HB Gallery

Blog

鈴木成一賞 狩野岳朗個展「あるいは、ガランとした空洞」

HBファイルコンペvol.23 大賞展5週目は鈴木成一賞を受賞された狩野岳朗さんです。
狩野さんはファイルコンペ初参加で見事に大賞を受賞されました。
普段は、高円寺でアンティークや古道具を中心に扱うお店、IONIO&ENTAを経営しながら作品を制作されています。

— 鈴木成一賞、おめでとうございます。受賞を聞いた時、どんなお気持ちでしたか?

びっくりしました。まさか…と。
嬉しくって、小躍りしました。

— 小躍り!こちらもうれしいです。HBファイルコンペは初めて応募されたんですよね。

毎年毎年、出したいとは思っていたんですが、いつも時期を逃してしまっていたので
今年は絶対に出そう!と思っていました。それで賞を頂けたので本当にうれしかったです。

— 普段は絵の制作だけでなく、お店も経営されていると聞きました。

2年程前から店をはじめました。
古びた感じのノートなど商品として作って売っています。

— 狩野さんの絵も売っているのですか?

自分の絵も…置いてはあります。嬉しいことに、時々買ってくださる方がいて。
最初は、絵とは全く関係のない別のものとして店をやっていこうとしたのですが、
一人で絵も店も両方やっているので、どんどんくっついてきました。

— 絵を描くアトリエのような場所はあるのですか?

絵は家で描きます。
理想的なのは、週の半分店を休みにし、その空間をアトリエとして使えたらなと思います。
半分は店で、半分は店をアトリエに。

— 居心地の良い空間なのですね。絵はいつ頃から描かれているのですか?

絵は独学でずっと描いていました。
美大に行きたかったけど、行けなかったから今も描いているのかなと。
行ってたら続けていなかったかも。
20代前半は女の子の絵ばかり描いてました。パソコンで色をつけた漫画っぽい絵を。

今の作風になった最初のきっかけは、
部屋に飾るための木の絵を描こうと思って描き始めたんです。
熊谷守一が好きで、その真似のような絵を描いて飾っていました。

守一が晩年、「これから何が描きたいですか」という問いに対し、
「命ですかね。長生きしたいです。」というようなことを言っていたのが、
ずっとひっかかっていて。
ある時、枝を見ていたら、陽に向かってまっすぐ生えればいいのに、
いろんな方向に向かって生えている、それは命の形を表しているのかと。
それから木の枝を描くようになりました。

木の枝や木々の絵を描いてるうちに、だんだんと形が変わってきて。
またある時から、自分の手相が木の枝みたいにも見えてきて、
(手を見て)ここでスケッチができる、と思ったんです。
手相でスケッチブック1冊分を描いてみたのですが、結局絵にはなりませんでした

—  手相を見ながら絵を描くというのは、なかなか無い発想です。
絵にはならなかったけれど、その後も描くことは続けていたのですね。

 

ずっと一緒に絵を描いてきた友人は、ダメな時も絵を描くし、ダメな絵も自分なんだ、
という話しをしてくれたのですが、自分の場合はそれができなくて。
気持ちが乗らないと描けないんです。
今回展示した作品の中に、自分ではいいと思うし好きなんだけど、
この作品を外に出すのは怖い…というものがあったんです。
なんだこれは?と言われたらすごく落ち込むなぁ…と思って。
でもその作品を鈴木成一さんが「いいね」と評価してくださってすごく嬉しかったです。
自信になりました。気持ちよく描いていればいいんだ、
細かい描写で時間をかけて描けばいいというものでもないんだなと。
小手先で描くのではなく、”気持ち”が大切なのかもしれないと思いました。
 

— それは嬉しいですね。気持ちよく描いた絵は見る人にもきちんと伝わるのですね。

最後になりますが、今後はどのような活動をしていきたいですか?

