間をかけて制作された作品からは、ゴトウさんのタッチや色遣いの変遷が見える興味深い内容に。
これまでに見たことのない、ゴトウさんの新境地をぜひ見にいらしてください!

 

 

— 今回の作品は、これまでのゴトウさんの作風とは違いますね。油彩はいつ頃から始められたのですか?

近所にアトリエができたので「いいじゃん、行ってみよう」と思って、それで油彩を始めました。
制作順に並べてみると、3年前描いたものと最近のもので、タッチの変遷がわかりますね。
点描のような、絵の具を盛るような描き方になってきたり、色の感じも変化している。

—  おもしろいですね。作品で描いているのは実際にある風景ですか?

いろんな場所へ出向いて、写真を撮って描いています。

— 水をテーマにしようと決めて描かれたのですか?

最初に水辺を描き出して。水しばりで描いたら展覧会できるかも、と思って。
1のキーワードで多様な表現を試す事ができました。

 

 

 

— このタッチでお仕事も広がりそうですよね。
現在、ゴトウさんは連載の挿絵をご担当されていますが、普段のお仕事ではどのようなものを資料としていますか?
展覧会の初日には絵のモデルになった方もいらしていましたね。

人物を描くことが多いのですが、いつもプロのモデルにお願いするという訳にもいかないので
素人の方で、物語にはまるような人を探しています。
でも絵にした時には、俳優さん並みに2割増くらい格好よくする。

 

— それは羨ましいですね。ゴトウさんに描いてもらうとみんな美人になれる…
ゴトウさんはこれまでずっとイラストレーターとしてご活躍されていますが、長く続ける秘訣は何だと思いますか?

一番は、自分に飽きないこと。
似たようなジャンルの限られる仕事だと、どうしても飽きちゃう。
この仕事はこんな感じでやればいいよね、というやり方もプロかもしれないけれど
それ以上に、もっとこうしようという仕事に対しての欲や、自分自身への欲がないとかな。

あとは、流行ってもいいけれど、流行りすぎないように、とかね。
個性が強いと、どうしても流行廃りがあるかな。
僕にとっては、挿絵のお仕事をずっと頂けていることが、長くやるという意味でよかった。
装画だと、そう頻繁に使ってもらえるものでもないから。
あるジャンルでシェアを持つのもいいと思います。

 

 

— なるほど。流行りすぎないように、というのは興味深いですね。
普段、若手の作家さんのイラストレーションを見る機会はありますか?

事務所へ持ち込みに来る方も多いので、見る機会はたくさんあります。
若い人のグループ展を見に行くようにもしています。

— 作品に対してはどんな印象をお持ちですか?

うまい人もいますし、なんとなく絵に覚悟がないなと感じることもありますね。
それは人目にさらしていないからだろうし、仕事の経験も少ないからだとは思います。
こういうことがやりたい、というものがないと、どこでこの絵を使っていいのかなと思いますよね。

スタイルとして、どういうイラストレーターになりたいの?という質問もよくします。
いくらくらいのギャラで、月にどれくらい仕事をしたいかとか。
名前は売れていないかもしれないけれど、いろんな角度やタッチで描けて
挿絵のお仕事で毎月何十万も稼いでいる、というイラストレーターさんもいっぱいいる。
そういう人たちの仕事ぶりは、見ていてプロとして清々しいと感じます。

僕のスタンスは、芸人みたいなもので、
飽きられないように、でもある程度は露出していかなければいけないよね。

 

 

— 勉強になります。
今後、イラストレーションでのお仕事、またそれ以外の制作でどのような活動をしていきたいですか?

長く使われる様な仕事のスタンスでありたいです。
自分なりのスタンダードを目指したいですね。

— このタッチの絵も今後も続けられますか?

画材も画風もまだまだ試して、探求したい事があるので続けます。
今回の個展でも、見てくださる方がどの絵が好きとか、この絵は嫌いとか
誰がどういう感想を言っていたかなというのをすごく聞いていて、

みんなの最大公約数的な意見と、特別な意見の両方を参考にしつつ、こっちだったら自分らしいかな、と思ってみたり、会場で自分の作品と向き合いながら、今後について展望する、それが個展の一番の意味だなと思います。

初めての個展をしたときは、全然絵が出来ていなくて、「こっちに市場があるのかも」「そっちの方向で突きつめて行こう」と思いながら、まずは花を描きだして。

そのタッチで長くやっていたけれど、今度は人物が描きたいと思うようになって
いきなり方向を変え、それでまた10年以上やってきました。

これからの10年を考えて、10年分のノビシロを作っておく。今回は良い機会になりました。

 

— 次の10年もたのしみですね。貴重なお話をありがとうございました!