コンペにはこれまでも応募してきたので、今後は絵でお仕事をしていきたいなと思っています。
最近、”アート”や”現代美術”と呼ばれているものと、”イラストレーション”と呼ばれているものが、
違う場所にあるんだなというのが気になっていて。
アート作品を扱うようなギャラリーで、何十万、何百万という価格がつけられている作品がある一方で、
HBギャラリーのように、イラストレーションを扱うギャラリーでは1~2万円でも作品が買えたりする。
もちろんバックグラウンドの違いや絵画とイラストでは目的が違うのかもしれませんが、
これはどういうことなんだろう?と思ったんです。
これからの活動では”アート”と”イラストレーション”の真ん中くらいのことが、
何かできたらいいなと思っています。
どこのジャンルにいるとか関係なく、絵を通していろんなお仕事をやっていきたいです。

中山とし子「いきものたちのうた」発売のおしらせ

8月に刊行される” HB HUMAN BOOKS ” 第1弾として、
中山とし子書き下ろしの新作「いきものたちのうた」を発売致します。

「いきものたちのうた」価格1,300円(内税)
作・中山とし子 絵・唐仁原教久
発行・HBギャラリー

ともきの家には、山つばきがおおいかぶさっている、トンネル道を通って行きます。
うす暗いトンネル道は、赤いつばきの花がコロコロ落ちていて、
道の先に、丸い出口が見えています。
一人で通る時は、少しだけこわい。
だから、みづえは思わず足をはやめました。
だれもついて来ないのに、後ろが気になって、後ろをチラ、チラと見ながら、
小走りに走りました。

(以上、本文より抜粋)

 

れんげ草、山つばき、おたまじゃくし、アリの行列、みかんの木…
たくさんの「いきものたち」に囲まれて育った幼少期。
あたりまえのようにあった美しい自然と、それと戯れる子どもたちの風景は、今ではすこし懐かしくもあります。
田んぼや野山で遊びまわった頃の、中山さんの大切な思い出の中からうまれた、
天真らんまんな「みづえ」と、おっとりした「ともき」による、9つの物語を収録しました。

中山さんの瑞々しい情景描写によって、
読む人それぞれの”あの頃”の気持ちがこみ上げてくる、心温まる1冊となりました。

イラストレーションは唐仁原教久。
中山とし子+唐仁原教久のコンビでは、これまで『父の山 母の河』、『はぐれひよどり』を刊行。
『いきものたちのうた』は6年ぶり、待望の3冊目となります。
中山さんの文章に添えられた、唐仁原の奥ゆかしいイラストレーションが物語を引き立てます。

HBギャラリー又はHBオンラインショップで発売中です。

 

<著者プロフィール>

中山とし子 (なかやまとしこ)
1950年鹿児島県生まれ。
佛教大学国語国文学科卒業。
奈良女子大学 大学院博士前期課程国語学コース修了。
2005年『父の山母の河』出版
2007年『はぐれひよどり』出版

保母、児童英語教室講師、日本語教師などを経て、
現在、老齢期の人々や子供をテーマに執筆活動中。

藤枝リュウジ賞 大竹守個展「PUNK/生きる2」

HBファイルコンペvol.23 大賞展4週目は藤枝リュウジ賞を受賞された大竹守さんです。
2008年のファイルコンペで特別賞を受賞された後、さらに作品に磨きをかけ今回の大賞受賞へと繋がりました。
また今年の5月に開催されたTIS公募でも見事に大賞を受賞され、今最も注目を集めている作家さんです。

HBでは2008年の特別賞展、2012年1月の個展「PUNK/生きる」につづき、今回で3 度目の展示となります。
会場には、永井荷風  色川武大  深沢七郎  ブコウスキー等々、PUNK精神を貫き生きた人々と引用した数々の言葉、
それに引けを取らない大竹さんのPUNKな生き様を垣間見るような95点もの作品が会場いっぱいに並びました。

— 受賞を聞いたときはどんなお気持ちでしたか?

信じられませんでした。
審査があった日の深夜2時頃に、多里さん(HBスタッフ)から電話がかかってきました。
でも夜中だったので就寝中で気づかず、出られなくて。
近々、一緒にカレーを食べに行く約束をしてたのでその電話かなと。でもなんでこんな夜中に?と思いました。

次の日、お昼頃にまた電話がかかってきて、てっきりカレーの電話だと思って今度はちゃんと出たら、
「大竹さん、藤枝さんの大賞に選ばれたよ!」という知らせでした。
それを聞いた時点では話がうまく理解できませんでした。(とりあえずカレーの話ではなかったというのだけは理解できましたが。)
賞を獲れるなんてまったく予想も期待もしていませんでしたし、
藤枝さんは自分の絵には興味ないと思っていたので余計にびっくりして…
その年のコンペは、出すか出すまいか迷っていたのですが、
出さないとなんだか逃げている様な気がして、一応出してはみたものの本当にまったく期待はしていなかったです。

— 狙っていなかったのが功を奏したのですかね。
これまでコンペには何回くらい応募していましたか?

初めて出したのが、特別賞を受賞したときで、かれこれ4~5回出してます。
最終選考に残った年もありました。

—   ファイル作りで意識した点はありますか?

今回に限っては、昨年の個展で展示した作品をまとめました。そこそこ評判がよかったので。
ドローイング作品と貼り絵作品を両方入れてますが、技法は変わっても描く世界観は一貫統一させてます。

— 今回の展示は貼り絵の方がメインですね。

藤枝さんが一番良いと選んでくれた絵が貼り絵だったので、
これは「貼れ」ということなのだと思い、とにかく貼りまくりました。
技法はコピー用紙に絵の具で色をぬりたくり、それをちまちまちぎって厚紙にざっくり貼る。
細かいところはあまり気にしないです。
昔の古いモノクロ写真の退廃的な質感や空気感を貼り絵でうまく再現できればと思いながら貼っています。

— 昨年の「PUNK/生きる」の個展後、何か動きや変化はありましたか?

個展の約1ヶ月後に装画のお仕事をいただきました。
太宰治「走れメロス」の文庫本のカバー装画を描く仕事です。

その個展の際に壁に飾る作品とは別に、太宰の「人間失格」200冊が本棚に並んであるという
シュールなインスタレーション作品を試みようとしていたんです。ブックオフの100円コーナーを都内色々まわって約200冊の「人間失格」を買い集めました。(どんだけ人間失格したいんだい、君は!という阿呆みたいな話ですが。)
こんなアイデアを個展会場でやろうと思うのですが、とあるADの方に相談したところ、
「並んでいる本のカバーが、ぜんぶ大竹の絵だったらおもしろいのに。既成本のままじゃ全然面白くないしPUNKじゃない。」と言われてしまいました。でもその時点で既に個展の2週間前くらいで時間もあまりなくて。でも悔しいからやってやろう!と。
今までに描きためてきた絵の中から、本の内容に合う160枚の絵を選び自分でデザインしインクジェットプリンターで出力し本に巻き
「勝手に人間失格フェア」と題して160冊の「人間失格」を並べて展示しました。

それを発表した1ヶ月後に太宰治の「走れメロス」の仕事が来たので、
当然「展示を見た(知った)方がお仕事を発注してくれたんだ。大変だったけれどやってよかった!」と思いました。

しかし打ち合わせに行きよくよく話を聞いてみると、その展示は見ていないし知らない、
それとは関係のない理由で自分が選ばれたのだと、そのときわかったんです。
あれっ?と思いました。こんなことってあるんだと。
このタイミングで偶然に太宰の仕事が来るなんてありえないし…正直ちょっと怖かった。

あれは太宰からの、
「200冊買ってくれてありがとう!」「人間失格フェアやってくれてありがとう!」ってことだったのかなぁと思っています。

オーナーの唐仁原さんにも「(太宰を)呼んじゃったんじゃないの?」と言われました。
HBではこういう奇跡がよく起こるんですよ。

最近やった深沢七郎さんの「人間 滅亡的 人生案内」という装画のお仕事の時もそう。

[時流に媚びずPUNK精神を貫き生きた怒れる奴らを描きました。永井荷風 色川武大 深沢七郎 ブコウスキー等々。 彼らの言葉や生きざまは腐れた今を生きる我々の道標となるはずです。]

これはHBのサイトに、個展内容を掲載するためのコメントなのですが、
この文章をギャラリーへ送った一週間後に、深沢七郎さんの人生相談本の装画を描くお仕事が偶然来たんです。
このタイミングで?!とまたびっくりしました。HBで展示するたびに何か奇跡が起こるんですよね。
他にも今回のDMに決めていた絵をTIS公募に出したら、その絵が大賞作品の中の1枚に選ばれたり…
今回もなにか起こるのではないかと、ちょっとだけ期待しています。

— そんなことがあったんですね。大竹さんの引きが強いのでは…と思いますが。
今回も何かいいことが起こりますように!最後になりますが、今後はどのような活動をされたいですか?