 

延生律子個展「Sea Flow」

今週の作家さんは、HBでは初めての個展となる
大阪在住のイラストレーター、延生律子さんです。

貝殻、クラゲ、タコ、海藻など、色とりどりのグラデーションで丁寧に描かれた海の生き物たち。
延生さんの視点で美しくデフォルメされたカタチは、ずっと見ていたくなる心地よさがあります。
原画ならではの色彩の鮮やかさ、透明感もぜひ見て頂きたいです。

 

 

— まずは今回のテーマについてお聞かせ頂けますか?

海の生き物をメインに描かせて頂きました。
魚は以前、描いた事があったのですが、タコやクラゲなど
やわらかい動きのあるものを描いたことはなかったので、
こういうものも自分で描けるんだという、新しい発見がありました。
海をテーマに絞ることで、可能性を広げられたのではと思います。

 

 

— 涼しげな色彩がとても美しいですね。何で描かれているんですか?

日本画でよく使用される顔彩を使って描いています。
水をたっぷりと含んだ水性の生き物を
顔彩の透明感でうまく表現できたと思います。

— 扱い方は難しいですか?

使い方はふつうの水彩絵の具とほぼ一緒ですね。
濃度の違う3~4色の絵の具を、うすい順番から塗っていき
徐々に濃い色を重ねて、馴染ませていきます。

紙はアルシュを使っていますが、それとも相性がすごくよかったですね。
日本画のように和紙に描くと滲んでしまいますが、
アルシュだとシャープな輪郭線が描けるので、強さも表現できたかなと。

 

 

— グラデーションが美しいですね。見ていて安心します。
今回久しぶりの個展とお聞きしましたが、作品を飾ってみていかがでしたか?

大満足でした。初日の午前中からお客さんがいらしてくれて
想像以上にお運びいただけました。
唐仁原さんに個展開催のOKを出して頂けて、感謝の一言です。

 

 

— 嬉しいです。素敵な展覧会をありがとうございます!
最後になりますが、今後イラストレーターとしてどのような活動をしていきたいですか?

末永く、みなさんに楽しんでいただけるようなイラストレーターになりたいです。
年数は長くやらせていただけていますが、作風によっては寿命が短かったものもありまして、
すぐ飽きられる作品は描きたくないなと。
初期に描いていたものは、新しさやインパクトはあったけれど、次が無かった。
3年くらいで飽きられるのは悲しいですよね。

時代の変化や空気に敏感に、リサーチや勉強をしていかないと、と感じます。
イラストレーションは時代を映す鏡だと思いますので、
そういったことも大事なのかなと感じますね。

— 長く愛されるイラストレーションとは何なのか、興味深いですね。とても勉強になりました!
すてきなお話をありがとうございました。

 

 

 

S H I K I 個展「今しか知らない」

今週の作家さんは、二人で作品を制作されているイラストレーターのSHIKI (しき) です。
日常の景色を描きながらも、独特な視点と表現力で
不思議な世界観を作ることのできるお二人。
今回が初めての個展となるSHIKIの、たかの香織さんと清須岳さんにお話を伺いました。

(以下、たかの香織さん=香、清須岳さん=清)

 

 

— まずは今回の展示テーマについてお聞かせください。

今回は初めての個展という事でSHIKIが今まで描いてきた物の中から
共通点を見つけようと思い今回のテーマになりました。
古かったり、新しかったり、完成されていたり未完成だったりの、その時々の良さが
あるなと普段からよく思っていて、その時々を今回が「今」として描いています。
今なんかいいね、おもしろいねっていうものをSHIKIなりにチョイスしています。
「今しか知らない」というのは、今がよければなんでもいいという意味ではなくて、
余計な事を考えなくていい、シンプルでいいんだという事を表しています。

 

 

 

 

—  SHIKIというお名前には、どのような意味が含まれているのですか?

香 = 日本語の名前がいいというのが最初にありました。
「しき」という言葉は、色彩の「色」「四季」「式」など色んな意味を持っていて
いいなと思いました。二人でやっていることから、特に「式」には
組み合わせたり、掛け合わせたり、割ったり引いたりすることで、ひとつの形を生み出す…
そういった理由から、一番近い意味合いの言葉だと思っています。
響きや字面もいいなと思いローマ字でSHIKIにしました。

 

 

 

— すてきな由来ですね。
お二人とも、阿佐ヶ谷美術専門学校をご卒業されていますが、
学生時代から イラストレーションを専攻されていたんですか?

香 = 私はエディトリアルを専攻していました。
清=僕はイラストレーションを専攻していて、元々は一人で描いて個展などもしていました。
ロバート・クラムが好きで、学生時代はアメコミ調の作風で、これでもかというくらい描き込む絵を描いていました。当時の絵を知っている方が見たら、今描いている絵は、
誰が描いたかわからないくらい全く違います。でも、ずっと線画が好きで追い続けてきました。

香 = 私はおせっかいなので、彼の絵に「もっとこうしたらいいんじゃない?」と、
よく意見を言っていました。あるイベントをきっかけに、どうせなら改めて二人で違う絵を描いてみよう、となったのが最初のきっかけです。

 

 

— 2人で制作することで、楽しいこと、難しいことは何ですか?