実は、去年の個展終わった後くらいから絵と並行して別の仕事をはじめようと考えていたんです。
決して後ろ向きな理由ではないのですが、今の時代絵一本で食べていくのは相当厳しいので、何かしらの副業に就こうと考えていました。
でもこの藤枝リュウジ賞を獲ってしまって、個展が決まったので今回の個展が終わって落ちついたら職を探して、絵と両立させていくぞ!と考えてた矢先に、今度はなんとTIS大賞受賞の知らせが…
もう自分でもなにがなにやらわけがわからなくなってきてしまいましたが、もしかしたら
これは「このまま絵一本で行け」という啓示なのかなと。せっかく追い風も吹いてきたことですし、今後は苦手な営業活動に力を入れてみようかなと思っています。

 

副田高行賞 柴崎早智子個展「ぼくは、いつもギューニュー」

HBファイルコンペvol.23 大賞展3週目は副田高行賞を受賞された柴崎早智子さんです。
ファイルコンペの応募は今回が初めて。渾身の力作20点で見事大賞に輝きました!
今回の受賞展がご自身初の個展となります。
現在、山形県在住の柴崎さん。今回の展示のためはるばるお越し頂きました。

— 副田高行賞おめでとうございます。受賞を知ったときはどんなお気持ちでしたか?

一次選考に残るか残らないかだろうな…と思っていたので、とにかくびっくりしました!

— ファイルコンペは初参加だったんですよね。ファイル作りではどんな工夫をされましたか?

抽象的な背景と子供の表情で、子供が感じてることや、どんな子供なのかを伝える絵を描こうと思いました。
絵の具や色鉛筆など様々な技法で描くので、バリエーションはあっても
表現したいことやテーマはぶれずに、というのは意識していました。
ファイル1冊で「こういう世界の絵を描きます」というのを表現したいなと。20点という数はとても大変でした。

— これまでもコンペに出そうと思ったことはありましたか?

青山塾に通っていたのですが、通い終わる頃にようやく今のスタイルが出来てきたので、
それまではコンペに出せる絵がなかったんです。
習作ではなく作品として完成させたくて、卒業後もひとりで制作を続けていました。
背景と子供の世界を一致させるのに特に時間がかかってしまって、
色合いがするどすぎたり、時には大人っぽすぎたり。

— 抽象とポップな子供の絵を組み合わせた柴崎さんの絵は、見た事がなく新鮮だなぁとみなさん感心されています。
子供の表情を描く時、資料はどんなものを見ますか?

自分で撮った写真や、サイトで画像を探したり、YouTubeの動画を見て描いたりします。
はじめてレモンを食べた子供の表情や、はじめて炭酸を飲んだ表情などを撮影した動画がたくさんアップされていて、
それらを参考にすることもあります。実際の光景だと、じっと観察するというのは難しいので動画を見ることが多いですね。
一発描きなので、口元を描く時は特に慎重に。一本線なので、少しでもゆがむと違った表情になってしまうんです。

— 柴崎さんの絵は子供の表情がゆたかで可愛らしいです。そういった観察から生まれているんですね。
今回の展示が初個展だそうですが、実際に展示してみていかがでしたか?

ほっとしました。ファイルに入れていた2作品も展示しているのですが、それ以外はすべて新作なので、
HBさんで飾るのにこれで大丈夫かなぁ… という気持ちでした。ドローイング作品も発表するのは初めてなんです。

— みなさん楽しそうに絵を見ていますよ。すばらしい初個展だとおもいます!
話しは変わりますが、柴崎さんは幼稚園に通うお子さんがいらっしゃるそうですが、
制作時間はどのように確保されていますか?