香 = 楽しいことは、童心に帰り遊んでいるような感覚で描けることです。
「もっとこうしたら良くなるね! 」と言い合ったり、ギャラリーを観に行ったりしても
2人で意見とか感想を戦わせることが出来るのも楽しいです。

清 = 色塗りと線画を分担し、お互い得意な方を描いているので、出来あがりを見ると
「こうなったのか!」という驚きがあります。

香 = 大変なことは、何よりもコミュニケーションをとることです。
普通は一人で頭の中で自然とまとまることが、二人だと”まとめる”という行為を起こさないといけないことが大変です。感覚値の共有が難しいなと思います。

 

 

— なるほど。でもお二人だと心強いですね。
最後に、今後どのような活動をしていきたいですか?やってみたいお仕事などもお聞かせください。

お仕事の経験が少ないので、どんな事でもやってみたいなと思っています。
でもやはり、装丁に使っていただく事をイメージして描いている部分が大きいので、
そういったお仕事が出来ればうれしいです。

— SHIKIさんの絵が装丁に使用されたら素敵でしょうね。ぜひ見てみたいです!
この度はすてきな展覧会をありがとうございました。

 

本村加代子個展「くらすひと」

今週の作家さんは本村加代子さんです。
HBでは4年ぶり5回目の個展となります。
瑞々しい色彩と、繊細なえんぴつ線で捉えられた日々の風景。
河原で拾った石、グラスの水滴、チャシュウの包み紙など
何気ない日常の風景も、本村さんが描くときらきらと輝いた豊かな光景に変わります。
本村さんの、暮らしへの愛情や優しさの伝わる素敵な展覧会となりました。

 

 

 

— 今回4年ぶりの個展ということですが、展示してみていかがでしたか?

楽しかったですし、嬉しかったです。
喜んでもらえるかどうか、お客さんの様子をずっと見ていました。

 

 

 

— 「くらすひと」とは、本村さんご自身のことも描かれていますか?

日々の何でもないことを描くというのがベースになっています。
自分のことではなく、友からいただいたもの、自分が見ているもの、
見えているものを描ければいいのかなと。
正面の壁に展示したモノクロの絵は、幸田文さんのご本を読みながら描いていました。
モノクロシリーズでノートに描きためていて、 そこから自分の視点にシフトしていきました。

 

 

 

— 本村さんは、絵を描く際にどんなことに気をつけていますか?

いいなと感じてもらえるか、加減がどうか。
この2ヶ月間は、製作中ずっと楽しくてニヤニヤしながら過ごしました。

— すてきですね。生みの苦しみより、楽しさの方が勝りますか?

生まずに、見えているものを描いているだけです。

 

 

 

— 結果、素晴らしいものが生まれていますね。

本村さんはご自身の作品が変化してきているなと感じることはありますか?

線が変わってきたねと仰ってくださる方も居られうれしかったです。

— あまり変えようとは思わず、描いているうちに自然とこうなったという感じでしょうか?

変えようということよりも、出来ることを増やしたいという気持ちです。

— なるほど、そういった気持ちが少しずつ絵にも表れているのでしょうね。
最後になりますが、今後やってみたいお仕事などお聞かせ頂けますか?

喜んでもらえるお仕事がしたいです。
それと最後に、HBさん30周年おめでとうございます。

— すてきな作品とお話をありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願い致します!

 

矢吹申彦個展「板にブリキ」

今週の作家さんは、矢吹申彦さんです。
HBでは2005年の「カンゲキカンレキテン 峰岸達×矢吹申彦2人展」以来、
約9年ぶりの展覧会となります。

今回はこれまでも何度かモチーフにしてきたという、”ブリキのおもちゃ”がテーマです。
板にブリキを打ちつけたような作品を描きたかったという矢吹さん。
自然の風景と、そこへ置かれた愛らしいブリキのおもちゃ。
2つの融合が矢吹さん独特の、不思議な雰囲気を醸し出しています。

今回はそんな矢吹さんの新作イラストレーション、全20点を展示・販売しております。
ベニヤ板に描かれた丁寧な手塗りの質感、色彩の美しさは原画ならではです。

 

「サーカスⅡ」

 

 

「空しいブランコ」

 

矢吹さんといえば、空と雲。
そしてどこか儚げなブリキのおもちゃ。
矢吹さん色の様々な青空が広がりました。

 

 

「豚を飼ふ」

 

 

「1956年の青嵐」

 

矢吹さんは1つの作品を描き始めると、はやく完成が見たくなるそうで、
1点ずつ集中して描き進めていくそうです。
描くのが楽しくてたまらないという雰囲気が作品からも伝わってきます。
「70歳のおじいちゃんでもまだまだ頑張っているよ。」と矢吹さん。

 
「板にブリキ」展は、5月14日(水)17:00まで開催中です。お見逃しなく!