まず、朝9時に幼稚園に送っていき、その帰りにドトールやスタバに立ち寄って絵を描きます。
だいたい10時頃まで描いて、そのあと近くのスーパーで20分くらいで買い物を済ませます。
帰ったら今度は家事を。家事は手抜きしちゃうんですけど(笑)。その時間がだいたい11時くらいでしょうか。
家にだれもいない時間なので、そこから絵の具を使って絵を描いていきます。
幼稚園のお迎えが13〜15時くらいで、夜は20~21時に子供を寝かせて、22時に主人のご飯の支度。
24時からまた絵の具で絵を描いていきます。個展前は深夜3~4時くらいまで描いていたり、寝れない日があったりしましたね。
子供が泣き出しちゃった時などは、30分くらいで寝かしつけ、
よしまた描こう!と机に戻ってみると、今度は絵の具が乾いていたりして…(笑)
また色作りから?!ということも。
そんな断片的な描き方をしていたら、1枚のいい作品として絶対に出来ないだろうと思うこともありました。
けれど、そんな作品でも評価してくださる方がいたことで「描けるんだ!」と思えて、いい発見がありました。
ぜひ、子育てをしてる方にも絵を頑張ってほしいと思います!

— 素晴らしいですね。工夫次第で、絵を描く時間は作れるんだ!と。
まだまだお話を聞きたいのですが、最後に今後のイラストレーターとしての抱負をお聞かせ下さい。

だれかに見て楽しんでもらえる作品を描きたいです。
子育てをしていると、行き詰まったりすることもあります。
そんな人に向けて、明るく気分転換させられるような仕事をしたいです!

— たくさんのすてきなお話、ありがとうございました!

日下潤一賞 もとき理川個展「real life motoqui もとき理川がイラストレーターになるまで 1」

HBファイルコンペvol.23 大賞展二週目は日下潤一賞を受賞されたもとき理川さんです。
HBでの個展は3回目となります。
昨年9月の個展で展示した作品をコンペに応募したところ、見事大賞に輝きました。

 

— 日下潤一賞、おめでとうございます。まずは感想をお聞かせください。

ギャラリーからお電話をいただいたときは、
「わたし、なにか忘れ物をしましたか?」といった感じのまぬけた対応をしていたところ、
スタッフの方から「いえいえ、そうではなく…大賞を受賞されましたよ」という内容で。
もう、ぎょぎょっ!という感じでした。
日下さんは厳しそうなお方だし、きっと自分の作品は好きじゃないだろうな…
と勝手に思っていたので、信じられなかったです!

— ファイルコンペのご参加は何度目でしたか?

青山塾に通っていた頃からなので、10回くらいは参加していると思います。

— 今回、ファイル作りで工夫されたことはありましたか?

いえ、今回は一番楽なファイル作りだったんです…。なのに受賞してしまった!という。
これまでは新作描き下ろし主義だったのですが、今回は時間がなかったこともあり
9月の個展で展示した作品をそのまま出したんです。

— あの個展は本当にすばらしかったです!納得の大賞です。
今回は、もときさんのこれまでの人生を垣間みれる展示となりましたが、エピソードがどれもいいですね。
みなさんの反応はいかがでしたか?

みなさん笑いどころをわかってくださっていて、安心しました。
きっちり笑ってくれる!知ってるひとも知らない方も、反応がいいですね。

— じーんとするエピソードもあり…感動しました。

それぞれ見る方に重なる所がきっとあるのでしょうね。

— そうかもしれません!
今回は画材もいろいろと挑戦されましたね。いかがでしたか?

えのぐは厳しかったですね。10年ぶりくらいに使いました。
また、もともと色のついたカッティングシートを使用してましたが
今回は、白い紙にえのぐで色を塗ってさらにオイルパステルでテクスチャーをつけ
切り絵をするというのもやってみました。
人のぬくもりやあたたかみのあるタッチになって、自分でも発見があり感動しました!
いままでの手法は体温が低そうな感じがして、すこし飽きていたのかもしれません。

— マチエールのついた作品、とてもすきです。広がりを感じますね。
最後になりますが、今後の目標や抱負をお聞かせ頂けますか?

いろんなタッチで描くたのしみを知ったので、頂いたお仕事によって
描き方を変えてみたいなと思いました。これまでの手法プラス新しい手法で。

— ありがとうございました!今後のご活躍もたのしみにしております。

特別賞展 特別賞6人によるグループ展

今週からファイルコンペvol.23の大賞展が始まりました。
7月5日から8月28日まで、受賞者の作品を展示致します。
第1週目は、特別賞に輝いた受賞者6名のグループ展です。
皆さんの個性がはじけた楽しい展覧会となりました。

 

ファイルコンペvol.23 特別賞受賞者

日下潤一特別賞/山口法子
鈴木成一特別賞/千海博美
副田高行特別賞/志水洋
仲條正義特別賞/町田かおる
藤枝リュウジ特別賞/後藤美月
永井裕明賞特別賞/鈴木匡

 
受賞者のなかには、すでにイラストのお仕事をされている方もいれば、
他のコンペでも様々な受賞歴のある方、受賞も展示も今回が初めてという方などさまざまです。
どんな人にも受賞チャンスがあるのがHBファイルコンペのおもしろいところ。
今年も、たくさんの応募作品の中から審査員の目にとまった作品とあって、
受賞者6名の作品レベルの高さに驚かされます。

オープニングパーティでは、審査員の日下潤一さん、鈴木成一さん、藤枝リュウジさんもお越しになり
華やかな授賞式となりました。
あこがれの審査員とお話ができて嬉しそうな受賞者のみなさん。
とても贅沢で楽しいひとときとなりました。

 

審査員の鈴木さん、日下さん、藤枝さんと特別賞の皆様

 

山口法子さん

 

千海博美さん

 

後藤美月さん

 

志水洋さん

 

町田かおるさん

 

鈴木匡さん

 

 

今年もHBファイルコンペVol.24の募集がはじまりました。
http://hbgallery.com/compe.html
みなさまの力作20点、お待ちしております!

仲條正義個展 「 LOST AND FOUND 」

今週の作家さんは、仲條正義さんです。

仲條さんは、資生堂PR誌「花椿」のアートディレクション及びデザイン、
松屋銀座、資生堂パーラー、東京都現代美術館など多数のCI計画を手がけられた、
誰もが知っているデザイナーです。

また、イラストレーションの仕事としては、「暮しの手帖」の表紙が印象深いです。

今回はそんな仲條さんの、全作20点描き下し、新作イラストレーションの展示となります。

 

 

 

今回の展覧会、仲條さんの知り合いのロンドンのカメラマン、ジェイソン・ エバンス氏から、
小さなパスポートくらいのノートを受け取った事から始まりました。

そこには、ジェイソン氏が姪の為に書いた詩が綴られていたのです。

この詩に絵をつけてくれないか。と頼まれた仲條さん。

様々な画材と格闘され、試行錯誤と繰り返し、すばらしい作品が生まれました。

 

 

 

全作新作、20点全て販売しております。

仲條さんの果てる事のない、アイディアと、作品の持つ力、面白さは圧巻です。

いつまでも新しい事にチャレンジされる仲條さん、いつまでもついて行きたい。

そんな存在だなと、改めて感じました。

ワタナベモトム個展「モトムノドレミ」

今週の作家さんは、HBでは初個展となるイラストレーターのワタナベモトムさんです。
普段のお仕事ではデジタルで絵を描かれることが多いモトムさん。
今回の展示では、すべて手描きの書き下ろし作品が飾られました。
モトムさん独特のデフォルメされたかわいらしい家具や器、色彩豊かな色とりどりの世界観、ぜひお楽しみください!

— 個展開催おめでとうございます。HBで飾ってみていかがでしたか?

あこがれの空間だったので感激です。
実際に並べてみるといろいろと反省点が出てきたり、次のテーマも見えてきますね。

— 今回はどんなテーマで描かれましたか?

今回は特にテーマは設けずに、静物シリーズで統一感を出そうと思って描きました。

—  このシリーズを描き始めたのはいつ頃からですか?