 

きたざわけんじ個展「さくら色のかぜ」

今週の作家さんは、きたざわけんじさんです。
HBでは6年連続、6回目の個展となります!
今年も、春らしく清々しい風が感じられるような作品が並びました。

木製パネルを組み合わせ、絵の具で直描きされたライブ感のある作品や、
色とりどりなデジタル表現の作品、鉛筆線のラフスケッチなど
きたざわさんのすべてが見れるような展覧会です!
4月25日(金)まで開催しています。お見逃しなく!

 

 

– 今回、展示されているのはすべて描きおろしですか?

パネル作品はすべて描きおろしです。
プリント作品は過去に描いた絵、描きおろした絵など混ざっています。

最近、抽象画の方へシフトしたいという気持ちがあります。
アートまではいきませんが、平面構成的な抽象画も描いていきたいなと思っています。

– 最近のお仕事でそういったものはありましたか?

恋愛は小説か」の装画、「難民・強制移動研究のフロンティア」の装画で描かせて頂きました。
今回、パネルに描いたような抽象的な絵も、仕事になったらいいなと思い展示しています。

– 抽象画でやってみたいお仕事はありますか?

書籍の仕事をもっとやりたいです。
具象だと上手な方はたくさんいますので、負けてしまうかなと。

 

 

– 現在、お仕事の割合としてはどんなジャンルのものが多いですか?

広告やカタログの仕事が多いです。
広告の仕事は値段交渉などもできるので、そういう点でいいなと思います。

– 普段、絵を描いていて変化してきたことなどありますか?

変わらないですね。最初に決めたものをずっと描き続けています。
どんどん作風を変えていくことで、仕事につながっている方もいますが、
ぼくはうまくできないんです。楽しく描けているので、そのまま続けていこうと思っています。

– きたざわさんの絵とすぐにわかりますし、世間に定着しているのがいいですよね。

「こんな感じで描いてください」と以前描いた絵を見て
仕事をくださる方もいますので、変える暇もないといいますか…
ずっとお仕事を頂けているので、変える必要もないかなと思っています。

 

 

– お仕事の量や種類が変わったなと感じますか?

最初の頃と比べてもそんなに変わっていないと思います。
ギャランティは下がってきたかなと。
イラストレーターが増えすぎて、仕事の取り合いみたいになっているんだと思います。
続けられないと残れないのかなと感じますし、これからは突出した何かや
だれも真似できない作風がないとやっていけないんじゃないかと思います。

– 現在も売り込みはされていますか?

去年は5~6件行きました。
現実的に、仕事のスケジュールなどで行けないんですよね。
自分で調べられる範囲では行き尽くした感があるので、最初の頃よりは行く所が減りました。
デザイン事務所でお勤めされていた方が、フリーランスになられて
そちらに売り込みへ行ったりしています。

売り込みに行ったほうが、仕事にはつながりやすいと思います。
10件行って、1~2件は仕事を頂けるかなと。

 

 

– きたざわさんは、展示を見にいらしたイラストレーター志望の方などへ
熱心にお話しをされている印象があります。
学校の先生もお似合いだなと感じますが、そういったご依頼はありますか?

今のところお声掛けいただいたことはないですが、やってみたいなとは思います。
教えるのは嫌いじゃないです。でも守りに入ったと思われるんじゃないかと…。
本業がおろそかになってしまいそうだなとも思うので、今の中途半端な気持ちじゃ難しいかなと。

– いつかオファーがあるといいですね。
これまでも様々なお仕事を経験されていると思いますが、ほとんどのジャンルは経験されましたか?

カレンダーの絵を描くこと以外、ほとんどやらせて頂けたと思います。
仕事が忙しくて首が回らないとよく言いますけど、それくらい仕事がしたいですね。
個展をやる暇がないくらいもっと仕事がしたいです。

– 今もとてもお忙しそうですが…!
最後にご自身で思う、長くイラストレーターを続けてこれた秘訣は何だと思いますか?

自分にはこれだという気楽なイラストレーションをみつけて
好きで描き続けられたことだと思います。
青山塾へ通っていたときも、課題のときは極力、人物は描きませんでした。
みんなと同じものを描いても、仕事は来ないんじゃないかと。

みんながやっていないことで、自分がうまくやれるものをみつけたことだと思います。
人物を描かないイラストレーションでもやっていけるという。
あとは、真剣に考えないこと。それがいいんじゃないでしょうか。

– なるほど。楽しく描けることが大事ですね!貴重なお話ありがとうございました。