2~3年前からでしょうか。HBファイルコンペに向けて作品を制作していく中でできました。
ファイルコンペに照準を合わせて描いてるうちに、少しずつ変化していって
時間をかけて自然とこういうかたちになりました。

— 描き続けたことで、自然とこのモチーフにたどり着いたんですね。
画材はどんなものを使って描かれてますか?

クラフト紙にアクリルガッシュやリキテックスで描いてます。
気軽に描けて、そのへんにあるもので。

—  クラフト紙に描くというのはおもしろいですね。うっすらと紙の黄色が見えて、いい風合いがでてます。
制作中、むずかしかったこと、楽しかったことはどんなことですか?

むずかしいことは全然していなくて、いつも気軽に描いています。
塗るのも楽ですし。楽しんで描いてますね。
展示前に、唐仁原さんに絵を見てもらった際「この感じでこのまま行きなよ」と言っていただけて。
すごく安心しました。オーナーが言うのだから間違いないだろう!と。

— 楽しんで描くのが一番いいですね!好きなものを描いてるんだろうなというのが伝わってきます。

見る方からは「このモチーフはお家にあるものですか?」とよく聞かれるんですが、
すきな世界観で、すきなものを想像して描いてます。

— 理想のアトリエ像といった感じでしょうか。

そうですね、常日頃からこんなアトリエを持ちたいなぁという憧れがあります。

— ますます素敵な絵が描けそうなアトリエですね。
最後になりますが、今後の抱負をお聞かせいただけますか?

やっぱり、人物を描けるようにならないとなぁ…と。
あとは、展示が終わったらHBファイルコンペモードに切り替えようと思います!
人物を描けるようになったら、またHBで展示をしたいです!

— モトムさんの描く人物、見てみたいです。次のHBでの展示、たのしみにしております!ありがとうございました。

ご自身のすきなものに囲まれた理想のアトリエには、
モトムさんだけの、ゆっくりとした心地よい時間が流れていました。
会場に置かれた作品ファイルからも、常にオリジナル作品を描き続けている、
モトムさんの絵に対する姿勢がうかがえます。こちらもあわせてぜひご覧ください!

agoera個展「情景」

今週の作家さんは、HBでは初の個展となるイラストレーターのagoeraさんです。
現在はギャラリーのスタッフをしながら、フリーでイラストレーションのお仕事をされています。
峰岸塾ご出身のagoeraさん。卒業後は、装画や挿絵のお仕事のほかに海外のお仕事も経験されていて、
若手イラストレーターのなかでも最も期待されているイラストレーターさんの1人です。

木製パネルや紙にアクリルガッシュ、リキテックスを用いて描いています。
agoeraさん独特の瑞々しいタッチ、情緒的な風景からはさまざまなストーリーが感じられます。

— 今回、HBで個展をされてみていかがでしたか?

有名な方が個展をされてる場というイメージがあったので、けっこうプレッシャーでした。
いろんな方に観ていただけたので、励みになりました。反省もしたり。

— 峰岸塾では学ぶことがたくさんあったと思うのですが、入ってよかったなと思うところをおしえてください。

自分の良さを客観的に知ることができました。
その頃は人物ばかり描いていたんですが、その人物があまりよくないと先生から言われ…
それで風景も描きはじめて、そこから変わっていって。
転機でしたね。 先生の一言がなければ、ここで個展をすることもなかったと思います。

— agoeraさんの新たな一面を引き出してもらえたんですね。
イラストレーターという職業を意識し出したのはいつ頃でしたか?

イラストを始めたきっかけは、ジャンルイジトッカフォンドのアニメーションとイラストを見て、
こんなタッチで絵を描いてみたいと思ったからで、そのころから職業としてやっていけたら楽しいだろうなと、
でも大変そうだなと考えたりしてました。大学4年生の頃、これでやっていこうと決心しました。

— agoeraさんの作品はどれもドラマチックと言いますか、いろんなストーリーがふくらみますね。
ご自身ではどんな小説がお好きですか?最近読んだ本などありますか?

サスペンスやホラー系が好きです。最近はあんまり読んでないです。

— agoeraさんの絵はサスペンスにも合いそうですね。
最後になりますが、今後どんなイラストレーターになっていきたいですか?

長く続けられればよいと思ってます。

— ありがとうございました。今後のご活躍をたのしみにしております!

なにげない日常の風景も、agoeraさんが描くと一瞬一瞬が劇的で印象深い風景に。
高い技術力と表現力は、同業のイラストレーターさんからも一目置かれる存在となっています。
まだまだお若いagoeraさん。これからもいろんな意見に耳を傾け、柔軟に変化し続けられるのだろうと感じました。

坂本奈緒個展「Storage」

今週の作家さんはHBでは5年ぶり2回目の個展となるイラストレーターの坂本奈緒さんです。
北海道岩見沢ご出身の坂本さん。東京で10年ほど活動されたのち、2年前に北海道へ戻り
絵のお仕事を続けられています。

潔いえんぴつ線と、空間のとり方がきもちのよい坂本さんのイラストレーション。
大自然に囲まれながら描いた、のびのびとした心地よい作品が並びます。

— 今回はどのようなテーマで制作されたのですか?

小さい頃住んでいた場所を描いてます。
現在も住んでいるので実際に見える景色や、記憶の中の景色を拾い上げながら描きました。
2年前に北海道に戻ったことが、記憶をとり出すきっかけになりましたね。
タイトルには「保管」という意味合いがあるので、
保管庫を開けて、ひらいて、思い出す…といったようなイメージです。

— 昔から馴染みのある風景なんですね。子供のころはどんな遊びをしていたんですか?

トンボの首飛ばしとか…

— !

やりませんでしたか?(笑)トンボをつかまえて、ぴんっ!って首から上を指ではじくと頭だけがもげて…でも飛んでいくんですよ!そのあとはゆっくり急降下して…
ほかには森とか林とかに入って、雪解け水をコップに汲んで飲んだり、木の実をつぶして色をつくったり。

— 外でたくさん遊んでいたんですね。絵も子供の頃からお好きでしたか?

好きでしたね。趣味でずっと描いてました。

— 坂本さんはこれまでもいろんな画材で線画を描かれてますが、今回の作品は何を使って描かれてますか?

画用紙に2B~6Bのえんぴつで描いてます。色は透明感を出すためにアクリルガッシュで塗ってます。
今回の作品は、すごく楽しんで描けました。
これまでは誰かのために描こうとか、苦しみながら生み出そうとする部分もあったのですが、
やっとそこから抜けれたような、自分自身のために描けた気がします。
この画材は描いていて楽しかったので、今後また違った見せ方ができるかなと。

— 楽しそうに描いているのが伝わってきます!
話しは変わりますが、東京と北海道の両方でお仕事をされてみて、いい面と悪い面があると思うのですが、
坂本さんにとってはどんなことがそれにあたりますか?

東京はたくさんものがあって、刺激的でたのしい。たくさんありすぎて、流されたり
いろんなものが目に入りすぎて忘れちゃう…でも仕事をするには良い土地!
疲れると休む場所がないかなと思いますね。

北海道は、ものはなく刺激も少ないですが、見ようと思ったものが見れて、いつでも立ち止まれる土地という印象です。ゆっくり見て、考えたりすることのできる場所でしょうか。

— 北海道に戻られてもお仕事を継続されているのがすばらしいと思います。

最初は戻っても絵の仕事ができるのか不安だったんですが、
うまく回せるようになってきたので、北海道に住もう!と決心できました。

—  やってみないとわからないものですね!いい決断だったのではないでしょうか。
最後になりますが、今後やってみたいお仕事や抱負をお聞かせ頂けますか?

装丁です!装画をまだそんなに描いた事がないので、もっと多く描きたいですね。
そして仕事をし続けたいです!

— すてきなお話ありがとうございました。今後益々のご活躍をたのしみにしております!



生まれ育った土地や、幼い頃の記憶、遊んでいたおもちゃ、昔の写真を元に
坂本さんのルーツを描いた今回の作品。
らくがきを夢中で描いていたころを思い出したかのように、心から楽しく描いた素直な作品に感じられました。

これからもさらなる広がりを期待させてくれる坂本さんなのでした!